2015年11月4日 第三回国際母子栄養改善議員連盟会合 報告

途上国における子どもや母親の栄養問題に対する国際的な関心の高まりを受けて設立された国際母子栄養改善議員連盟の第3回会合が、2015114日に衆議院議員会館にて行われました。本議員連盟は、国際的な栄養問題に対する日本の官民学、さらには市民社会の効果的な連携による取り組みの促進を目的としています。今回は3回目の会合ということもあり、今後の具体的な取り組み方針についても報告がありました。

当日は、あべ俊子議員の司会進行のもと、武見敬三議員からのご挨拶から始まりました。今回は塩崎恭久厚生労働大臣にも出席していただき、今後のグローバルな保健の課題の解決に向けて、政府や経済界・学界だけでなく市民社会も加わった連携の重要性と、これまでの栄養問題への取り組みに関する日本の知見の途上国への共有、さらに日本国内における栄養問題の改善について、厚生労働省の考えを表明していただきました。柴山昌彦総理大臣補佐官からは、母子栄養改善に向けての省庁の壁を超えた横断的な取り組みの必要性についてお話していただきました。その後、原丈人アライアンス・フォーラム財団代表理事より、栄養不良対策としてスピルリナが持つ可能性について講演をしていただきました。

塩崎恭久厚生労働大臣より、国際的な栄養問題に対する厚生労働省の立場を表明していただきました。Ⓒセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン


今後の具体的な取り組みとして、平林国彦ユニセフ東京事務所代表から「国際母子栄養改善国家戦略タスクフォース」の設置についてお話がありました。このタスクフォースは、国際的な栄養問題への日本政府の取り組みの拡充と、それに準ずる日本政府のコミットメントの表明がされることを目標としています。具体的には、食料・栄養に関する分科会と保健・水と衛生に関する分科会を設置し、そこでの議論を踏まえて官民学、市民社会、国連機関等が参加する協議会において国家栄養戦略作成に向けた議論の取りまとめを行うという仕組みです。このようなタスクフォースの設置により、マルチステークホルダーによる国際的な母子栄養問題の改善が期待できます。

国会議員や各省庁、政府系機関、企業、国際機関、NGO、大学などから約130名の参加がありました。Ⓒセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

最後に、来日中であったビル&メリンダ・ゲイツ財団のジェフリー・ラム氏からも、栄養改善は、世界の健康改善のための根本的な課題であるとの主張がされました。ゲイツ財団からの拠出は毎年およそ50億ドルに及びますが、そのうちの30億ドルが幅広い世界の健康問題のために使われています。今回、2020年の東京オリンピックまでにゲイツ財団として少なくともさらに7億ドルを栄養改善に拠出するとの方針が発表されました。このように民間財団と効果的なパートナーシップを築くことは、国際的な栄養問題の改善に向けての大きな原動力となります。

今回の議員連盟において市民社会とのパートナーシップの重要性について強調されていたことは、日本国内のNGOにとって大きな進展であるといえるでしょう。一方で、議員連盟やタスクフォースの活動が画餅で終わることのないようにするため、市民社会が積極的に関与・モニタリングすることが求められます。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、子どもを支援する国際NGOとして議員連盟との活動に尽力していきます。

 


アドボカシー・インターン 北畑祥子

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