(公開日:2016.01.08)
NPO向け「子どもにとって安心・安全な組織・事業づくり」研修を行いました(2015年12月6日)
- 日本/東日本大震災/コミュニティ・イニシアチブ
2015年12月6日、仙台にて「子どもにとって安心・安全な組織・事業づくり」研修を行いました。今回は師走の忙しい最中、6団体6名の方が希望してご参加下さいました。皆さん大変熱心で、全員参加で意義深い議論や意見交換ができました。
コミュニティ・イニシアチブでは、助成による資金支援だけではなく、NPOの運営面や技術面への支援も実施しています。ここで言う「技術支援」とは、子どもの権利実現に向けて必要な知識や実践に関する情報提供、研修などを指します。特に2014年以降は、「チャイルド・セーフガーディング(子どもにとって安心・安全な組織・事業づくり)」に関する研修、相談受付などに力を入れています。
チャイルド・セーフガーディングとは、子ども支援活動が子どもにとって安心・安全に行われるようにするための予防的な取組みです。例えば、学校、遊び場、放課後活動など子ども支援のための場所や活動に対して、残念ながら虐待、暴力など子どもに危害を加える考えを持った人が接して来ることもありえます。またたとえ故意でなくても、子どもの安心・安全を脅かしてしまう、あるいは子どもの立場に十分配慮されないようなことが起こる可能性もあります。こうした事を予防し、子どもたちにとって本当に安心・安全な組織・事業ができるよう、セーブ・ザ・チルドレンは事業でご一緒する他の団体や寄付者(ドナー)、ボランティアなど皆様と一緒に、「チャイルド・セーフガーディング」の取組みを進めています。
さて、今回の研修です。まず、自己紹介とともに「子どもに関して気になる事」を紹介し合ってから、「子どもの権利条約」のポイント説明と意見共有からスタート。ある子どもの写真から「この子のねがい」を考えるワークを通じて、全員で「子どもの権利」の中身を考えていきました。
そしてセーブ・ザ・チルドレンが進める「チャイルド・セーフガーディング」の内容を紹介。まず、活動に関わるおとなが子どもに対してしてはいけないこと、留意すべきことを定めた「行動規範」の内容を紹介しました。また参加者の皆さんの団体で既に実施している約束事なども発表頂き、お互いの取組みを学びました。また併せて、子どもに対する暴力や虐待の日本の現状、通報受付などの仕組みも見て行きました。
次にお話ししたのは、子どもたちや保護者にチャイルド・セーフガーディングの取組みを伝え、子ども自身が嫌な事に遭ったら遠慮なく伝えられるよう、相談窓口を設け周知すること。またボランティアやスタッフが活動に新しく参加する際、子どもの安心・安全を守るため事前に知らせておくべきこと、気を付けるべきポイントなどもまとめました。そして、万一子どもの安心・安全が脅かされる事態が起きた場合に備え、団体の中で速やかに連絡し対応する仕組みも予め用意しておくのが大切だとお話ししました。
次は、「もしもこんな場面にであったら?」を考えるワーク。
今回取り上げたのは、「子どもとスタッフが二人きりで行動している」「SNSで子どもとボランティアがつながって、団体の活動外で会おうとしている」といった場面です。チャイルド・セーフガーディングの観点から何が問題なのか、どう対応すべきかを話し合いました。
最後に、各団体の活動に沿って、子どもの安心・安全のために考えるべきリスクを洗い出し、対策を考えるワークをじっくり行いました。
各団体で子どもの安心・安全に関し気になる事を書き出し、その対応策を考えて行きます。そしてグループを入れ替わりながら意見交換し、互いの考えや取組みを参考にしながら、具体的にどう対策を進めればよいのか、考えを深めていきました。
最後に、「本日の収穫」を発表。
団体で明文のスタッフルールがこれまでなかったという参加者の方は、この日紹介した「行動規範」を団体独自で考えたいと話して下さいました。他の団体のスタッフマニュアルなども参考になったようです。別の参加者の方は、Facebookなどソーシャルメディアに写真を勝手に載せないなど、参加者・スタッフとのルール共有が大切!そのためにも日頃のコミュニケーションをもっと密にしたいと発表されました。
今回も参加者の皆さんが気づいていらっしゃいましたが、子どもの安心・安全を真剣に考えると、実は団体全体の意思疎通、大切にしたい価値観など、組織の根本の見直しに行きつくこともよくあります。チャイルド・セーフガーディングの取組みが、セーブ・ザ・チルドレンならではのNPO支援の一つとして、NPOの皆さんのお役に立てばと思っています。
(報告:東日本大震災復興支援事業部 瀬角)