(公開日:2020.07.20)
企業がサステナビリティを追求する理由~オンライン講演会からの学び~
- 企業連携
<コロナ禍でのビジネスの在り方>
コロナ禍の後には、社会の仕組みや価値そのものが大きく変わっていくことが予想されます。そんな今だからこそ、ビジネスを行っていく上でのパーパス(社会における存在意義)を改めて見つめなおし、本業を含め、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進していくことが、企業には求められているとセーブ・ザ・チルドレンは考えています。
そうした取り組みの一例として、セーブ・ザ・チルドレンは、グローバルパートナーである製薬会社グラクソ・スミスクライン(GSK)株式会社とともに、世界の健康課題や子どもたちが直面する課題解決を目指し、年に数回、社員向けキャンペーンを行っています。このキャンペーンでは、同社社員が他社の事例を学ぶことで、持続可能な開発目標(SDGs)への理解をさらに深め、実践していくことを目的として、他社の事例の講演企画を行っています。今年は、6月17日と18日に、セーブ・ザ・チルドレンのパートナーでもあり、サステナビリティ(持続可能性)をビジネスの核にしているスウェーデンのファッションブランド、H&M(エイチ・アンド・エム へネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社)のCSR/サステイナビリティ・コーディネーター山浦誉史氏を講師に招き、オンライン講演会を開催しました。
今回の講演会は、GSK社員向けに企画されたものですが、多くの企業にもサステナビリティ推進の具体的な事例を知ってもらい、今後の取り組みに役立ててもらえるよう、GSK社以外の企業にも講演会を公開し、講演終了後にはオンライン企業間交流会も実施しました。
コロナ禍で、ビジネスの在り方そのものが問われているなか、H&M社がなぜサステナビリティに取り組むのか、そして新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、企業による社会課題解決への取り組みは、果たして継続可能なのか、議論の中身をお伝えします。
<なぜサステナビリティに取り組むのか>
講演で強調していたのは、H&M社にとってサステナビリティとは、単なる社会貢献ではなく、また、成長や利益を犠牲にすることなく、ビジネスを長く続け、成長していくための能力としてとらえていることでした。
人口増・資源枯渇・気候変動という世界的な課題に社会が直面する中、ビジネスを前進させていくためには、限りある資源を採って、使って、廃棄するという直線型の経済から、再生可能なエネルギーを用いた循環型経済に転換していかなければなりません。そのために同社は、環境・社会・経済の3分野に包括的にアプローチすることを目指し、自社のビジネススケールや社会的影響力を踏まえ、ファッション性と両立する形で、社会へのインパクトをもたらそうとしています。
セーブ・ザ・チルドレンとの連携についても、子どもは将来の消費者・顧客、重要なステークホルダーであり、長期的な視点で見ると、子どもたちへの支援は未来への投資でもあるとの観点から進めていると述べていました。
<コロナ禍でサステナブル活動はどう変わる?>
講演後に実施した交流会の参加者からも同様の質問がありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は、こうしたサステナビリティ戦略にどのような影響を与えているのでしょうか。
アパレル業界は、コロナ禍で大変厳しい状況に直面していますが、この状況下で、サステナビリティへの取り組みはむしろ加速するというのが山浦氏の見解でした。サステナビリティを追求していくには、先述のように、社会貢献の視点に加え、経済という視点が重要です。何も取り組まないままでいくと将来のビジネスを失うことになり、そのことが長期的には大きなコストとなりえます。今から10年後、自分たちの雇用があるか、産業があるか、という視点でサステナビリティを捉えることが大切という意見には、他の企業の参加者からも賛同の声がありました。
2030年までに世界が達成すべき共通の目標である持続可能な開発目標(SDGs)がつくられた背景にも、従来型の経済では、もはや世界が立ち行かないという強い危機感があります。そして、世界的な規模でビジネスモデルの変革が求められているコロナ禍の今だからこそ、アフター・コロナの時代に向けて、サステナビリティの追及がますます重要になってきているのではないでしょうか。
社会課題に目を向け、その解決に取り組むことが持続可能なビジネス環境の創出につながり、ビジネスの成長にもつながります。セーブ・ザ・チルドレンは、こうした考えを企業の皆さまと共有し、パートナーシップを通じて、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
(報告:パートナーリレーションズ部 法人連携チーム 吉田克弥)
セーブ・ザ・チルドレンは、毎年600以上の企業・団体の皆さまとさまざまな形で連携し、子どもたちを取り巻く課題解決のために、緊急・人道支援や教育、子どもの保護、保健・栄養などの分野で、日本を含む世界約120ヶ国で活動しています。これからも、企業の皆さまとも協力・連携しながら、子どもたちを取り巻く社会課題の解決に取り組んでいきます。
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