(公開日:2021.11.01)
【声明】G20サミットに対するセーブ・ザ・チルドレンの声明
- 提言・声明
2021年10月30日と31日に、イタリア・ローマで開催されたG20サミットは、より衡平で、健康的で、環境に優しい世界に向けていくつかの進展を見せました。
一方、新型コロナウイルス感染症や気候変動問題、紛争という3つの危機は、貧困と不平等へのここ数十年の取り組みを後退させる恐れがあり、G20はこれに対抗する措置を打ち出す必要があったにもかかわらず、G20サミットに参加した世界の首脳たちが、最も差し迫った財政問題や、世界中で苦境にある経済に対して示した答えは言葉だけにとどまり、具体的な進展はほとんどありませんでした。
セーブ・ザ・チルドレンは、G20各国に対し、事態の緊急性に鑑み、2021年に1,000億ドル(約11.4兆円)、2022年にさらに1,000億ドルの資金を拠出することを求めていました。
全体として、開発のための資金調達は、すでに合意された公約を反映したものとなっています。一方で、債務返済と保健・栄養、教育、社会的保護など子どもたちにとって重要な分野への投資との間で困難な決断を迫られている国々に対する債務救済の加速化と深化のための具体的な行動は、いまだ保留されています。
私たちは、世界保健機関(WHO)が推奨する、2021年末までに世界人口の少なくとも40%、2022年半ばまでに70%に新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種するという世界目標へのG20の確約と、低・中所得国における現地生産への支援を評価します。しかし、G20の首脳陣は、ワクチン投与の明確なスケジュールを示すことができず、新たなワクチン供与やACTアクセラレーターへの資金提供についても約束しませんでした。現在、低・中所得国に届いているのは、約束された量の14%に過ぎません。
これは、世界的な連帯の約束が空虚なものであることを改めて示しています。すべての人が安全になるまで、誰も安全ではありません。ワクチンの分配、公正な資金調達、ワクチン供給の拡大に関する具体的な行動につながる強い政治的意志がなければ、世界はこの新型コロナウイルス感染症の流行を終わらせ、子どもたちの未来を守ることはできません。
セーブ・ザ・チルドレンは、WHOの主導的・調整的役割を強化するためのG20の支援や、保健と金融の関係を強化し、資源動員力を向上させるための「金融・保健合同タスクフォース」の設立を歓迎します。しかし、新しく設立されたいかなる機関も、グローバル・ヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)において、その任務の範囲で役割を果たす必要があることを強調します。
私たちは、教育が包摂的で持続可能な経済回復のための極めて重要なツールであるというG20 の認識を歓迎します。また、女性や少女、弱い立場に置かれた生徒に特に配慮して、すべての人が質の高い教育を受けられるようにし、教育システムを包摂的で適応力と回復力のあるものにするという公約も歓迎します。加えて、私たちは、少女のエンパワーメントに極めて重要な役割が認められていることも高く評価します。しかし、すべての子どもたちに教育を受ける権利を適切に保障するためには、資金面でのコミットメントと具体的な行動により裏付けられる必要があります。
気候危機への対応について、G20各国はそれぞれ異なる立場をとっていますが、地球温暖化を産業革命以前の水準から1.5℃に抑えるための努力を追求するという合意は評価すべきことで、世界の排出量の約80%を占めるG20からの力強いメッセージです。第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、この目標を達成するための迅速で強い政治的意思のある具体的行動や、低・中所得国を支援するための気候変動資金の増加が求められます。
私たちは、世界各国の首脳や代表に対し、彼らの言葉を実現することを強く求めます。