東日本大震災から10年 いま伝えたい想い
セーブ・ザ・チルドレンの「子どもまちづくりクラブ」(宮城県石巻市)や東北子どもまちづくりサミットなどのイベントに参加。現在は「石巻市子どもセンター らいつ」の職員として勤務する。
中学校1年生のとき、「子どもまちづくりクラブ」(*1)に参加していた同級生から東北子どもまちづくりサミット(*2)に一緒に参加しようと誘われたことがきっかけです。サミットに参加して、同年代の子どもたちのさまざまな発表を聞いて「すごいなあ」と感心しました。まちづくりクラブのメンバーもとてもやさしくて、楽しくて、この人たちと一緒に活動をしたいと思うようになりました。その後、隔週の週末に活動に参加しました。
「石巻市子どもセンター らいつ」(*3)は、0歳から18歳までの幅広い年齢層が楽しめる、私たちの“夢”がつまった場所です。まちづくりクラブの皆で「夢のまちプラン」として考えていた“夢”のひとつが実現して本当に感動しました。
「らいつ」ではさまざまなイベントを子どもたちが企画できるのですが、選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられたときには、皆で選挙に関する意識を高めようと模擬選挙のイベントを企画したことも覚えています。
今でも「らいつ」の職員として子どもたちと一緒にイベントを企画し、実施しています。持続可能な開発目標(SDGs)など難しいテーマも地域の問題として身近に捉えてもらえるよう工夫しています。たとえばSDGsを考えるイベントの時は、目標の一つ「海の豊かさを守ろう」というテーマで石巻市の漁業関係者の話を聞いたり、実際に乗船して子どもたちに漁師の体験をしてもらったりしました。また、近年石巻市の海のごみ問題も深刻化しているので、ゴミ拾いをしながら皆で環境について考えたりもしました。
「らいつ」の企画・デザインにあたり地元の人たちと一緒に活動してきたので、商店街をはじめ石巻市という地域の素晴らしさをあらためて実感しました。地域の人たち一人ひとりが「顔が見える」関係でつながっていて、この地域を支えています。そんな関係が私は居心地良く、大好きです。
また、人前で発表をすることが苦手でしたが、まちづくりクラブの活動を通して大勢の人の前で発表することや自分の意見を言うことに慣れました。そして、自分とは違う考え方や経験を持った人たちの話を聞き、一緒に活動をすることが好きになりました。
今も「らいつ」のイベント企画などで、いろいろな職業、考えを持った人たちと知り合い一緒に活動をする機会が多いので、自分の成長にもつながる充実した日々を過ごせていると感じています。
地域の復興や防災の分野においても、子ども一人ひとりが意見を言う権利があるということを知らない子どもたちが多いと思います。しかし、子どもたち一人ひとりが自分たちから声をあげれば現状は変えられる、“夢のまち”も実現できることを知ってほしいです。
「らいつ」には条例前文(*4)があり子どもの権利について紹介しています。「らいつ」では子どもたちが自分たちの権利について知ることができるように、毎年「子どもの権利月間」を設定してイベントを企画するなど、楽しく権利について学べるようにしています。 子どもにも意見を言う権利やさまざまな権利があることを子どもたち自身が知ることが大切だと思っています。