(公開日:2013.12.24)
震災後の子どもたちの虐待予防に向けて~日本子ども虐待防止学会にて発表~(2013.12.24)
- 日本/子ども虐待の予防
また、同日午前中には、2009年からSCJが国内で普及活動を続けているポジティブ・ディシプリンに関する発表も行いました。
■日本子ども虐待防止学会 第19回学術集会 信州大会
13日はまつもと市民芸術館の大ホールにて省庁や児童相談所、弁護士の方などから、虐待、とりわけ死に至ってしまうような虐待死の予防に向けた取組みとその課題について講演がありました。また、来年に名古屋で行われる子ども虐待防止世界会議に向けての取り組みなども紹介されました。
14日は信州大学にて分科会等が行われ、全国で子ども虐待の予防や対応に取り組む団体の発表が行われました。
■「東日本大震災からの学び:災害後の子どもの育つ環境の変化と支援体制への影響に関する調査」の中間報告
中間報告では、調査で得た被災地の方々の声をどのように分析し、報告書にまとめているかということや、結果の一部を発表しました。
本調査では、聞き取り等の調査で得た声を表1にある通り、子ども・家族・地域社会に関わる内容を、グリーンゾーン・グレーゾーン・レッドゾーンに3分類する作業を行いました。
被災地の現状 | 子どもをめぐる | 子ども虐待など |
子ども | 子ども | 子ども |
家庭 | 家庭 | 家庭 |
養育環境・地域社会 | 養育環境・地域社会 | 養育環境・地域社会 |
社会資源 |
この作業を通じて見えてきたことは、「子どもをめぐる気になる状況」というグレーゾーンに分類される声が他の2つのゾーンに比べ多かったということです。
また、聞き取り調査の中で職種を問わず繰り返し出てきたもの、震災の直接的な影響と考えられるもの、今後の支援を検討する際に留意すべきと考えられるものを抽出しました。「子どもの虐待・ネグレクトの現状」、「ドメスティックバイオレンス(DV)」、「避難・移動する家族」、「仮設住宅団地での生活」、「家族構成・主たる養育者の変化」、「原子力発電所事故の影響」、「里親」がそれに該当するものであり、項目ごとに聞かれた声を一部紹介しました。
発表後の質疑応答では、被災地で支援活動に当たられている方や子ども福祉関連の方から、「○○についての声はありましたか?」といった質問や、今後同様の調査を行う際にはこういう質問項目があれば良いというようなコメントを頂きました。
現在、2月上旬の完成を目標に、本調査の最終報告書を作成しております。
内容がまとまりましたら、皆さまにご報告したいと思います。
■ポジティブ・ディシプリンの紹介
また、同分科会の「子ども虐待防止に資する家庭等での体罰等の法的明示的禁止と啓発活動」の発表では、虐待予防の取り組みとして学校のみならず、家庭内での体罰を法律によって明示的に禁止すべきだという立場から、特定非営利活動法人子どもすこやかサポートネットや弁護士の方の登壇に続き、弊会から体罰にたよらない子育ての具体的な代替案の提案として、ポジティブ・ディシプリンの紹介を行いました。
ポジティブ・ディシプリンは2009年には「ポジティブ・ディシプリンのすすめ」という書籍として、発行されており、これまでは紹介セミナーの実施に加え、弊会ホームページなどにて随時紹介をしてきました。ポジティブ・ディシプリンは、虐待予防を考える上で避けることのできない家庭内における「体罰」の問題に関わる取り組みでもあり、SCの世界戦略にも位置づけられています。
発表を聞いていた方々に、ポジティブ・ディシプリンは関心が高かったようで、発表後にポジティブ・ディシプリンのリーフレットを複数持って帰る方が多く見られました。
ポジティブ・ディシプリンについて、ご関心のある方はぜひセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(pd@savechildren.or.jp)へお問い合わせください。
(報告:子どもの保護セクター)