こどもの主体性を大切に〜モンゴルの生徒会活動から(2011.04.20)
日本の皆様、あたたかいご支援をいつもありがとうございます。また今回の地震と津波に被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
私はオトゴンチメッグ・アルタンゲレル(通称オトゴ)と言います。モンゴルで教育分野を担当していて、2008年からセーブ・ザ・チルドレンで働いています。今回は久々に、モンゴル人スタッフが現地の支援活動と子どもについてお伝えしたいと思います。
オトゴ
私の担当する教育支援のねらいは、もうすでに他のスタッフがお伝えしているとおり、教育現場での子どもに対する体罰と差別を禁止し、子どもが学ぶ権利を享受できる安全な教育環境をつくることです。
私は、子どもの声をきき、そして子どもと一緒に楽しみながらクリエイティブに活動することが大好きです。ですので、子どもや親や教師のやる気を引き出し、協力しながら教育環境を整えていくこの仕事を選びました。草の根レベルでの職場経験を活かしたいという希望もありました。
この「教育環境を整える」というところで「生徒会」の組織と役割は重要です。
モンゴルで「生徒会」は、ここ数年で組織され普及してきました。 ですが、担任の先生の指名で役員が選出され組織されることが多く、これまでは「子どもの主体性」がありませんでした。
そこでセーブ・ザ・チルドレンでは、民主的な方法で生徒会を選出し、子どもたちが望んでいることを、生徒会を中心に自分たちで実現していくということを推進しています。今では、1校に、12歳から16歳までの生徒20人から25人が生徒会役員として組織されています。
子どもたちとオトゴ
子ども主体の生徒会が学校に変化をおこした例はたくさんあります。たとえばモンゴル最東部のドルノド県第8番学校の生徒たちは、授業の合間の休み時間が5分しかなく、お昼をとる時間がなくて、とても困っていました。そこで、生徒会メンバーが生徒たちの声をすくいあげ、それを校長先生に伝え、お昼休みを5分から15分に延ばしてもらうことに成功したという例があります。こういう、子どもたちが一つになって学校側に意見を表明し、その意見が取り入れられ学校が改善されたということは、子どもたちにとって大きな自信につながっています。
また、生徒会に参加する一人ひとりにとっても自信を持つ機会が生まれています。
たとえば、私たちは先月、子どもたちと一緒に啓発ドラマをつくりあげました。このドラマというのは、「学校でおこる子どもへの精神的・身体的暴力はどのようにして起こるか?それを解決するために何をすべきか」ということをテーマに、まず演技のコンクールで選抜された学校の生徒会メンバーが、学校現場で実際に起きた問題を5つほど取り上げて劇でそれを再現し、さらに劇を鑑賞した40人あまりの子どもたちが内容について課題を話し合い、解決策を提案するという構成です。このなかで、舞台にたって演技をした第26番学校の女子生徒ミンジマ(15歳)は、多くの子どもたちの前で演技をし、しかもそれが、国営放送をつうじて放映され、自分の思いが全国に伝わったことに感動したというコメントを私にくれました。
右の女子生徒がミンジマ
この啓発ドラマは、Youtubeでご覧になれますが、残念ながら、まだ日本語の字幕がついていません。今は雰囲気だけでも少しご覧いただければと思います。また、この件については広報担当のナラから後日、詳細を報告してもらおうと思います。字幕はありませんが、子どもたちの真剣な演技と意見表明の様子をぜひご覧ください。
最後になりましたが、私から皆さんに伝えたいメッセージがあります。
ぜひ子どもと友だちになってほしいということです。なぜなら、彼ら・彼女たちは、すばらしいパートナーだからであり、私たち大人にとって一番の先生だからです。
(I would like to call to be friends with children as they are always wonderful partners and best teachers for you. )
オトゴより