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モンゴル
(公開日:2013.05.09)

【幼稚園プロジェクト(8)】子どもにやさしいトイレを幼稚園につくりました!(アフター編)(2013年5月9日)

 


日本の皆様こんにちは。モンゴル事務所の柴田です。シリーズで「子どもにやさしい幼稚園」をつくるための事業を紹介しています。
前回は、モンゴル公立幼稚園のトイレ問題についてお話ししました。今回は、私たちの事業が作り上げた「子どもにやさしい要素を含むトイレ」の実際の事例を紹介したいと思います。

ではまずこちらのビデオをご覧ください。



(日本語字幕入りで4分間と大変短いので、ぜひご覧ください。)


いかがでしたか?
ではどんな風に「子どもにやさしいトイレ」を作ったのか、事業で作成したパンフレットを使ってまとめてみたいと思います。


(パンフレット表紙:原本はモンゴル語で書かれています。プログ上には英語翻訳版を掲載しました。)

最初の「子どもにやさしい」要素は、「危険な個所が最小限に除去され、清潔を保ちやすい構造であること」です。こんな事例を作りました。
下のパンフレット「改修後」の写真をご覧ください。左上に窓の写真があります。換気扇機能も兼ねた安全な構造を持つ窓として設置しました。この窓は2つに別れています。下部の窓は、鍵付きで子どもが開けられません。上部の窓は換気用にいつでも開放できるようになっています。高額な換気扇を設置する必要はありません。


(改修前の様子:危険がいっぱい)

(改修後:安全で清潔が保ちやすい構造)


次の「子どもにやさしい」要素は、「教育的要素があり、子どもたちが基本的習慣を身に付け、自分でできたという自尊心を高めることができるような構造」です。これについては、特に子どもの動線と便座と流し台の高さにこだわりました。

下のパンフレット「改修後」の中央のデザインをご覧ください。子どもの動線は茶色の矢印で表してあります。この矢印上に、「便座・手洗い場・タオル」を設置しました。こうして、子どもが忘れることなく全ての作業を自然に終えることができます。そして「子どもゾーン」と「先生ゾーン」を設けることも紹介しました。「先生ゾーン」は当然トイレの奥の、子どもの動線から外れた位置に作ります。

子どもの身体にあった高さの便座と流し台を設置するのは、私たちにとって大きなチャレンジでした。2〜3歳児用の高さ20cmの便座はこの国では生産しておらず、輸入に頼らざるを得ないからです。輸入すればコストが上がります。私たちはそのため、便座下部分を床に埋め込んで設置することにしました。また子ども用の高さ50cmの手洗い場も見つかりませんでした。そこで、「流し」だけ購入し、それを置く台は、大工さんに特注しました。こうして、子どもの使いやすい高さの便座と流し台を設置しました。



(改修前:とにかくいろいろな施設が所狭し)


(改修後:子どもの動線に合わせてすっきり)

この高さのこだわりは、子どもの自尊心・自立心を高めました。ビデオに出てきましたこの幼稚園の2-3歳児のクラスの先生が、改修後すぐに「おまるはもう使っていません。便座が低くなり自分で座れるようになったので、自分で1人でトイレに行きたがるようになりました。おまるは使いたくない、といいます。」と話されました。

最後の「子どもにやさしい」要素は、「先生たちにとっても使いやすい構造」です。トイレの部屋自体が狭く十分なスペースもありませんので、「狭いトイレでもデザイン次第で、子どもにとって安全な収納場所を確保できる」と紹介しました。

下のパンフレット「改修後」の左下の写真をご覧ください。シャワー台の下、先生用の汚物処理流し台の下は収納できるように作られています。また2〜3歳児の教室で使われるたくさんのおまるの収納場所も大きな問題でしたので、オープンロッカーを設置しました。その写真が右側に掲載されています。


(改修前:とにかくなんでも床の上)


(改修後:掃除道具もすべてロッカーや棚の中)

これが、「子どもにやさしいトイレ」の要素です。
このように「子どもにやさしい」要素と、その実例を同時に紹介したことで、こんな嬉しい報告を最近耳にしました。いくつかの幼稚園が「子どもにやさしいトイレ」にするために、独自の予算で簡単な改修工事を行っているとのことです。例えば、第165幼稚園では、滑りやすい床にゴムシートを引いたり、2階のトイレ窓にはネットを張り転落防止をしたり、トイレットパーパーの位置を付け替えたり、という改修です。実際のところ、経費はほとんどかかっておりません。


(第165番幼稚園のトイレの様子)

「一番大切なことは、『子どもにやさしい要素』を理解することです。
どのように具体化するかは、幼稚園のアイデアとわずかな予算で十分です。大きな予算がなくとも、手に入る資機材とアイデアで子どもにやさしいトイレを作ることができますよ」という、私たちのメッセージを適切に汲み取ってくださった幼稚園が少しずつ増えてきたことに、私たち事業運営チームは大変嬉しく思っています。これからもこのような幼稚園が増えていくよう、チームみんなでがんばっていきたいと思っています。

引き続きご支援のほどよろしくお願いします。

*本事業は、外務省NGO連携無償資金協力の助成と、皆様からのご支援を受けて実施しています。

(報告:モンゴル事務所 柴田)

 

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