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シリア危機
(公開日:2015.08.19)

「夢が叶った日」

 

紛争を逃れた人々が暮らす避難民キャンプ
(シリア国内には、このような避難民キャンプが何ヶ所も設置されています)

セーブ・ザ・チルドレンは紛争が長期化するシリアにおいて、日々恐怖に怯える子どもが安心して過ごせる「こどもひろば」を運営し、紛争下で生活する子どもが社会性、協調性、相互扶助の精神を育むことができるような機会を提供しています。

今回は、あるシリア人少女の声をお届けします。少女は紛争を逃れ、シリア国内の避難民キャンプで将来を悲観しながら過ごしていたのですが、こどもひろばに通うようになり、未来に希望を見出すようになりました。

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私の名前はリサ。11歳です。以前は、ふるさとの村で家族と暮らし、毎日学校に通って友だちと遊び、親戚にも気軽に会っていました。私は勉強が得意で、学ぶことが好きでした。宿題が終わると、お母さんの家事を手伝う毎日でした。でも、ある日村が爆撃されて、家族とともに避難しなければならなくなってしまいました。

避難民キャンプに着いたときは、絶望して、悲しくて、退屈でした。友だちや親戚とも別れ、住み慣れた家を離れ、いつも遊んでいたゲームも置いてきてしまったので、ほとんどの時間をテントの中で過ごし、小さな妹たちの世話をしていました。私の生活は、大きく変わってしまいました。私は、失われた日々を嘆いてばかりいました。村に戻って学校に行き、ゲームをすることを夢に見ました。でも、私にできたことといえば、水を汲むために給水タンクと家族のテントとの間を行き来したり、テントを毎日掃除したりして、時間を潰すことぐらいでした。

テントの反対側には学校のように見える建物がありましたが、キャンプに来たばかりだった私には、それが何の建物なのかわかりませんでした。知り合いの女の子に聞くと、それは子どもたちが勉強したり遊んだりしたりできる「こどもひろば」という施設だと教えてくれました。私は、とても驚きました。こんな施設は見たことがなかったからです。そこではたくさんの子どもたちが遊んでいました。縄跳びやサッカーなどの運動をする子どももいれば、電車ごっこをして遊ぶグループもいました。


こどもひろばに集って遊ぶ子どもたち

私は、そのひろばが素敵な活動をしていると思って、お父さんに行ってもいいか尋ねましたが、ダメだといわれました。私は、ひろばの子どもたちを毎日眺めて、一緒に遊びたいと思っていました。でも、お父さんは厳しい人なので、逆らうのが怖かったのです。お父さんは、姉妹のなかで最年長の私を子どもとは思っていませんでした。家族は私に対して、何でも手伝うように頼りきっていました。私が、こどもひろばに行きたいと頼むと、お父さんはいつでも大声で怒鳴り、お母さんと一緒に妹たちの世話をするよう命令しました。私は、ただ泣くだけでした。お母さんも、お父さんを説得しようとしてくれましたが、無理でした。

ある日、いつものようにテントの前で座って、子どもたちが遊んでいるのを見ていました。私が泣いていると、感じのよい女の人が私の方に近づいてきました。後で知ったのですが、彼女は、キャンプで子どもの保護を担当しているセーブ・ザ・チルドレンのスタッフでした。その女性は私に「どうして泣いているの?どうして友だちといっしょに遊ばないの?」と聞きました。私は「お父さんがいつも怒鳴って、私をこどもひろばに行かせてくれないの」と答え、その理由を説明しました。すると彼女は、私の問題を解決できるように助けてくれると約束してくれました。

その日のうちに、別の男性スタッフが私たちのテントに来て、お父さんと話しあい、私をこどもひろばに通わせるように説得してくれました。はじめは、お父さんは、そんなことは私にとって時間の無駄だし、母親の手伝いができなくなると行って聞く耳を持ってくれませんでした。また、私はもう遊んでいる年齢ではないと言いました。でもスタッフの人は、お父さんを根気強く説得してくれました。こどもひろばは、子どもたちのために開設していて、私にはそこに参加する権利や、これ以上ひどい状況にならないための学ぶ権利、そして村で暮らしていたとき以来失ってしまったものを取り戻す権利があるといいました。すると、そのような長いやり取りの後に、お父さんは笑顔で、私がこどもひろばに行くのを許してくれました。なんだか信じられない気持ちでした。

こどもひろばに行くと、みんなが私を迎えてくれました。そして、シリア紛争がはじまってから失ってしまった生活を、日に日に取り戻し始めました。今ではたくさんの新しい友だちができて、面白くて役立ついろんな活動に参加しています。これまで、衛生活動で手形を壁に描いたり、絵をかいたり、リサイクルアートを作ったりしました。女性のスタッフが織物を教えてくれたこともあります。こどもひろばに通うみんなと、ひろばの名前を織ってプレゼントもしました。私たちは、このひろばが好きだという気持ちを表したかったのです。こどもひろばでの活動は、すばらしくて楽しいです。そして、たくさんのことを学んでいます。


こどもひろばで絵をかく少女

こどもひろばで開催されたフェスティバルにも参加しました。私は、美しい歌や踊りを披露しました。『私たちはみんな魅力的な町を夢見ている』という歌や、『果物の町』、『学校に戻る』という劇を紹介しました。ほかにも、色塗りや石鹸彫刻などたくさんの活動に参加しました。両親や友だちの前で、歌や踊りを披露できて、私は誇らしく思いました。特に、セーブ・ザ・チルドレンのスタッフが、優秀な子どもたちにご褒美をくれたときは、自信がつきました。私は、その中の一人に選ばれたのです。

またある時は、スタッフの女性が私に将来の夢を尋ねるので、私が「先生になりたいです。」と答えると、後日彼女が、私をクラスの先生役にしてくれたのです。これは思いがけない大きなプレゼントになりました。男の子も女の子も、そして先生も、私の準備した授業をよく聞いてくれました。それは、このひろばでの特別すばらしい一日となりました。私がいつも叶えたいと願っていた多くのことが、本当のことになりました。だから、先生たち、スタッフ、こどもひろばの運営にあたるすべての人たちにありがとうの言葉を伝えたいです。また、セーブ・ザ・チルドレンにも、感謝の気持ちを伝えたいです。このセンターで友だちとすてきな日々を過ごせるようにサポートしてくれて、ありがとうございます。

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セーブ・ザ・チルドレンは引き続き、シリア危機の影響を受けている子どもたちに対して安全・安心な場を提供していきます。

本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームからの助成により実施しています。

報告者:海外事業部 藤井麻衣子



※使用している子どもの名前・写真は、個人情報保護のため、一部編集しております。







 

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