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日本/東日本大震災/福島
(公開日:2014.08.21)

【福島:放射能リテラシー(6)】いわき市の2つの中学校でワークショップ:パイロット版セッション2を実施〜「毎日の食事」をテーマに考えよう〜(2014.08.21)

 

いわき市の中学校二校で6月、7月に行った「放射能リテラシーワークショップ:パイロット版」。3部構成からなるワークショップのセッション1の様子は、8月6日付のブログでご紹介しました。今回のブログでは、ワークショップのセッション2についてご報告します!ワークショップの進行役は、おなじみのNPO法人市民科学研究室の上田昌文さんです。

放射能リテラシーワークショップ:パイロット版の構成
前回のブログでご紹介したように、ワークショップは、3つのセッションからなり、学校で行う場合は、各セッションは、50分授業×2で進めます。セッション2の主な内容は以下の通りで、今回のブログでは、主に展開BとCについてご紹介します。

【放射能リテラシーワークショップ:パイロット版 セッション2の主な活動とそのねらい】


展開

ねらい

子どもの活動内容

@

セッション1で学んだことを振り返る

クイズ形式でセッション1のおさらいをします。

A

放射線の基礎を学ぶ

ファシリテーターがスライドを使って説明し、子どもたちは 放射能についての基礎的な知識を身につけます。セッション2では主に内部被ばくや食の安全について学びます。

B

新聞記事を題材に、様々な立場で問題を考え、グループで話し合う

グループで内部被ばくへの不安に関する新聞記事を基に 話し合います。記事の登場人物の立場で意見を交換し、 社会の中の様々な役割の視点に立って多角的に考えます。

C

福島県産品の検査結果データを元に、毎日の食事について考える

ゲーム形式で50種類の食材から、晩ごはんに食べたいものを10種類選びます。福島県産品の現状を知り、理解を深めます。また食材に関してどのように情報収集をするかを考えます。



【展開B:新聞記事を題材に、様々な立場から問題を考え、他者と議論をする】
展開@でセッション1のおさらいをした後に、展開Aで子どもたちは食べ物や内部被ばく(空気や飲食によって放射性物質を体内に取り込むこと)について基礎的な知識を学びます。それらを踏まえ、展開Bでは学校給食に関する記事を用いて「放射能と食の安全」をテーマにグループで話し合います。

記事の内容について「どう思うか」、「正しいと判断・選択だと思うか」という意見交換に加えて、「何をどのように改めれば良いと思うか」についても議論をします。正しいかどうかを問うのではなく、自分の意見の根拠を共有しあったり、どのように解決していけばよいかという次のステップをグループで考えたりすることで、問題をより深く考えることをねらいとしています。

記事に登場する「大人」や「子ども」、「友だち」の立場で意見を考えて共有し、さらには「小さい子を持つ親」、「農家・生産者」、「給食を作る人」、「行政の人」など役割を決めて新聞の事例をもとに、対策を考えます。他の立場になって考えることで、放射能と食べ物について様々な不安や考え方があることを学んでいきます。さて、子どもたちは、どのように「放射能と食の安全」について考えたでしょうか。一部をご紹介します。

<小さい子どもを持つ親として>
・できるだけ安全なものを食べさせたい!
・子どもの体が心配。正しい情報がほしい。
・様々なところから放射能、汚染に関する情報を集める。

<農家・生産者として>
・しっかり調べて数値を見せる。
・危なくないのに危ないと言われて、迷惑。
・どうしたらみんなに食べてもらえるのかな?

<給食を作る人として>
・調べて、給食は安全なことを呼びかける!
・作る側も産地の方々と交流をもつ。
・実際に自ら給食に含まれている食べ物を、学校で計測してみる。

<行政の人として>
・ホームページに測った線量をのせる。
・全食品きちんと確かめなくちゃ!
・食品の線量を測ってそのデータをまとめ、市のおたよりにのせる。



                     生徒たちは様々な立場に分かれて議論を進めていきます


【展開C:福島県産品の検査結果データを元に、毎日の食事について考える】
「放射能と食の安全」について議論をした後は、いよいよ自分たちの毎日の食事について考えていきます。セッション1で子どもたちがあげた不安の中には、食べものへの不安や疑問もありました。そこで
「ふくしま新発売。」のデータを使い、ゲームで福島県産の食品について理解を深めます。自分でどのように情報を得ることができるか、また食材を選ぶときにどのような点に気を配ればよいかなどを学んでいきます。

まずはワークシートの中の肉や野菜、魚や果物など50種類の食材から、夕食に食べたいものを10個選んでいきます。海がある土地柄のせいか、魚を3つ以上選ぶ生徒もいます。


                「何をたべようかな〜」と考えながら、10個を選んでいきます


次に、上田さんが、各食材に放射性物質がどのぐらい含まれているかを「ふくしま新発売。」のデータを使って、ひとつひとつみんなに示していきます。


                            紹介される数値を真剣に見る生徒たち


生徒たちは、自分が選んだ食材にどのぐらい放射性物質が含まれているか、興味津々。数値が出るごとに、「わー!」「え〜」「へぇ〜」という声が。。。自分のシートに数値を記入して、合計の数値を計算します。
除染や農家の方々の苦労があって、野菜や果物、一部の魚など「不検出」のものが多いことに驚いていたようです。一方、魚は養殖のものと天然のもので数値が異なることや、食物連鎖のため魚の種類によっては数値が高いものがあることを学びました。

海が近くにあり、魚釣りが好きな生徒もいます。「釣った魚は食べても大丈夫?」と疑問をもっていた生徒たちに、上田さんは、市場に出回っている検査された魚なら安心できるということを伝えました。

全3セッションが終わった時点で取ったアンケートで、どの活動がためになったか質問したところ、最も人気があったのは、この活動でした。福島県産の食材が安全かどうかを知るだけではなく、どのように調べ、現状を知り、判断したり考えたりすることができるかという力を養うことがワークショップのねらいのひとつつです。


【子どもたちの声】
セッション2を終えた子どもたち。どんな感想を持ったでしょうか。

・福島の食品と他県の食品の値を比べてみたい。
・「ふくしま新発売。」を家で見てみようかなーと思った。
・農家の人がどういったことをしているか。
・買ってもらう人に「安全」だと思ってもらうにはどうすれば良いか。

感想の中には家族やおとなに伝えたいことなどもありました。

・ふつうの生活をしていても心配することは意外と少ない。
・日常で食べているものの数値がわかっておもしろかった。
・つった魚などはあまり食べない方がいいと聞いたので、それを家族に伝える。
・家族の人に給食は大丈夫だと伝えたい。
・いろいろ知って、インターネットの事なども知ったので親と一緒に見てみます。
・親と一緒に、どのようなことに気をつけたらいいか調べたい。
・海にはいっても大丈夫だということを教えてあげたいです。

アンケートの中には「ここで出た意見でつかえそうなのを福島県でつかってください」という子どもの声もありました。学んだことを周りの人に伝えたい、自分の意見を発信したいと考える子どもたちを支えていきたいと感じます。

さぁ、次回は、いよいよセッション3。ワークショップの総仕上げです。子どもたちの考え方はどのように広がっていくでしょうか…次回のブログもお楽しみに!


(福島事務所:佐々木未央)


<放射能リテラシープロジェクトについて>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、福島プログラムの一環として、2013年9月から放射能リテラシープロジェクトを始めました。このプロジェクトは、福島の子どもたちが、放射能について学び、さまざまな情報や報道を読み解き、自分なりに判断する力を身につけることを目的としてます。このプロジェクトの中心的な活動が、「放射能リテラシーワークショップ」です。2013年11月から試作版ワークショップが始まり、2014年7月現在、福島県福島市といわき市の中学校で実施しています。


 

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