東日本大震災から10年 いま伝えたい想い

震災を経験している私たちがまちづくりクラブの活動をつないでいくことで、後世に語り継いでいきたい ネッティ 大学生 21歳

プロフィール

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの「子どもまちづくりクラブ」(宮城県石巻市)に参加。東北子どもまちづくりサミットなどのイベントにも参加し、第7回東北子どもまちづくりサミットでは実行委員メンバーを務める。現在は大学4年生。

セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加しようと思ったきっかけは

2012年の秋ごろ、当時中学2年生でした。母の同僚の子どもがセーブ・ザ・チルドレンの「子どもまちづくりクラブ」(*1)の活動に参加していたことがきっかけで、最初は母から勧められて参加しました。

途中からの参加でしたが、皆仲良くしてくれてすぐに打ち解けられました。週末に1回、隔週で半日程度集まっていました。毎回参加するたびに新しい発見や達成感があり、また来たいと思うくらい楽しい場所でした。高校3年生までの約4年間活動に参加していました。そして、大学生になった今も、「らいつ」のスタッフとして時々活動に参加しています。

印象に残っている活動は

私たちが企画・デザインした児童館「石巻市子どもセンター らいつ」(*2)は石巻市にあったらいいな、と思う場所を詰め込んだ居場所です。石巻市の活性化のためにまちづくりクラブの中高生が中心となってつくりました。なかでも普通の図書館とは違って寝っ転がって本が読めるスペースやロックンロール(石=ロック、巻=ロール)の町、石巻の色をイメージした赤と黒の壁紙で仕切られた防音スペースなどが私のお気に入りです。壁紙の色や素材なども皆で相談して決めていました。

「らいつ」ができてから、商店街に子どもや子連れのお母さん世代などが増えて活気が出てきたように思います。

Save the Children
赤を基調とした「らいつ」の防音スペースはネッティのお気に入り

第7回東北子どもまちづくりサミット(*3)では実行委員メンバーを務めたことも覚えています。岩手県山田町と陸前高田市、そして石巻市の3地域からそれぞれ実行委員が集まって準備しました。発表をするときに、普通に発表してもつまらないので、ニュースキャスターのような形式で発表したらどうかなど皆で相談しながら進めました。石巻市以外の他地域の子たちとも一緒に活動ができて楽しかったです。

Save the Children
第7回東北子どもまちづくりサミットにてニュースキャスター形式で発表するネッティ(左)

セーブ・ザ・チルドレンの活動に参加してご自身のなかで変化したと感じることは

「子どもまちづくりクラブ」の経験から、さまざまな意見をまとめる力やまわりを見る力などが身についたと思います。また、活動を進めていくなかで少しずつ自信がついていって、いろいろなことに挑戦したくなっていったので、チャレンジ精神も身についたと思います。 特に防災について興味を持つようになり、「らいつ」でも防災のワークショップを企画・運営しました。

震災から10年が経とうとしています。復興が進み、被災地に暮らしていても当時の状況をうまく思い出せないこともあります。震災を経験していない地域の人たちや、私よりももっと若い世代の人たちは、だんだんと忘れてしまっているかもしれません。だから、震災を経験している私たちが「子どもまちづくりクラブ」の活動をつないでいくことで、後世に語り継いでいく必要があると思っています。今後も可能な限り、「らいつ」の活動や運営に関わっていきたいです。

ご自身の経験から、今後自然災害が起こったときにどのような支援やサポートが重要だと思いますか

当時、おにぎりやパン、お菓子などさまざまな支援物資が届きました。とてもありがたかったのですが、ほとんどの食品が炭水化物に偏っていて、栄養のバランスが気になっていました。家ではいつも栄養のバランスがとれた食事をしていたので、必要な栄養素がすべてとれる非常食があればいいなと思っていました。 そのような当時の思いがきっかけで、今は大学で管理栄養士をめざして勉強をしています。
緊急時においても、健康を維持するための栄養は大切です。今後、地域の人たちの健康を栄養面から支えていく支援にも携わっていけたらいいなと思っています。

  1. 「子どもまちづくりクラブ」
    東日本大震災復興支援として、子ども参加によるまちづくり"Speaking Out From Tohoku~子ども参加でより良いまちに!~"を実施。岩手県山田町、陸前高田市、宮城県石巻市の3地域において、小学校5年生から高校生の子どもたちが月2~3回定期的に集まり、行政や地域住民、専門家と話し合いながらまちづくりに取り組んだ。石巻市子どもまちづくりクラブは、2013年12月の石巻市こどもセンター完成とともに、センターの活動として移管された。(石巻市子どもまちづくりクラブは、2014年1月かららいつの事業として活動)
    セーブ・ザ・チルドレンは、石巻市子どもセンター運営サポートの一環として、移管後もまちづくりクラブの活動をサポートした。
    "夢のまちプラン"を発表!!「第一回子どもまちづくりクラブ報告会」(2011年9月)
    第6回東北子どもまちづくりサミット_オープニング動画
  2. 「石巻市子どもセンター らいつ」
    石巻市子どもまちづくりクラブが中心となって企画・デザインした児童館。子どもたちが考えたコンセプトは「石巻の活性化のために子どもたちが中心となってつくり、運営をする施設。みんなが過ごしやすく、子どもの想いを世間の人たちに伝えられる場所」。2013年12月に完成し、セーブ・ザ・チルドレンから石巻市へ寄贈、2014年1月に開所した。子どもの権利を柱に、子ども参加で運営されるよう、セーブ・ザ・チルドレンは2019年3月まで運営サポートを行った。
    子どもセンター起工式@石巻:子どもたちが夢のまちプランを実現へ! (2013年6月)
    復興に向け子どもたちが実現した児童館「石巻市子どもセンター」がグッドデザイン賞、キッズデザイン賞を受賞!
    【報告】5年に渡る「石巻市子どもセンター らいつ」運営サポート完了
  3. 第7回東北子どもまちづくりサミット(2016年9月)
  • 年齢や肩書はインタビュー当時(2020年10月から11月頃)のものです。
  • 子どもにとって安心・安全な組織活動を目指す観点から子どもたちの本名は掲載していません。
  • 私たちのストーリーで紹介したインタビューの内容は、インタビュー対象者の経験や感じたこと、見解に基づいたものです。