トップページ > スタッフブログ > アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター) > 2016年世界栄養報告セミナー「約束から、インパクトをもたらす行動へ」

アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター)
(公開日:2017.05.08)

2016年世界栄養報告セミナー「約束から、インパクトをもたらす行動へ」

 

2017年4月17日、2016年世界栄養報告(Global Nutrition Report: GNR)の日本語版の完成を記念し、衆議院第一議員会館にて「2016年世界栄養報告(GNR)セミナー」をNGO4団体(日本リザルツ、ワールド・ビジョン・ジャパン、栄養不良対策行動ネットワーク、セーブ・ザ・チルドレン)と、国際母子栄養改善議員連盟共催で開催しました。


当日の会場の様子


2012年のロンドンオリンピックの最終日に当時のキャメロン英国首相が開催した「飢餓サミット」をきっかけに、2013年にロンドンで「成長のための栄養」サミットが開催されました。このサミットでは、200以上の各国政府や国際機関、財団、NGO等が総額230億ドルもの資金拠出を約束しました。世界栄養報告(GNR)は、この約束に対する説明責任の強化を目的として、2014年に初めて出版されました。その後毎年、国際食糧政策研究所(IFPRI)が中心となり出版され、栄養に関する進捗や課題、政策提言をまとめています。


GNRの日本語版は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2014年の初版から毎年発行しており、日本語版発表セミナー開催は、今年で3回目となりました。当日は、朝からの開始にも関わらず、国会議員、関連省庁、国際機関、大学、企業、NPO、NGO等から約220人が参加し、大盛況となりました。


このセミナーは、国際母子栄養改善議員連盟事務局次長 今井絵理子参議院議員の司会のもと、同議員連盟会長 山東昭子参議院議員の挨拶から始まりました。


挨拶をする山東昭子参議院議員



まず初めに、本報告書の外部専門家委員会共同議長エモン・ウドンケスマリー氏が、2016年度版の概要とポイントについて説明しました。本報告書は全体を通して、世界保健総会(WHA)で採択された国際栄養目標に照らし合わせた、世界の栄養改善の状況とその課題、そして提言を提示しています。セミナーでは、栄養改善で優れていると思われている日本においても、「妊娠可能年齢の女性の貧血」、「成人の過体重・肥満」、「糖尿病」の分野については日本の進捗が遅れているという指摘があり、参加者からは大きな驚きを持って受けとめられました。


基調講演を行うエモン・ウドンケスマリー氏


このような栄養不良問題の解決に向けてSMARTな政策(Specificー具体的、Measurableー計測可能、Achievableー達成可能、Relevantー適切、Time-boundー期限が明確)を実施し、特に世界の栄養に関するODA(政府開発援助)を増額することが大切であり、この点に関して、日本をはじめとする多くの国がこれから積極的に努力をしていかなければならないと訴えました。



次に、セーブ・ザ・チルドレン・UKの栄養政策アドボカシー・アドバイザー シルビア・ザボーより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標2「飢餓をなくし、栄養改善を実現する」を達成するために、取り残された子どもの栄養状況についてのプレゼンテーションがありました。栄養不良は、すべての子どもに等しく影響があるのではなく、性別、民族、居住地域、障害、難民・移民であるということが関連することをネパールの事例をもって解説しました。


取り残された子どもの栄養状況を伝えるシルビア・ザボー


続いて、途上国の政策の視点から、セネガル首相府国家栄養不良対策コーディネーター アブドラエ・カー氏より発表がありました。セネガルでは、2015年より新しい国家栄養改善政策のもと、SUN(Scaling Up Nutrition)ムーブメントの原則に沿って説明責任を強化し、政府省庁、民間、市民社会の連携によるマルチセクター型の栄養サービスを実施することで栄養不良問題の解決に取り組んでいるという発表がありました。


途上国の栄養政策を現状を説明するアブドラエ・カー氏


最後に、企業の視点から、管理栄養士であり、株式会社タニタヘルスリンクのヒューマンサービス企画部部長 龍口知子氏から、株式会社タニタの企業としての栄養課題への幅広い取り組み、また社員に向けた健康づくりプログラムについての発表がありました。社員が健康であることは民間企業にとって必須であり、社員の家族まで参加できる健康プログラムは、企業による社員の包括的な健康教育の先行事例です。


社内での健康推進の取り組みを説明する龍口知子氏



その後、「約束から行動へ―どのように栄養改善の成果につなげていくべきか」という表題のもと、パネルディスカッションを行いました。モデレータに国際協力機構(JICA)上級審議役 榎本雅仁氏、パネリストに外務省国際協力局審議官(地球規模課題担当)森美樹夫氏、前述のエモン・ウドンケスマリー氏、シルビア・ザボー、アブドラエ・カー氏、龍口知子氏を迎えました。


パネルディスカッションの様子


まず、日本政府がG7伊勢志摩サミット、第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)といった国際会議において栄養に関する議題を提案してきたこと、SUNが世界銀行によって立ち上げられた際に日本が中心的な役割を果たしたことなど、日本政府の栄養への取り組みに関する話がなされました。その後、JICAが新しく発足させたマルチセクター型の「食と栄養のアフリカイニシアティブ(IFNA)」に関する説明がありました。


セミナーのまとめとして、今回の2016年世界栄養報告のテーマである、「インパクトをもたらすには何をすべきか」について、各ゲストより意見が出されました。行動につなげるデータは量よりも質が重要であること、現場で活躍する人材の育成が重要であること、市民社会の視点を忘れてはならないこと、そして国レベルでの体制を整えることが必須であることなど、様々な観点から提起がなされました。


今回のセミナーを通して、多様な分野の連携と、政府や企業などの各セクターが明確な目標設定のもと責任を果たすことが、栄養不良問題を解決する上で極めて重要であることが改めて確認されました。

アドボカシー・インターン 安井 朗洋



 

あなたのご支援が子どもたちの未来を支えます

もっと見る

毎月寄付する

月々1500円から、自分に合った金額で子どもの支援ができます。
定期的に年次報告書や会報誌をお送りしています。

今回寄付する

1回から無理なくご支援いただけます。

PAGE TOP