「栄養のバロメーター」を発表:栄養不足への取り組みが急務
(2012.11.19)

2012年9月、セーブ・ザ・チルドレンとワールドビジョンはニューヨークの国連総会に合わせて「栄養のバロメーター」を発表し、世界のリーダーに対して子どもの栄養不足に対する取り組みを強化するよう訴えました。これまでに示されたコミットメントが早急に行動に移されなければ、2012年5月の世界保健機関の総会で採択された、2025年までに発育阻害の子どもの人数を40%削減するという野心的な目標を達成することはできません。「栄養のバロメーター」では、世界中の栄養不足の子どもの90%を抱える36カ国について、栄養不足への取り組みに対する政治的、法的、資金的コミットメントを測定・評価しています。36カ国中4分の1の国々において、栄養改善にほとんど進展が見られない状況が明らかになっています。

栄養不足に対する取り組みの慢性的な遅れが、何百万人もの子どもの命を危険にさらしており、2011年だけでも230万人の子どもが栄養不足が間接的要因となり命を落としています。「栄養のバロメーター」が明らかにしているのは、多くの国で約束と実際の行動に大きなギャップが見られることです。国際社会はこの状況を即座に打開し、今後数年間で何百万人もの子どもたちが発育阻害に陥ることを回避しなければなりません。


「栄養のバロメーター」の報告書によると、近年目覚ましい経済成長を遂げているインドが最下位群に入っています。インドでは、保健と栄養への資金投入、深刻な経済的・社会的不平等、政治的意思の欠落などが原因となり、2005/2006年の公的調査によると子どもの栄養不足率は依然42%と高いレベルに留まっています。しかし、最近では子どもの栄養不足に対する取り組みは強化されてきています。


反対に、最上位群には子どもの栄養不足に対して強い政治的および法的なコミットメントを示し、それを裏付ける資金投入を行い成果をあげているペルーが入っています。ペルーでは、慢性的な栄養不足の子どもたちの割合は2009の23.8%から2011年は19.5%に下がりました。一方、未だに半数以上の子どもたちが栄養不足に苦しんでいる地域もあります。

本報告書にある36カ国は、何百万人もの子どもたちの命を救い、2025年までに6,400万人もの子どもたちを発育阻害から守ることのできる可能性を有しています。しかしそのためには、政治的意思とそれに伴う具体的な行動が必要とされています。




*「栄養のバロメーター(The Nutrition Barometer)」 報告書本文(英文)はこちら
*「栄養のバロメーター」 報告書概要(和文)はこちら


(報告:海外事業部 堀江)
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