アートが伝える、難民の子どもたちの思い



まるでおとぎ話の絵のような、8枚の写真。これらは、セーブ・ザ・チルドレンのプロジェクトとして、写真家パトリック・ウィロク氏が「難民」をテーマに撮り下ろした作品です。

写真撮影が行われたのは、14万人以上が暮らす世界最大規模のタンザニアのニャルグス難民キャンプと、100万人以上のシリア難民(うち半数以上が子ども)が国境を越えて生活をしている隣国レバノンのベカー渓谷。セーブ・ザ・チルドレンは、両国で、難民の子どもたちへ心理社会的サポートの一環として、「こどもひろば」を運営しています。

ウィロク氏は、数カ月にわたり難民の人々と生活を共にしながら、子どもたちとその家族を対象にした美術と工芸のワークショップを実施。子どもたちから語られた証言をもとに、難民の人々の暮らしの中にある身近な材料を使って美術セットをつくりました。セットの中では難民の大人や子どもたちが自らポーズを決め、将来への希望、恐怖や日々の困難を視覚的に再現しています。



ウィロク氏は言います。「プロジェクトが始まった時の私の目標は、難民の話を今までとは異なった方法で語ることでした。主流メディアで目にする難民イメージの多くはどれも同じで、月並みな表現の繰り返しです。だから、実際に子どもたちの意見を聞いて、一緒になってセットをつくり、彼らの思いを体現したかったのです。」

「コミュニティーや地域の職人を巻き込み、人道支援物資を再利用した材料を使うことで、損失や避難生活の象徴であるものを、子どもたちが自らを表現するキャンバスに変えようと思いました。全体の雰囲気を色彩豊かで幻想的にすることで、話をことさらドラマチックにせず、見る人の不安をあおらない作品にしたかったのです。まるで子どもたちがつくった、大人向けの劇やおとぎ話のように。」

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経済的な困窮、言葉の壁、家族を支えるために働かなければならない、正式な書類がそろわずに転入の手続きができない、避難先の国の学校設備が限られている、など様々な理由により、難民の子どもたちが学校に通う割合は、ほかの子どもたちの5分の1です。

難民となった人々が難民でいる平均的な期間は17年と言われる現在、何百万人もの子どもたちが、数年、もしくは難民である期間ずっと教育を受けられなことは、子どもたちだけでなく、その家族やコミュニティの未来の選択肢を奪い去ることです。

学校は、子どもたちにとって勉強を学ぶだけでなく、医療や社会的保護などの基本的な権利が守られる安全な場所です。セーブ・ザ・チルドレンは、すべての難民の子どもたちが、ひと月以上、基礎的な教育へのアクセスから阻害されないよう求めています。

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【難民の子ども写真プロジェクト 各写真の詳しい説明へ】
「児童労働(Child Labour)」
「教育(Education)」
「私たちの夢(Our Dream)」
「何が起きた(What Happened [The Past])」
「こどもひろばはオアシス(CFS, an oasis)」
「山旅(The Mountain Journey)」
「薪拾い(Firewood Collection)」
「マラリアのお医者さん(Doctor Malaria)」


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