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(公開日:2017.05.25)
イエメンで1日に子ども600人以上がコレラの疑いと診断

イエメンは、4月末以降、昨年10月に続き、再びコレラ流行の危機に直面しています。これまで、イエメンでは、1日に平均1,000件以上のコレラと疑われる症例が報告されており、うち3人に2人が15歳未満の子どもです*1。セーブ・ザ・チルドレン イエメン事務所のスタッフは、現在のペースでいくと6月末までにコレラが疑われる症例は6万5,000件以上にのぼると予想され、爆発的な大流行になるだろうと警鐘を鳴らします。
サミーラさん(3歳、仮名)。家族の中でひとりだけコレラに感染した。 母親は、「彼女は外に出るのが好きで、いつも親指をしゃぶっていました。突然病気になり、ひどい下痢と嘔吐の症状がありました。サヌアの産科病院に運び、3日間治療を受けています。医師によると回復しているとのことです」と話す。

4月末のコレラの発生から最初の3週間で、コレラおよび急性水様性下痢症の流行により、すでに少なくとも242人が犠牲になっており、これは前回の流行時の同じ期間の20倍以上の犠牲者です。あまりにも感染拡大の速度が速く、十分な対応ができない中で、感染拡大を抑えきれなくなっています。もし、7月の雨期の始まりまでに、コレラや急性水様性下痢症の拡大を抑止できなければ、数百人どころか数千人の犠牲者が出る可能性があります。


イエメンには220万人の栄養不良の子どもがいます。すでに、5歳未満の子どもが10分に1人の割合で予防可能な原因によって犠牲になっています*2。栄養不良により体の弱った子どもは、コレラおよび急性水様性下痢症に対して最も脆弱な状態にあります。

この速い感染拡大と時を同じくして、現在も続く紛争により、保健医療システムや衛生施設、公共インフラが崩壊寸前となっています。首都サヌアの清掃作業員は、数ヶ月にわたる賃金未払いに対してストライキを行っており、通りにはゴミがあふれ、大雨で洪水が発生した際には、放置されたゴミにより上水道が汚染されました。そして、今、再び雨期が迫っています。また、現在も続く空爆や砲撃により破壊された下水道もあります。イエメン国内の保健医療施設の半数以上が機能しておらず、人口の3分の2に当たる1,400万人が安全な飲み水を手に入れることができません。

サヌアの病院に勤務するザイード医師は、「先週、私たちは毎分2〜3件のコレラの疑いがある患者を受け入れました。先月は、私自身だけで、1日に180件の感染が疑われる症例を診ました。治療が必要な患者は驚くほど大勢おり、人々は廊下に横たわり、また、ベッド数が足りないため、時には6人の子どもを1つのベッドに寝かせなければならないこともあります。私たちは、国際機関に支援の拡大を求めています。この病院は多くの困難に直面しています。医薬品や医療用品が不足し、十分な人数の医師と看護師がおらず、手を洗う場所さえありません」と話します。

前回のコレラ流行(2016年10月〜2017年1月)では、1日に平均160件の感染が疑われる症例の報告がありましたが*3、今回はその時よりも速く感染拡大が進んでいます。セーブ・ザ・チルドレンをはじめ人道支援団体の活動で、コレラの感染拡大を抑えることは可能ですが、そのための資金は大幅に不足しており、また、残された時間はわずかです。

セーブ・ザ・チルドレン イエメン事務所代表代理ムシン・シディキーは、「適切な措置が講じられなければ、現在の状況下で、セーブ・ザ・チルドレンはじめ人道支援団体がコレラの流行を食い止めることが難しくなってきています。コレラの感染はあまりにも速く広がっており、感染拡大を防止するためには1,700万ポンド(およそ24.4億円)の資金が必要ですが、そのうち20%にあたる資金しか調達のめどが立っていません。子どもたちは、本来は予防できる病気によって、私たちのすぐ目の前で死の危険に晒されています。私たちは、コレラの症状や予防などに対する人々の意識を高めたり、下痢治療センターの運営支援や、医療用品や経口補水用キットの配布を行うことで状況を変えることができます。手遅れになる前に、医療用品の輸入規制が解除される必要があり、そして、今すぐに資金が必要です」と訴えます。

セーブ・ザ・チルドレンは、コレラの感染拡大を防止するために必要な医薬品の調達や、スタッフの確保、衛生環境改善のための緊急の資金援助を求めます。また、全ての紛争当事者に、サヌア空港の商業空域の開放や、主要港ホデイダ港の完全な港湾機能の保証などを含む、制限のない人道支援のアクセス確保と医薬品やその他必要な物品の輸入規制の解除を求めます。

*1世界保健機関(WHO)の報告によると、2016年10月の発生では、コレラの疑いがある患者のうち64%が15歳未満であった。
*2 国連人道問題調整事務所(OCHA) http://www.unocha.org/yemen/crisis-overview
*3 OCHA https://www.humanitarianresponse.info/en/node/138772


<現地の状況および補足情報>
・セーブ・ザ・チルドレンが発表する数値は、2017年5月19日時点における世界保健機関(WHO)が報告するコレラの感染の疑いがある、日平均症例数から予測したものをもとにしています。
・22県のうち18県(サヌア、ハッジャ、タイズ、アデン、ホデイダ、イブを含む)で、少なくとも242人が犠牲になっており、2017年4月27日以降、数千件のコレラの感染が疑われる症例の報告があります。
・サヌアは、最も深刻な影響を受けており、4000件以上のコレラの感染の疑いがある症例が確認されています*4。
・WHOは、今後6ヶ月間でコレラの感染の疑いがある症例は30万件にのぼるだろうと警告しています。
・WHOの発表によると18県で、2万3500件以上のコレラあるいは急性水様性下痢症の疑いが報告されています。
・コレラは深刻な急性水様性下痢症を引き起こす、非常に悪性の病気です。汚染された食べ物や水を摂取してから症状が現れるまでに、12時間から5日間かかり、ほとんどの患者は経口補水液で簡単に治療することができます。
・今回のコレラの感染の拡大は、安全な水の入手が困難になっていることや保健医療施設の破壊や機能低下、現在も続く紛争などが原因となり、2016年10月6日から98日間で1万5,658件の感染の疑いが報告された前回よりも、急速に進行しています*4。


<セーブ・ザ・チルドレンによるイエメンでのコレラ流行危機への対応>
・サヌア、ハッジャ、ホデイダ、およびタイズ県で緊急保健・衛生事業の実施。
・パートナー団体による、サヌアの産科医院でのコレラと急性水様性下痢症の治療。
・医療従事者と地域ボランティアに向けコレラ流行を防ぐための研修を実施。
・下痢治療センターの設置と運営の支援。
・水源の塩素消毒や、医薬品と医療用品の病院への配布、地域の水源から水を運ぶための容器と消毒用塩素の配布。
・教材を作成し、コレラの蔓延を防ぐため廃棄物管理と衛生に関する啓発活動を実施。

*4 WHO http://reliefweb.int/report/yemen/yemen-acute-watery-diarrhea-cholera-outbreak-situation-report-2-9-14-may-2017
*5国連人道問題調整事務所( OCHA) https://www.humanitarianresponse.info/en/node/138772


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公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 広報 田代範子、太田しのぶ
TEL: 03-6859-0011 E-mail: press@savechildren.or.jp

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