東日本大震災から10年 いま伝えたい想い

子どもにも意見を言う権利やさまざまな権利があることを子どもたち自身が知ることが大切だと思います どんちゃん 団体職員 22歳

プロフィール

セーブ・ザ・チルドレンの「子どもまちづくりクラブ」(宮城県石巻市)や東北子どもまちづくりサミットなどのイベントに参加。現在は「石巻市子どもセンター らいつ」の職員として勤務する。

セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加しようと思ったきっかけは

中学校1年生のとき、「子どもまちづくりクラブ」(*1)に参加していた同級生から東北子どもまちづくりサミット(*2)に一緒に参加しようと誘われたことがきっかけです。サミットに参加して、同年代の子どもたちのさまざまな発表を聞いて「すごいなあ」と感心しました。まちづくりクラブのメンバーもとてもやさしくて、楽しくて、この人たちと一緒に活動をしたいと思うようになりました。その後、隔週の週末に活動に参加しました。

印象に残っている活動は

「石巻市子どもセンター らいつ」(*3)は、0歳から18歳までの幅広い年齢層が楽しめる、私たちの“夢”がつまった場所です。まちづくりクラブの皆で「夢のまちプラン」として考えていた“夢”のひとつが実現して本当に感動しました。

Save the Children
子どもたちがつくった「夢のまちプラン」模型

「らいつ」ではさまざまなイベントを子どもたちが企画できるのですが、選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられたときには、皆で選挙に関する意識を高めようと模擬選挙のイベントを企画したことも覚えています。

今でも「らいつ」の職員として子どもたちと一緒にイベントを企画し、実施しています。持続可能な開発目標(SDGs)など難しいテーマも地域の問題として身近に捉えてもらえるよう工夫しています。たとえばSDGsを考えるイベントの時は、目標の一つ「海の豊かさを守ろう」というテーマで石巻市の漁業関係者の話を聞いたり、実際に乗船して子どもたちに漁師の体験をしてもらったりしました。また、近年石巻市の海のごみ問題も深刻化しているので、ゴミ拾いをしながら皆で環境について考えたりもしました。

セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加してご自身のなかで変化したと感じることは

「らいつ」の企画・デザインにあたり地元の人たちと一緒に活動してきたので、商店街をはじめ石巻市という地域の素晴らしさをあらためて実感しました。地域の人たち一人ひとりが「顔が見える」関係でつながっていて、この地域を支えています。そんな関係が私は居心地良く、大好きです。

また、人前で発表をすることが苦手でしたが、まちづくりクラブの活動を通して大勢の人の前で発表することや自分の意見を言うことに慣れました。そして、自分とは違う考え方や経験を持った人たちの話を聞き、一緒に活動をすることが好きになりました。

今も「らいつ」のイベント企画などで、いろいろな職業、考えを持った人たちと知り合い一緒に活動をする機会が多いので、自分の成長にもつながる充実した日々を過ごせていると感じています。

本人からの提供。画像の無断使用・転載はお断りします。
子どもまちづくりクラブで商店街マップを作成するどんちゃん

ご自身の経験から、今後自然災害が起こったときにどのような支援やサポートが重要だと思いますか

地域の復興や防災の分野においても、子ども一人ひとりが意見を言う権利があるということを知らない子どもたちが多いと思います。しかし、子どもたち一人ひとりが自分たちから声をあげれば現状は変えられる、“夢のまち”も実現できることを知ってほしいです。

「らいつ」には条例前文(*4)があり子どもの権利について紹介しています。「らいつ」では子どもたちが自分たちの権利について知ることができるように、毎年「子どもの権利月間」を設定してイベントを企画するなど、楽しく権利について学べるようにしています。 子どもにも意見を言う権利やさまざまな権利があることを子どもたち自身が知ることが大切だと思っています。

  1. 「子どもまちづくりクラブ」
    東日本大震災復興支援として、子ども参加によるまちづくり"Speaking Out From Tohoku~子ども参加でより良いまちに!~"を実施。岩手県山田町、陸前高田市、宮城県石巻市の3地域において、小学校5年生から高校生の子どもたちが月2~3回定期的に集まり、行政や地域住民、専門家と話し合いながらまちづくりに取り組んだ。石巻市子どもまちづくりクラブは、2013年12月の石巻市こどもセンター完成とともに、センターの活動として移管された。(石巻市子どもまちづくりクラブは、2014年1月かららいつの事業として活動)
    セーブ・ザ・チルドレンは、石巻市子どもセンター運営サポートの一環として、移管後もまちづくりクラブの活動をサポートした。
    "夢のまちプラン"を発表!!「第一回子どもまちづくりクラブ報告会」(2011年9月)
    第6回東北子どもまちづくりサミット_オープニング動画
  2. 2011年第1回東北子どもまちづくりサミット
  3. 「石巻市子どもセンター らいつ」
    石巻市子どもまちづくりクラブが中心となって企画・デザインした児童館。子どもたちが考えたコンセプトは「石巻の活性化のために子どもたちが中心となってつくり、運営をする施設。みんなが過ごしやすく、子どもの想いを世間の人たちに伝えられる場所」。2013年12月に完成し、セーブ・ザ・チルドレンから石巻市へ寄贈、2014年1月に開所した。子どもの権利を柱に、子ども参加で運営されるよう、セーブ・ザ・チルドレンは2019年3月まで運営サポートを行った。
    子どもセンター起工式@石巻:子どもたちが夢のまちプランを実現へ! (2013年6月)
    復興に向け子どもたちが実現した児童館「石巻市子どもセンター」がグッドデザイン賞、キッズデザイン賞を受賞!
    【報告】5年に渡る「石巻市子どもセンター らいつ」運営サポート完了
  4. 「らいつ」の条例前文
  • 年齢や肩書はインタビュー当時(2020年10月から11月頃)のものです。
  • 子どもにとって安心・安全な組織活動を目指す観点から子どもたちの本名は掲載していません。
  • 私たちのストーリーで紹介したインタビューの内容は、インタビュー対象者の経験や感じたこと、見解に基づいたものです。