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アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター)
(公開日:2015.11.15)

「私たちの世界を変革する」持続可能な開発目標ってどんなもの?(第二回:目標16)

 


目標16

「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」


前回は、「持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals, SDGs)」※の最後の目標である目標17についてご紹介しましたが、続いて目標16を紹介したいと思います。

 

※「持続可能な開発目標(SDGs)」:2016年から2030年までの15年間に、日本を含む世界の全ての国々が達成すべき目標。貧困・格差、気候変動などの課題について17の目標が定められている。「誰一人取り残さない」がキャッチフレーズになっている。


 Rosie Thompson/Save the Children



目標16は、平和で公正な社会をつくりましょう、ということが目指されています。

最初のキーワードとなるのは、「平和」です。ニュースでは、紛争やテロ、そして虐待など、様々な形の暴力が毎日報道されています。日本国憲法にもうたわれていることですが、すべての人々が、欠乏だけではなく恐怖からまぬがれ、平和のうちに生存する権利を有することは、とても重要なことです。目標16では、あらゆる暴力をなくすこと、そして暴力による死を大幅に減らすことが掲げられています。

 

特に、弱い立場にある子どもたちに対する暴力は、子どもが守られる権利を著しく侵害する、決して許容できないものとして、筆者の所属するセーブ・ザ・チルドレンも重視しています。この目標では、子どもに対するあらゆる暴力をなくすことが明確に書かれています。子どもに対する身体的な虐待だけではなく、心理的な虐待を行うこと、子どもを取引すること、不当に働かせるなどの形で搾取すること、拷問すること、そうしたあらゆる形の暴力をなくすことが必要とされています。

 

目標16のもう一つのキーワードは「公正」です。社会に公正をもたらすためには、きちんとした制度が必要となります。もし法律がなかったとしたら、社会はどうなるでしょう?法律があっても、司法制度がなかったら、どうやって法律に基づいた救済が受けられるでしょう?司法制度があっても、様々な理由でそれを使えない(裁判を起こせないなど)としたら?国内でも国際でも法の支配が促進され、全ての人が司法に平等にアクセスできることが、この目標に明記されています。

 

そして現在、社会における公正さをゆがめているものをなくすことも、目標16は目指しています。汚職や賄賂を大幅に減らし、独裁者による蓄財の返還を求め、マネーロンダリングなどの違法な資金の取引や武器の取引を減らし、マフィアなどの組織犯罪を根絶するなどが掲げられています。こうした明らかに違法なものだけではなく、企業による過度な節税や貿易上の価格操作などにより、不正に途上国から流れ出している資金も膨大な金額に上り、政府開発援助(ODA)の10倍〜13倍とも言われています。貧困削減や気候変動対策のための資金不足が叫ばれる中、不正な資金の流出に各国が協調して迅速に取り組むことが必要です。

 

また、目標16のキーワードとしては、「参加」も挙げられます。地方自治体から国、地域、そしてグローバルのどのレベルでも、意思決定にすべての人が参加することが目指されています。政府が何かを決定するとき、必要な情報を公開し、人々の意見を聞き、その意見に責任をもって対応する必要があります。SDGsの根幹である「誰一人取り残さない」ためには、一部の人の意見を聞くのではなく、特に脆弱な立場にある人々の意見がきちんと取り入れられることがとても重要です。

 

そして「参加」と対をなす重要なキーワードとして、「説明責任」が挙げられます。政府やその他のあらゆる公的な機関は、すべての人々に対して政策や施策等の内容や結果などを常に明らかにする責任があることを目標16では明記しています。SDGsに関しても、目的達成のための具体的な行動(政策や施策など)が求められますが、なぜその行動を選択したのか、いつどのように実施するのか・したのか、その結果はどうだったのかを政府は説明する責任があるのです。

 

また、途上国側からみた「世界の公正さ」と「グローバルなレベルでの参加」も目標16の一つとして取り上げられています。国連は、全ての加盟国が一票の投票権を有していますが、開発に関わる他の重要な機関、特に世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関は、出資金額により投票権が左右されたり、機関のトップが慣例として欧米出身者で占められたりすることから、途上国が意思決定から疎外されてしまうことが、従来から問題視されてきました。グローバルに力のある機関や制度において南北間の公正さを確保するために、途上国の参加を拡大し、強化することが、目標16に掲げられています。

 

社会が平和で公正であり、そうした社会を創り、維持していくための制度や機関が存在すること、必要な情報提供や説明がなされること、子どもも大人も、自分に関わる決定に意見を反映でき、平和と公正の中に生きる権利を有していること、先進国と途上国がともにグローバルなレベルで対等な位置にあること―それらを目指すのが目標16です。紛争や暴力が絶えない現状を変革していくために、目標16の達成に向けた努力はとても重要です。

 

次回は、環境に関わる目標について、ご紹介したいと思います。

 

大野容子 アドボカシースペシャリスト


 

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