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幼稚園って大切なんだ(2008.10.01)

【ヨルダンからの声が届きました】

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は、2007年11月からヨルダンでイラク避難民の子ども3〜6歳を対象に、早期幼児教育支援活動を行っています。現地では、イラク人ボランティアに活動してもらうなど大きな成果を上げています。日本人スタッフがヨルダンのイルビッド県から現地の声を届けてくれました。

【SCJ支援の幼稚園に通うアフメッド君(6歳)】
アフメッド君は2006年6月にイラクから難民としてヨルダンに避難してきました。
難民として不安定な生活を送る中、母親のラーヤさんはアフメッド君を幼稚園に通わせることをためらっていました。

避難前に住んでいたイラク・バグダッド近郊では紛争や暴力が絶えず、家の外に出るだけでも危険であったため、ヨルダンへ避難した後もアフメッド君がイラクで感じていた恐怖を乗り越えて、通園できるかどうか不安だったためです。また、ラーヤさんは薬剤師という資格を持っているものの低賃金の仕事にしか就けなかったため、その収入で通園費用を負担できるか、またヨルダンの幼稚園の安全性・教育の質は充分か、など様々な不安を抱えていました。

幼稚園に通い始めたアフメッド君と母親のラーヤさんしかし、コミュニティボランティアの勧めでワークショップに参加してから、ラーヤさんの考えは変わりました。改築された清潔で明るい雰囲気の幼稚園をアフメッド君とともに自分の目で確かめ、また教育プログラムの質や通園の安全性についても理解を深めたラーヤさんは、間もなくアフメッド君を幼稚園に通わせる ことにしました。

「実際に幼稚園を見たときに、アフメッドの不安がすっと消えるのがわかりました。今は(イスラム圏の休日の)金曜日ですら幼稚園に行きたがります。毎日とても楽しいようで、先生も大好きだと言っています。今はなかなか絵本を買うことも難しいですが、幼稚園にはずっと通わせ たいと思っています。」(ラーヤさん)

「僕はこのようなプログラムがずっと続けばよいと思う。僕たちにとってとても大切なことなんだ。いつか僕たちがイラクに帰ったときにイラクの子どもたちに勉強を教えられたらすばらしいと思う。」(アフメッド君・6歳)

【ボランティアを勤めるガネムさん(45歳)〜早期幼児教育が大人に与える影響】
ヨルダンでボランティアとしてプログラムに参加しているガネムさんは、二人の子どもを持つ父親です。日々の労働で日に焼けたガネムさんは、笑顔でこう語ります。

「私は45歳ですが、こんなに充実した生活は初めてです。ボランティアを通して、自分のやる気や好奇心が日々増していくのがわかります。」

ガネムさんはイラクの貧しい家庭で育ちました。大学進学の夢を持っていましたが、高校卒業後は家族の生活を支えるため軍隊に入隊。その5年後にイラン・イラク戦争で重傷を負います。その後、政府からの生活援助がない中で、移動労働者としてイラクとヨルダンを行き来する毎日を送りました。そのような困難を乗り越えて、現在は家族でヨルダン・イルビッド県に定住し、小さな店を経営しながら、セーブ・ザ・チルドレンで早期幼児教育のボランティアを勤めています。

「私は子どもの頃にたくさんの苦しい思いをしました。子どもたちが私と同じ思いをしないために役に立てていると思うと、とてもうれしいです。」

人形を使って子どもたちを楽しませるボランティアのガネムさんガネムさんは、ボランティアとして定期的に幼稚園を訪問し子どもたちに教育の大切さを教えたり、ワークショップなどで子どもの育て方を親に説明するなど、様々な活動をこなしています。ボランティア活動を通してガナムさんは自分自身が大きく変わったと語ります。

「ボランティアを始める前までは、誰にも会わずにひとりでいたいと思うことの方が多かったです。それが、ボランティアを始めてからは自分に自信がついて、自分という人間に価値を見いだせるようになりました。」(ガネムさん)

このプロジェクトはジャパンプラットフォームの支援により行われています。
JPFイラクHP:http://w3.japanplatform.org/area_works/iraq/index.html