4.体罰のない社会をつくるために

体罰禁止の法改正は、体罰をなくすための第一歩です。本当に体罰をなくしていくには、「体罰はいらない」という意識が、社会の中に浸透することが必要です。そのために、セーブ・ザ・チルドレンが考える政府が取組むべき課題は次の5つです。

4.体罰のない社会をつくるために

体罰禁止の法改正は、体罰をなくすための第一歩です。本当に体罰をなくしていくには、「体罰はいらない」という意識が、社会の中に浸透することが必要です。そのために、セーブ・ザ・チルドレンが考える政府が取組むべき課題は次の5つです。

セーブ・ザ・チルドレンが政府へ求めていること※1 

課題1 どんなに軽い体罰も、こころを傷つける行為も、許されないということの明確化

2020年2月、厚労省による『体罰等によらない子育てのために』(以下、とりまとめ)が公表されました。
同とりまとめでは、子どもの権利条約を参考に、「身体に、何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても」体罰であると定義しています。
また、「怒鳴りつけたり、子どもの心を傷つける暴言等」は子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があり、「子どもをけなしたり、辱めたり、笑いものにするような言動は、子どもの心を傷つける行為で子どもの権利を侵害」すると指摘しています。このとりまとめに基づき、どんなに軽いものであっても体罰は許されず、怒鳴る、けなすなどの子どもの品位を傷つける行為も許されないということを、政府としても明確にする必要があります。

課題1 どんなに軽い体罰も、こころを傷つける行為も、許されないということの明確化

2020年2月、厚労省による『体罰等によらない子育てのために』(以下、とりまとめ)が公表されました。
同とりまとめでは、子どもの権利条約を参考に、「身体に、何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても」体罰であると定義しています。
また、「怒鳴りつけたり、子どもの心を傷つける暴言等」は子どもの健やかな成長・発達に悪影響を与える可能性があり、「子どもをけなしたり、辱めたり、笑いものにするような言動は、子どもの心を傷つける行為で子どもの権利を侵害」すると指摘しています。このとりまとめに基づき、どんなに軽いものであっても体罰は許されず、怒鳴る、けなすなどの子どもの品位を傷つける行為も許されないということを、政府としても明確にする必要があります。

課題2 子どもの権利条約に基づくさらなる法改正など

民法を含めてあらゆる子どもに関わる法律において、子どもの権利を明記することが求められます(子どもの権利条約第4条、一般的意見5号など)。その上で、体罰等の禁止のみならず、子どもの権利に沿った積極的・非暴力的・参加型の子育ての促進を明記することも望まれます。また、民法及び子どもに関わる法律の改正等における政府審議会などの議論にて、子どもの参加・意見表明の機会を確保することは、子どもの権利の保障のために欠かせません。さらに、子どもの権利条約締約国として、あらゆる法改正や制度設計において、国連子どもの権利委員会による一般的意見や総括所見を参照し、指針として共有・尊重し、反映することが求められます。

課題2 子どもの権利条約に基づくさらなる法改正など

民法を含めてあらゆる子どもに関わる法律において、子どもの権利を明記することが求められます(子どもの権利条約第4条、一般的意見5号など)。その上で、体罰等の禁止のみならず、子どもの権利に沿った積極的・非暴力的・参加型の子育ての促進を明記することも望まれます。また、民法及び子どもに関わる法律の改正等における政府審議会などの議論にて、子どもの参加・意見表明の機会を確保することは、子どもの権利の保障のために欠かせません。さらに、子どもの権利条約締約国として、あらゆる法改正や制度設計において、国連子どもの権利委員会による一般的意見や総括所見を参照し、指針として共有・尊重し、反映することが求められます。

課題3 大規模な啓発活動の実施

各国比較調査では、体罰等の禁止と同時に、社会全体への啓発活動を実施することで体罰等が大幅に減少したという研究結果があります。法改正が行われた今、子どもに関わる法律や施策に関わるあらゆる機関による、大規模で長期的な啓発活動が必要です。また、子ども自身に対しても、暴力を受けない権利や声をあげる権利などの、子どもの権利に関する啓発を行うことが重要です。啓発を行う際には、以下のポイントを広く伝えることが大切です。

① 親や養育者を含めたすべての人による体罰等が許されていないということ
② どんなに軽いものであっても、体罰及び暴言などの子どもの心身を傷つける暴力は子どもの権利条約締約国においては許されないこと(国連子どもの権利委員会一般的意見8号・13号の内容の啓発・普及)
③ 子ども自身が、体罰等によらない養育・教育を受ける権利等の包括的な権利を有することを知り、権利行使できること(相談の方法や相談先などの情報提供も含む)

課題3 大規模な啓発活動の実施

各国比較調査では、体罰等の禁止と同時に、社会全体への啓発活動を実施することで体罰等が大幅に減少したという研究結果があります。法改正が行われた今、子どもに関わる法律や施策に関わるあらゆる機関による、大規模で長期的な啓発活動が必要です。また、子ども自身に対しても、暴力を受けない権利や声をあげる権利などの、子どもの権利に関する啓発を行うことが重要です。啓発を行う際には、以下のポイントを広く伝えることが大切です。

① 親や養育者を含めたすべての人による体罰等が許されていないということ
② どんなに軽いものであっても、体罰及び暴言などの子どもの心身を傷つける暴力は子どもの権利条約締約国においては許されないこと(国連子どもの権利委員会一般的意見8号・13号の内容の啓発・普及)
③ 子ども自身が、体罰等によらない養育・教育を受ける権利等の包括的な権利を有することを知り、権利行使できること(相談の方法や相談先などの情報提供も含む)

課題4 子育て支援プログラムを含めた子育て支援施策の強化

体罰等のない社会を目指すためには、啓発活動とともに、政府によるさまざまな子育て支援策の充実と予算の確保が重要です。なかでも、子どもの権利や体罰等によらない子どもとの向き合い方を親が学び、子どもの権利を基盤とした「子育て支援プログラム」の拡充に向けて国が取り組むことは急務です。さらに、親と子の生活基盤を整えるために関係機関が効果的に連携し、訪問型支援、保護者や子どもへの心理療法を行うなど、ニーズに応じた支援・援助を行うことが求められます。

課題4 子育て支援プログラムを含めた子育て支援施策の強化

体罰等のない社会を目指すためには、啓発活動とともに、政府によるさまざまな子育て支援策の充実と予算の確保が重要です。なかでも、子どもの権利や体罰等によらない子どもとの向き合い方を親が学び、子どもの権利を基盤とした「子育て支援プログラム」の拡充に向けて国が取り組むことは急務です。さらに、親と子の生活基盤を整えるために関係機関が効果的に連携し、訪問型支援、保護者や子どもへの心理療法を行うなど、ニーズに応じた支援・援助を行うことが求められます。

課題5 虐待・体罰等防止のための予算の確保、定期的な調査の実施

今後、社会全体への啓発活動やすべての親に向けた子育て支援を推進するためには十分な予算の確保が重要です。また、効果的な施策の実施のためには国内における体罰等や虐待に関するデータの収集や、エビデンスに基づいた支援プログラムの実施が欠かせません。残念ながら日本では、国レベルの大規模な調査がほとんど実施されておらず、国連子どもの権利委員会からも勧告を受けています。効果的な施策を実施するためにも、虐待・体罰等の現状や人々の意識を把握するための、子どもに対する調査を含めた大規模かつ継続的な調査が求められています。

課題5 虐待・体罰等防止のための予算の確保、定期的な調査の実施

今後、社会全体への啓発活動やすべての親に向けた子育て支援を推進するためには十分な予算の確保が重要です。また、効果的な施策の実施のためには国内における体罰等や虐待に関するデータの収集や、エビデンスに基づいた支援プログラムの実施が欠かせません。残念ながら日本では、国レベルの大規模な調査がほとんど実施されておらず、国連子どもの権利委員会からも勧告を受けています。効果的な施策を実施するためにも、虐待・体罰等の現状や人々の意識を把握するための、子どもに対する調査を含めた大規模かつ継続的な調査が求められています。

【資料】
※1 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン/NPO法人 子どもすこやかサポートネット/認定NPO法人 児童虐待防止全国ネットワーク 共同声明「虐待や体罰等の子どもに対する暴力のない社会を実現するために
※2参考:国連子どもの権利委員会「あらゆる場面におけるあらゆる形態の子どもに対する暴力の絶対的禁止」(一般的意見13号パラ41)「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰を民事法または刑事法において明示的禁止する事が必要」(一般的意見8号パラ34)

【資料】
※1 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン/NPO法人 子どもすこやかサポートネット/認定NPO法人 児童虐待防止全国ネットワーク 共同声明「虐待や体罰等の子どもに対する暴力のない社会を実現するために
※2参考:国連子どもの権利委員会「あらゆる場面におけるあらゆる形態の子どもに対する暴力の絶対的禁止」(一般的意見13号パラ41)「体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰を民事法または刑事法において明示的禁止する事が必要」(一般的意見8号パラ34)

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