【緊急・人道支援】
2024.10.02
- シリア危機
自然災害や紛争などの影響を受けた子どもや地域社会に対して、迅速かつニーズに合った支援を行い、人々が日常を取り戻したり、生活を再建したりできるようサポートします。
セーブ・ザ・チルドレンは、2022年、ウクライナをはじめ、シリアやイエメン、南スーダン、モザンビークなどでの人道危機や、ロヒンギャ危機への対応、また地震やサイクロンなどの自然災害の被災地において緊急・人道支援を展開し、19,212,501人の子どもたちに直接支援を届けました。
2015年の武力衝突の激化により大規模な人道危機に陥ったイエメンでは約1,060万人の子どもが支援を必要としています。セーブ・ザ・チルドレンは2022年に、子どもの保護、水・衛生、教育分野での支援や食料支援を通してのべ約190万人へ支援を届けました。
紛争や新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子どもたちが安全な環境で学べるよう、学校の校舎やトイレ・水飲み場などの修繕、衛生用品の提供を行い、適切な使い方を伝えました。また、教員やソーシャルワーカーの能力強化研修を実施し、学習の機会を失っていた子どもを対象に補習授業を実施したほか、暴力や搾取から子どもを守るための活動も実施しました。さらに、12月から食料確保が困難な世帯を対象に、食料支援事業を開始しました。
シリア危機が始まり2022年3月で11年が経ちましたが、依然として 680万人の国内避難民が支援を必要としています。子どもたちやその家族に対して、教育、子どもの保護、保健・栄養などの支援を行いました。
シリア国内では、長引く紛争や新型コロナウイルス感染症、食料危機などにより脆弱な状態に置かれている子どもたちに、「こどもひろば」を通した精神保護・心理社会的支援(こころのケア)を実施しました。また、子どもたちが暮らすキャンプの水道システムの整備も行いました。
長期化する避難生活や新型コロナウイルス感染症などの影響を受ける子どもたちへ、教育、子どもの保護、保健・栄養などさまざまな分野で支援を行いました。
レバノンでは、シリア危機やコロナウイルス感染症拡大、経済危機など複合危機の影響を受け、就学や学習継続が困難なシリア難民とレバノン人の子どもに、質の高い教育機会を提供しました。教員への能力強化研修の実施や教材と文具の配布、安全で衛生的な学習環境の整備や、地域住民への感染予防に関する啓発活動なども実施しました。
複雑な申請手続きや、限られた雇用機会、言語の違いなどにより、トルコに暮らし就労を望むシリア難民の75パーセントが職に就けない状況です。
トルコでは、シリア難民やホストコミュニティの子どもの養育者と青少年を対象に、小規模ビジネスの立ち上げを目指した起業研修や小額現金提供、小規模ビジネス実施におけるコンサルテーションを行います。また、就労機会拡大を目的とした IT研修や、トルコ雇用庁への人材登録支援を行います。
紛争が続く南スーダンでは、洪水、新型コロナウイルス感染症、食料危機などによる複合的な人道危機により、940万人の人たちが支援を必要としています。教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で 170万人以上に支援を届けました。
南スーダン国内で2番目に多くの避難民が暮らす国内避難民キャンプにおいて、子どもたちを虐待や暴力、搾取などから守るための環境づくりに取り組む「子どもの保護と予防ネットワーク」のメンバーを、地域住民の中から選定しました。このネットワークメンバーと協力し、子どもの保護に関する啓発活動を実施しました。また、支援が必要な子どもを特定した際に関係機関と協力して適切な対応ができるよう、多機関調整会合での協議を開始しました。
政情の不安定化や武力衝突から逃れるため、ウガンダには現在約48万人のコンゴ民主共和国からの難民が暮らしています。特に脆弱な状態に置かれている子どもを暴力などから守る活動や、行政が子どもを虐待などから守る体制をつくるための支援を行いました。
ウガンダでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により増加する虐待や児童婚、児童労働などのリスクから難民やホストコミュニティの子どもたちを守るため、個別のニーズに応じた支援や、精神保健・心理社会的支援、青少年が自立するために必要なスキルの習得のための研修や起業支援を行いました。さらに、難民が暮らす地域の行政が持続的に必要な支援を実施できるよう、行政職員に対する研修も実施しました。
モザンビークは2017年に武力紛争が本格化し、北部のカーボ・デルガド州とその周辺では94万人以上が避難生活を送っています。子どもたちが教育にアクセスできるよう、支援を行っています。
モザンビーク北部において、継続する武力紛争や新型コロナウイルス感染症の影響で、長期にわたって教育が受けられない国内避難民と脆弱な状況におかれているホストコミュニティの子どもたちに対し、学習の遅れを取り戻し、学校に戻って学びを続けられるよう、基本的な読み書きなどの授業を実施しました。授業には社会情動的学習(自己認識力や対人関係などの非認知スキル)を組み込み、授業を行うファシリテーターへの研修や教材の配布も行いました。
アフガニスタンは、紛争や自然災害、新型コロナウイルス感染症、さらに政変の影響を受け、2,200万人以上が深刻な食料危機に直面しています。セーブ・ザ・チルドレンは、食料支援や保健衛生・栄養、子どもの保護などの分野で支援を実施しました。
具体的には、新型コロナウイルス感染症や政変、自然災害などの複合的な危機の影響を受けている世帯を対象に、現金提供を通じた食料支援を行いました。また、栄養不良の子どもを持つ養育者を対象に調理実習を実施し、子どもの栄養ケアに関する啓発活動を行いました。衛生用品キットの配布や手洗いなど、衛生習慣に関する啓発活動・子どもの保護に関する啓発活動も継続して実施しています。
ミャンマーからバングラデシュに避難しているロヒンギャの人たちは2022年末時点で約95万人います。保健、教育、子どもの保護などさまざまな分野で74万人の子どもを含む148万人以上に支援を届けました。
バングラデシュでは、コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプとホストコミュニティにおいて、水・衛生環境および衛生習慣改善のための支援を行いました。また、特に脆弱な状態に置かれているロヒンギャ難民の女性に対し、居住環境改善のための支援を行いました。これら避難民およびホストコミュニティの能力強化を通じて、地域住民が主体となって水・衛生環境および居住環境の改善を継続的に行えるように支援を行いました。
マダガスカル南部では、2019年以降深刻な干ばつの影響により、104万人が食料危機に陥っています。セーブ・ザ・チルドレンは、現金支援や食料配布、栄養支援を通じて約 3万3,000人に支援を届けました。
マダガスカルでは干ばつにより、作物を育てるのが難しいアンブブンベ郡において、世帯の1ヶ月分の食事を賄える食料バスケットを1,000世帯に配布しました。また、配布した食材や地域で手に入れることのできる野菜を活用した調理実習を行いました。食料危機により、栄養状態が悪い乳幼児に対しては、緊急の栄養治療食を提供し、母親には母乳や離乳食の与え方を伝えました。
インドネシアでは、2022年11月西ジャワ州で発生した地震で、約11万5,000人が避難生活を余儀なくされました。地震発生後、テントで避難生活を送る子どもたちと家族が安全に生活できるよう、仮設テントや衛生用品、飲料水などの支援を届けました。また、子どもたちが安心して教育を継続できるよう、仮設教室を設置し、教員と子どもにこころのケアのプログラムを実施しました。妊産婦に対する乳児の栄養に関するセッションや、乳幼児の健康・栄養状態の検査なども行い、必要に応じて医療サービスへとつなぎました
2022年10月27日に発生した大型の台風22号(フィリピン名:パエン)により、98人が犠牲となり、全国で少なくとも約56万世帯(210万人)以上が被災しました。また、90を超える学校が全壊・半壊の被害を受けるなか、2022年10月31日の時点で、7万5,000 世帯が学校などで避難生活を余儀なくされました。セーブ・ザ・チルドレンは、被害が最も大きいバンサモロ自治地域において、家庭用衛生用品キットや給水用タンクの配布、多目的現金支援、心理社会的支援などを提供しました。
2022年2月に2つのサイクロンがマダガスカルに上陸し、南東部のマナンジャリー県とヌシヴァリカ県に大きな被害をもたらしました。畑や食料が流されるなどして食料も不足したことで、子どもの栄養不良が深刻化したため、被災地に、母子にやさしいスペースを設置し、栄養支援拠点としました。栄養支援を提供する地域の保健医療従事者や地域保健員の研修を行い、地域の人材によって栄養支援が実施されるようにサポートを行いました。これにより、今後起こり得る自然災害への対応が、地域主体で実施できる体制を整えました。
2022年2月にウクライナ危機が発生してから、多くの子どもたちやその家族が避難生活を強いられています。危機発生直後から現在まで、現金支援、衛生用品や防寒着・寝具、安全な飲み水の提供、保健医療支援や子どもたちが安心・安全に過ごすことができる空間の設置を含めた精神保健・心理社会的支援を行いました。また、避難先でも継続して教育が受けられるよう、教育物資の提供や、デジタル学習センターの設置を行いました。
インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムにおいて、医療従事者や医療施設へマスクや防護服などの個人防護具や医療用器具、石けん、消毒剤などの衛生用品を配布しました。加えて、困窮世帯へは、食料品のほか現金提供や生活サポート支援も行いました。また、ソーシャルワーカーなどにケースマネジメント実施に向けた能力強化研修を実施したほか、子どもたちのオンライン学習や学習継続に向けた支援を行いました。
2022年8月の大雨による影響を受けた新潟県内で、浸水によって施設が使えず、学校の教室を間借りしたり、ほかの保育園に分散して運営している放課後児童クラブ(学童保育)や保育園に対して、運営に必要な絵本やボードゲームなどのおもちゃを提供しました。また子どもたちに対して、文具やおもちゃ、マスクなどの衛生用品、防犯用のホイッスルなどが入った緊急子ども用キットを配布しました。加えて、床上浸水被害にあった小学校へ、カビなどによる健康被害予防のため、各教室に空気清浄機を提供しました。
2022年9月に発生した台風15号で大きな被害を受けた静岡県内で、関係団体や自治体からの聞き取りにより、公的支援が薄い、被災した私立保育園を中心に絵本やおもちゃ、保育活動に必要な洗濯機などの備品を提供しました。物品の支援とともに、災害の影響を受けた子どもと接する大人を対象に、「子どものための心理的応急処置」の研修を実施したほか、浸水被害の大きかった地域で活動する他団体と連携し、子どもたちが安心・安全に遊べるように居場所の支援も行いました。