【福島:放射能リテラシー(4)】イギリスの雑誌記者が福島の子どもたちにインタビュー(2014.07.04)

東日本大震災発生から4年目を迎えた今年3月11日、イギリスの雑誌記者が、福島県を訪れ、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の放射能リテラシーワークショップに参加した子どもや、SCJが支援する放射能教育実施団体の関係者を取材しました。その取材記事は、5月にイギリスの教員向け雑誌に掲載されました。海外から訪れた記者を相手に子どもたちはどんな思いを語ったのでしょうか。福島市といわき市での子どもたちへのインタビューの様子をお伝えします。
福島市でインタビューに協力にいただいたのは、昨年11月に放射能リテラシーワークショップを行った福島市立福島第一中学校の先生と生徒の皆さんです。皆さんこのような取材は初めてということでしたが、緊張した様子は無く、震災後、自らの経験してきたことを堂々と、丁寧に話してくれました。
 


インタビューに協力してくれた福島市立福島第一中学校のみなさん

インタビューが終わってから、「逆に質問したいことはありますか?」という記者からの問いかけに、中学生も先生も「海外から“福島県”はどのように見られていますか?」という質問を投げかけていたのが印象的でした。自分の愛する故郷が、海外でどのように報道されているのか気になると同時に、福島の現状を正しく伝えたいという皆さんの強い想いが感じられました。このイギリス人の記者は「原発事故に関わるわずかな情報しか入ってこないので、実はあまり福島県について詳しいことは知られていません。私が今回福島県に行くことをまわりの友人に告げると、海外で報道されている事故に関する情報が大変少ないことから、福島県の現状が分かないので、心配されました。海外の人々も福島の現状について関心を持っているので、こういう機会に、ぜひ当事者である皆さんから、正確な情報を伝えていくことも大事だと思います」と答えていました。
このインタビューの日は、3月11日当日で、同校では追悼式典が行われました。私たちも、イギリス人記者とともに、出席させていただきました。被災し、亡くなった方々を悼むと共に、子どもたちからは、この震災での経験をバネに、より強い自分へと成長していこうという意思が感じられる作文の発表もありました。


福島市立福島第一中学校での東日本大震災追悼式典の様子

いわき市では、警戒区域からいわき市に避難している高校生二人がインタビューに応じてくれました。二人は、今年2月に仙台で行われた放射能リテラシーワークショップに参加した子どもたちです。

高校生たちは、震災・原発事故後、防護服を着て、いまだ警戒区域になっている自分たちの生まれ故郷を訪問した際の写真を記者に見せながら、自分たちの気持ちを率直に話してくれました。

また、SCJの放射能リテラシーワークショップについて、例えば食品の選び方など、自らの身を守るため、放射能について知り、自分で考え、判断する力を養うこのワークショップが、その後の生活で役立っていると教えてくれました。
この他、子どもたちへのインタビューに加えて、放射線の専門家へのインタビューとして、放射能リテラシーワークショップで講師を務めるNPO法人 市民科学研究室 代表理事 上田昌文さん、二本松市にあるNPO法人 放射線衛生学研究所 理事長 木村真三さんのお二人を訪問し、震災以後の福島県における放射線による汚染状況や、福島県での放射線教育、SCJが実施する放射能リテラシープログラムなどについてご意見を伺いました。

これらのインタビューを元に、イギリス人記者のジュリアさんが執筆した記事が、5月23日付けのイギリス人の教育関係者向けの週刊新聞、「タイムス・エデュケーショナル・サプリメント」(web版)に掲載されています。※以下のアドレスからご覧になれます。
“Building a future after Fukushima”(英文のみ)
(日本語訳)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、これからも積極的に被災地の現状について発信を行い、福島県の子どもやおとなたちの声を、世界中の皆さんに伝えていきます。


<放射能リテラシープロジェクトについて>
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、福島プログラムの一環として、2013年9月から放射能リテラシープロジェクトを始めました。このプロジェクトは、福島の子どもたちが、放射能について学び、さまざまな情報や報道を読み解き、自分なりに判断する力を身につけることを目的としています。昨年11月から試作版ワークショップが始まり、2014年1月現在、福島県福島市といわき市の中学校で実施しています。


(報告:福島事務所 望月里沙)
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