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アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター)
(公開日:2015.07.29)

第3回開発資金国際会議に対するセーブ・ザ・チルドレンの見解

 
2015年7月13日から16日にかけてエチオピアの首都アディスアベバで開催された「第3回開発資金国際会議」は、7月16日に成果文書「アディスアベバ行動目標(The Addis Ababa Action Agenda)を採択し、閉会しました。

開発資金国際会議は、国連の主催による各国首脳・閣僚による政府間会議で、グローバルな政治経済の構造の変革と開発に必要な資金の確保に関して話し合われる会議です。2002年にメキシコ・モンテレイにて最初の開発資金会議が開催され、構造変革・資金確保に関する政策や枠組みを総合的にまとめた「モンテレイ・コンセンサス」が採択されました。
その後2008年には、モンテレイ・コンセンサスのフォローアップとして、第2回目の会議がドーハにて開催されました。

今年9月の国連総会では、2015年に達成期限を迎える国連ミレニアム開発目標に続く国際的な目標として、「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals(SDGs)」が採択される予定となっています。その後12月には、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されます。今回の開発資金会議は、SDGsの達成と気候変動の緩和・適応のために必要な資金をどのように確保するのか、そのために望ましいグローバル政治経済の構造がどうあるべきかについて話し合われる重要な会議として非常に注目されました。

今回の会議で採択された成果文書「アディスアベバ行動目標」は、2015年以降の開発への資金拠出に関するグローバルな枠組みについて概観した上で、以下の7つの分野において、どのような行動が必要かについて合意がなされました。
(1) 国内における公的な資金(途上国の税収の向上など)
(2) 国内および国際的な民間資金(海外直接投資など)
(3) 国際的な開発協力(ODAなど)
(4) 開発のための国際貿易
(5) (国家)債務および債務の持続可能性
(6) 構造的な課題(グローバル経済のガバナンス、金融の安定化や国連強化など)
(7) 科学、技術、革新および能力開発

同行動目標に対するセーブ・ザ・チルドレンの全般的な見解は以下の通りです。
行動目標には、貧困削減に必要な資金の確保に向けて必要な政策が示されていると考えます。
様々な重要な課題への取り組みを進めていくという約束がなされましたが、今必要なことは、行動目標に示された政策、約束事項を具体的に行動に移すことです。
9月の国連総会でSDGsが採択されるまであと2か月しか残されていません。貧困をなくすためには新たな資金が必要です。各国政府は、行動目標で合意された政策を迅速に実施し、新たな資金の創出につなげるべきです。

行動目標に示されたいくつかの事項のうち、セーブ・ザ・チルドレンは、以下の三点について、重要視しています。

<ソーシャル・コンパクト>
成果文書において、最も重要な点の一つは、「ソーシャル・コンパクト」を新たに設定することが合意されたことです。ソーシャル・コンパクトとは、すべての国において設定される、最も貧しい子どもたちに焦点をあてた社会的な保護システムのことです。各国は、保健や教育といった、基礎公的サービスに対する支出目標を設定することが奨励されています。

<税の課題>
脱税やタックスヘイブンなどの「税逃れ」により、巨額の資金が、途上国から不正に流出しています。そうした不正な資金の流出は、ODAの10倍以上とも推計されています。開発資金会議は、途上国内における租税収入の向上に加え、こうした不正な資金流出をなくすための国際的な取り組みを進める必要性についても話し合われました。途上国にとって非常に重要な課題である国際的な税システムの構築に向けて、市民社会としては国連の下に、すべての国が平等に参加した上で民主的に意思決定がされるよう、「税に関する政府間組織」を新たに設立することを提言してきましたが、そのことは成果文書に盛り込まれませんでした。セーブ・ザ・チルドレンは、成果文書に政府間組織の設立が明記されなかったことに失望していますが、一方で、この問題がはじめてこうした政府間会議できちんと取り上げられ議論されたことを評価しています。

<ODA>
1970年代からの約束である、GDPの0.7%をODAとして拠出するという目標の達成が再確認されたことは重要だと言えます。日本を含む援助国に今後求められるのは、約束されたODAに関する目標をいつまでに達成するかを示したタイムテーブルを明確かつ野心的に設定することです。

また、行動目標では、子どもたちに投資をしていくことが肝要であることが明記された文章が盛り込まれました。開発資金の議論において、初めて子どもたちに焦点があてられたことは歓迎すべきです。

アディスアベバ行動目標には、セーブ・ザ・チルドレンが望んだすべてのことが盛り込まれたわけではありません。しかしながら、同行動目標は、前に進むための重要なステップだと言えます。セーブ・ザ・チルドレンを含む市民社会は、9月にニューヨークで開催される国連総会において、開発資金会議での約束事項を実施するための明確な行動計画を各国が示すことを求めます。

なお、今回の開発資金会議には、各国政府代表のみならず、国際機関、民間企業、市民社会からも大勢の参加がありました。日本の市民社会からもセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを含む4名が参加し、日本政府主席代表として同会議に出席していた城内実外務副大臣とアディスアベバにて面会し、市民社会からの提言を行いました。



城内副大臣(左から2人目)と面会し、市民社会からの提言を説明(筆者は左から3番目)

アディスアベバ行動計画(英語)はこちら

アドボカシー・スペシャリスト 大野容子



 

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