【防災・気候変動対応能力強化事業】変化する子どもたちの防災意識

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、災害が慢性化しているベトナム南部(ホーチミン市、ティエンザン省)において、2013年から学校での防災教育事業を実施してきました。2015年度は、ホーチミン市カンザオ区の小学校3校、中学校2校とコミュニティにおいて、「防災・気候変動対応能力強化事業」を実施。カンザオ区での活動は、2014年に続き2年目になります。2014年にカンザオ区で実施してきた防災・気候変動対応能力強化のための活動が定着し、普及していくよう、2015年は対象校を2校(小学校1校、中学校1校)から5校に増やし活動を実施しました。


カンザオ区は、北はメコン川の支流が流れ込み、南は海岸線が20キロにわたるなど、
その地形から塩害、高潮、台風、洪水などの災害や気候変動の影響が大きい地域です。
(出典:https://cmsdata.iucn.org/downloads/bcr_factsheet_can_gio_final.pdf)

事業に参加することによって子どもたちの意識がどのように変わっていったのでしょうか。防災教育の一環として行われた、防災子どもクラブの活動の様子を通じて、ご報告します。

防災子どもクラブは、有志の子どもたちが集まって、防災や気候変動について学ぶ課外活動です。2015年度は、カンザオ区の対象校5校で、計15の防災子どもクラブが設置されました。そして、小学3年生~中学2年生の418人(男子203人、女子215人)が、この活動に参加しました。

子どもたちは、放課後、課外活動の時間に月2回、歌やゲーム、グループワークを通じて、防災および気候変動について学習。学んだ知識は、子どもたちが、実際に事業地で起こっている洪水などの災害に備えるため、どのような行動をとればよいのか、災害時には何に気を付けて行動すればよいのか、について考えるグループでの話し合いや啓発ポスター作成などに生かされました。


防災子どもクラブで啓発ポスターを作成する子どもたち。Long Hoa中学校、2015年2月

Long Hoa中学校は、2014年の事業でも対象校になっており、防災子どもクラブの活動は、2年目。昨年に引き続き参加した子どもたちは、今年初めて参加する子どもに比べて、学んだ知識を生かしながら、地域で起こりうる災害を子どもたち自身の問題として考えることがよりできるようになっています。

子どもたちの防災意識の変化は、次の写真に写る2枚の啓発ポスターからもうかがえます。左のポスターは防災子どもクラブに参加して1年目の子どもたちの作品、右のポスターは参加して2年目の子どもたちの作品です。左の作品は、対象地域では起こることがない火山の噴火について描かれ、ポスターから読み取れるメッセージは安全な場所に避難しようという一点のみです。


作成した啓発ポスターにこめられたメッセージを発表する子ども Long Hoa中学校、2015年2月

一方で、右の作品は、カンザオ区で頻発する洪水について描かれています。増水でボートが流されないようしっかり固定されている様子、増水した川から水が流れ、村が浸水しないよう石垣が積まれている様子、貴重品や非常食が入った非常袋を持って避難する人、早期に避難するよう呼びかけを行う人の様子など、日ごろの備えや災害時の人々の役割分担が細かく描写されています。

このように、防災子どもクラブの活動を通じて、年々成長していく子どもたちの様子がうかがえます。子どもたちは継続して学んでいくことで、子どもたち自身の問題として地域の災害を振り返り、起こりうる災害のリスクや被害をできるだけ限り小さくするためにどのようなことができるかを、一人ひとりが積極的に考えるようになっています。

本事業は、皆様からのご寄付および株式会社ファミリーマートのご支援により実施しました。

(ベトナム担当:真嶋 五月)
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