仙台市 たたかない、怒鳴らない子育てを伝える講演会を実施

2017年7月1日、セーブ・ザ・チルドレンは、宮城県仙台市において、主に子育て中の保護者を対象に「子育て講演会~たたかない、怒鳴らない子育てについて考えよう~」を開催しました。

子育ては楽しいこともたくさんあるけれど、時にはイライラしたり、落ち込んだりすることも。大人と子どもがお互いに尊重し合う関係を築くことができるような子育てをするには、どのような考え方をしたらよいのでしょうか。今回の講演会は、たたいたり怒鳴ったりすることが子どもに与える影響や、子どもに対する暴力防止、および、たたいたり怒鳴ったりせずに子育てをするための考え方を知ってもらうことを目的として企画しました。当日は、子育て中の保護者のほか保育士、保健師など子ども・子育て支援者を中心に82名が参加しました。


仙台市立病院副院長 村田祐二氏

まず、仙台市立病院副院長の村田祐二氏から「子どもとの向き合い方に大切なこと~医療現場から~」と題した基調講演がありました。子どもの発達段階や愛着形成過程を踏まえて、子どもとの基本的信頼関係(ベーシック・トラスト)がないとしつけは成り立たないということ、「怒る」と「叱る」の違いなどの話に加え、虐待が子どもの脳や発育に与える影響、暴力によって自己肯定感や対人関係におけるコミュニケーション能力、生きる力が低下することなどの説明があり、最後に「完璧な親なんていない」「困ったときはSOSを出して、みんなで子育てをしよう」というメッセージがありました。



 弁護士・国連子どもの権利委員会委員 大谷美紀子氏

次に、弁護士であり国連子どもの権利委員会委員の大谷美紀子氏から「子どもの権利と子どもに対する暴力防止」と題して講演がありました。「子育て講演会でなぜ国連の話?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。  それに対して、大谷氏より「子ども」は国連の大事なテーマであること、国連が「子どもの暴力からの保護」に力を入れていること、子どもの権利条約の内容についても説明があり、 さらに、体罰をなくすことの重要性や、子どもをしつけるためという理由であっても暴力はいけないと話がありました。


セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン国内事業部プログラム・マネージャー 瀬角南(左)と、のびすく泉中央副館長小川ゆみ氏(右)による活動報告


続いて、仙台市でたたかない、怒鳴らない子育てをめざす「ポジティブ・ディシプリン」プログラムを実施している、子育てふれあいプラザのびすく泉中央の副館長小川ゆみ氏と、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン国内事業部プログラム・マネージャー瀬角南の対談形式 で、ポジティブ・ディシプリンの概要紹介と、のびすく泉中央でプログラムをはじめたきっかけ、実際の様子などを報告し、「子育ての1つ1つに正解があるわけではないけれど、うちの子には、私には、私の家族にはどんな方法が適しているのか、整理するのを助けてくれた」などといった参加者の声を紹介しました。




最後に、会場からの質問に答えする形で、発表者全員によるパネルディスカッションを行いました。子育て中の保護者の参加が多かったこともあり、たたかない、怒鳴らない子育てを実践するための具体的な質問や、日々の育児への不安などが寄せられました。「一度の体罰でも自己肯定感は下がってしまうのか。今からでもやり直せるか」という質問に対して、村田氏は、「体罰が一度で終わることは滅多になく、また子ども自身を傷つける行為であることには変わりがないという前提で、今からたたく、怒鳴るを用いない子育てを実践してほしい」と伝えました。子どもの権利条約について「日本は実践していると思うか」という質問に対し、大谷氏は、「日本は条約を批准するのに時間がかかった。実施は、まだ十分ではない。『子どもの意見を聞く』『子どもに権利がある』という考え方が、まだ本当には受け入れられていないと感じる」とコメント。また、「何度言ってもやるべきことをやらない子どもにはどのように声掛けをすればよいのか」という、ポジティブ・ディシプリンの具体的な実践に関する質問 に、小川氏は「ポジティブ・ディシプリンではノウハウではなくて『考え方』を学ぶ。年齢や発達に応じた対応が必要であることを踏まえた上で、子どもと一緒に問題を理解し、解決法を考えていくことが大事である」とアドバイスしました。

参加者アンケートでは、「自分が普段気にしていなかった視点から、しつけや体罰について考え直す事ができました」「子どもを一人の人間として理解し、育てていくことの大切さを学びました」といった声が寄せられました。

セーブ・ザ・チルドレンは、今後もみなさまとともに、「たたかない、怒鳴らない子育て」を広める活動を続けていきます。


※「ポジティブ・ディシプリン」プログラムとは
手をあげたり、怒鳴ったりではなく。でも、したい放題にさせるわけでもなく。日々の課題に子どもと同じ目線で向き合い自信とちからをのばしていく子育てです。このプログラムは、2009年明石書店より出版された「ポジティブ・ディシプリンのすすめ:親力をのばす0~18歳までの子育てガイド」を基にセーブ・ザ・チルドレンが構成したものです。

(報告:東京事務所 西崎萌)


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