世界肺炎デー 肺炎で命を落とす子どもは39秒に1人

セーブ・ザ・チルドレンをはじめとする国際的に活動する子ども支援団体や国際機関は、11月12日「世界肺炎デー」に共同声明を発表し、忘れ去られた感染症とも呼ばれる肺炎について、世界的な行動を呼び掛けました[1]。


肺炎と闘う子どもと回復を願う母親(コンゴ民主共和国)

最新の分析によると、世界中で、昨年(2018年)1年間に、肺炎で死亡した5歳未満の子どもは80万人以上にのぼることが明らかになりました。これは39秒に1人の割合で死亡していることに当たり、5歳未満の子どもの死亡原因の第1位となっています。また、亡くなった子どもの大半は2歳未満であり、約15万3,000人の生後1ヶ月以内の新生児が命を落としています[2]。


2018年の5歳未満の死因第1位は肺炎。次いで下痢症、敗血症、マラリア、破傷風/髄膜炎/脳炎、はしか、HIV/エイズとなっている(ユニセフ調べ)

肺炎はワクチンによって予防できる病気であり、また、適切に診断がされれば、低価格の抗生物質によって簡単に治療できます。しかし、数千万人の子どもたちが未だワクチン接種を受けられておらず、症状のある3人に1人は、必要な治療を受けられていません[3]。深刻な肺炎を患ったケースでは、酸素治療が必要となることもありますが、最貧困国ではそういった設備があるのはまれです。

さらに、肺炎に取り組むための資金は、他の病気と比べてもはるかに少なく、 5歳未満で亡くなる子どもの死因の15%を占める病気であるにもかかわらず、現在、世界の感染症研究費で肺炎に割り当てられるのは3%のみとなっています。

セーブ・ザ・チルドレンをはじめとする国際組織は、以下のことを呼び掛けています。

・最も罹患率の高い国の政府は、肺炎による死亡数を減らすため、肺炎の対応戦略を策定・実施し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC) のより広範な戦略の一環として、プライマリ・ヘルスケアへのアクセスを改善すること。
・より豊かな国々と国際ドナー、民間企業は、主要ワクチンのコストを減らし、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)の増資を成功させることによって、予防接種率を向上させること。また、肺炎についての研究とイノベーションの資金を増やすこと。
■レポート「FIGHTING FOR BREATH CALL TO ACTION End childhood pneumonia deaths」(全文、英語)はこちら

[1] ISGlobal, Save the Children, UNICEF, Every Breath Counts, Unitaid and Gavi, the Vaccine Alliance.これらの組織は、”la Caixa” FoundationとBill and Melinda Gates Foundation、USAIDとともに、2020年1月29日~31日にスペインでGlobal Forum on Childhood Pneumonia を開催する。
[2] ユニセフ調べ。WHOとMaternal and Child Epidemiology Estimation Group (MCEE) の2019年9月作成の中間予想。
[3] 2018年は、7,100万人の子どもたちが、肺炎球菌ワクチンの推奨される接種回数分を受けられず、肺炎のリスクが高まった。世界的には、肺炎が疑われる子どもの32%が保健医療施設に行けておらず、この数字は、低・中所得国の最も貧しい子どもたちにおいては、40%まで上昇する。

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