報告書『子どもであることが最も難しい場所2020』を発表-何億人もの子どもたちが子ども時代を奪われている

セーブ・ザ・チルドレンは、6月1日の国際子どもの日に、最新の世界子どもレポート『子どもであることが最も難しい場所(The hardest places to be a child 2020)』を発表しました。2017年から毎年発行している世界子どもレポートでは、世界中の何億人もの子どもたちから、本来すべての子どもたちに与えられる子ども時代(子どもたちが育ち、学び、遊ぶために安全に過ごすべき時代)が、さまざまな要因により、あまりにも早期に奪われてしまっている現状に焦点をあてています。子どもたちから、そうした子ども時代を奪う主な要因には、1.死亡、2.栄養不良、3.教育を受けられないこと、4.児童労働、5.児童婚、6.早すぎる出産、7.激しい暴力による被害などがあげられます。



本報告書では、世界180ヶ国のデータを基に子ども時代が奪われている現状についてまとめており、昨年と比較して、180ヶ国中121ヶ国で子どもたちの置かれている状況が改善していることが明らかとなりました。これは、世界各地で子ども時代が守られてきている結果とも考えられ、必要な資金を投入し、衡平な政策を実施すれば、子どもたちの状況が改善することを示しています。しかし、改善の速度は遅く、特に19ヶ国においては状況がかなり悪化しています。


また、サハラ以南アフリカのいくつかの国の子どもたちが、最も早く子ども時代を奪われていることや、先進国においても多くの子どもたちが子ども時代を早くに失っている現状も明らかとなりました。例えば、米国の子どもたちは、他の欧州諸国と比較すると5歳未満児の死亡率や少女による出産率、子どもの殺人被害率が高く、子ども時代を十分に過ごすことができていません。そうした現状を受けて、今年の世界子どもレポート『子どもであることが最も難しい場所2020』を補完するものとして、セーブ・ザ・チルドレンUSA(米国)は、各州における(1)栄養不良、(2)十分な教育を受けられないこと、(3)10代の妊娠、そして(4)病気・事故・殺人被害・自殺による早すぎる死の4つの要素に基づいて米国の子どもたちの州間の格差を指摘し、縮小することを呼びかけた『機会の失われた地(The land of inopportunity)』を発表しました。




セーブ・ザ・チルドレンが今回発表した世界子どもレポートでも、世界で数億人の子どもたちの子ども時代が奪われていることが明らかになりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大をうけて、もともと脆弱な立場にある子どもたちは、さらに困難な状況に陥っています。世界中の子どもたちを貧困や差別、暴力などから守るために、国際社会からより多くの資金投入が必要とされており、日本政府にも引き続き資金拠出が求められます。

グローバル版世界子どもレポート『子どもであることが最も難しい場所2020』全文(英語)はこちら
米国版世界子どもレポート『機会の失われた地』全文(英語)はこちら
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