学校を軍事利用から守る「学校保護宣言」に日本政府も調印を



セーブ・ザ・チルドレンは、国際人権団体ヒューマンライツ・ウォッチとともに、武装紛争下で、学校や大学が軍事目的の使用から守られることを明示した国際的な指針「学校保護宣言(Safe School Declaration)」への日本政府の調印を求める「学校保護宣言キャンペーン」を実施しています。

■軍事目的で利用される学校
「教育を攻撃から守る世界連合(Global Coalition to Protect Education from Attack:GCPEA)」の最新の調査で、2013年~2017年の間に、世界29ヶ国で、学校や大学が軍事利用(兵舎、軍事拠点、基地として利用するための占拠、射撃の訓練場としての使用など)されたり、学校が破壊されたり、教師や生徒が殺害されたり拉致される被害が出ていることが報告されています。

また、教師や生徒は、学校が軍事目的で利用されることにより、銃撃に巻き込まれるなどして身体的暴力の危険に晒されたり、性的暴力の危険に晒される可能性もあります。さらに、教育施設の本来持つべき機能が低下することによって出席率や入学・進学率が低下したり、安全性の問題から女子が学校に通えなくなることで通学率の男女格差が拡大したりするなど、子どもたちの教育へも影響を及ぼしています。



紛争によって破壊されたシリア北部イドリブの教室


同じくシリアでの紛争によって破壊された教室


■「学校保護宣言」とは
このような現状を受け、GCPEAは、世界中の全ての人々が安心・安全な環境で学ぶことができる社会を目指し、2012年に、「武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドライン」の策定に着手しました。このガイドライン策定の動きは、2014年以降は、ノルウェーとアルゼンチン両政府が主導する形で引き継がれ、2015年「学校保護宣言」としてオスロ会合で発表されました。


「学校保護宣言」には、主に次のようなことが述べられています。
1. 軍事利用の目的で、開校中の学校を使用することの禁止
2. 民間人が退去後の学校の使用は最終手段の場合のみとすること
3. 武装紛争下における学校の意図的破壊の禁止
4. 敵が軍事目的で使用している学校への攻撃をする際、事前警告をするなど代替手段の検討義務
5. 戦闘部隊による学校警備の原則禁止
6. 「武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドライン」の実施


2018年4月現在、フランス、カナダ、英国を含む74ヶ国が、この「学校保護宣言」に調印し、学校を軍事目的での利用から守ることを支持しています。


■「学校保護宣言」への日本政府の調印を目指して
この「学校保護宣言」に、2018年4月現在、日本政府は調印をしていません。セーブ・ザ・チルドレンとヒューマンライツ・ウォッチは、日本政府の調印を求め、現在、「学校保護宣言キャンペーン」を実施しています。

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