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ベトナム
(公開日:2011.12.01)

少数民族のお母さんと赤ちゃんの話2 〜出産慣習のなるほど〜 (2011.12.01)

 

ベトナムでは現在北部イェンバイ省で栄養改善事業を実施しています。前回のおんぶ紐に加えて、今回は少数民族のお母さんたちの「出産の慣習」についてのお話しです。


pic1.JPG 一般的なヘルスセンターの分娩室


ベトナムには各コミューンにヘルスセンターがあり、そこに毎月10日に妊婦さんに来てもらい、妊産婦検診を行っています。事業実施の中で、多くの人がこの検診に来るように、検診の必要性等を訴える研修や普及活動をしていますが、それでも検診に来ることを嫌がるお母さんたちもいます。
理由は様々ですが、聞き取りによると、ヘルスセンターから徒歩10分以内に住んでいる人でも来なかったりするので、アクセスが一番の理由ではないようです。センタースタッフや郡の医者に聞くと、〜3人目の子どもであることを知られたくない(ベトナムは2人子政策で、3人目を生むと、ペナルティーがある)〜ヘルスセンターに台所がなく、医療サービスはただでも、同伴家族等の食事代がかかってしまうという具体的な理由が出てきます。


Pic2.JPG この山を越えたところに民家が点々とある。大きなお腹やつわりの時に炎天下の中山を登るのは厳しそうだ。


保健に限らず、ほとんどの開発事業の場合、外部者が外から持ち込んだ取り組みの場合、「投入<利益」でない限りは村の人は実践しません。恐らくヘルスセンターに検診に来ることも、投入(時間や、足を運ぶ労力、食事代などのお金)のわりには、目で見て得られる利益があまり伝わってないのかもしれません。


ベトナム人スタッフや行政官から出てくる活動報告を見ると、「少数民族が守っている慣習があり、それを変えることが難しい」というものを何度となく目にしますが、古くから実践されているものにはそれなりに「利」があるからこそ、現在まで継続されているものが多いのも事実です。

例えば、フードタブー。現在の事業対象であるタイ族やザオ族のお母さんたちや、ベトナムの他の少数民族では妊娠中期〜後期になると食事制限を設けることがあります。事業では、妊産さんの家族にも働きかけて、家族の中で妊婦が優先的に食事(肉や魚)を摂れるよう、啓発していますが、一部の保健専門家はこの食事制限はむやみに体重増加させないための体重コントロールの役割を果たしていると指摘しています。妊娠中にフルーツを食べないというのも、体を冷やさないためと考えることができますし、妊婦に必要なタンパク質も肉から採取するよりは、魚や豆から採取した方が妊娠中毒になりにくいそうです。


DSCF0622.JPG 現在実施している栄養研修では、妊産婦や子どもに必要なケアや栄養素を7つのトピックで教えている。


実際、少数民族の多くのお母さんたちは、自宅で出産することがとても多いです。医療設備のない自宅出産の場合、赤ちゃんを小さく生んで、お産をまずは軽くすることが最も安全な策だと言えます。また、ザオ族では「出産後、3週間は外部者と会う際には3m以上離れて話をしなければならない」という決まりがあります。これも、外部から持ち込まれる細菌等からの感染を防ぐためだと考えられます。


DSCF0596.JPG自宅出産したザオ族のお母さん。義理のお母さんが出産補助をしたそうだ。お産の時怖くなかったかという問いに「自分の母親もそのまた母親も、近所の人もみんな普通にしていることなので怖くない」との返答。


日本でも、今は妊婦の体重増加は8Kgまでというのが普通になっています。私もそうですが、この8Kgはよほど食事制限を自分で設けない限りはなかなか達成するのが難しい数字です。少数民族のお母さんたちの慣習には、学ぶところが多そうです。




報告者:新井綾香



























 

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