COP26:子どもたちの声は届かず-空虚な言葉と十分な行動の約束もなく閉幕

2021年10月31日からイギリス・グラスゴーで開かれていた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、会期を1日延長し、13日に成果文書が採択され閉幕しました。
COP26で行われた若者による抗議活動(イギリス・グラスゴー)

COP26の結果を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、「史上最も包括的な締約国会議(COP)」になることが期待されていたにもかかわらず、その期待とは裏腹に、各国首脳や代表たちが子どもや若者に対して十分な成果を示せなかったと考えています。

マラウイから参加した気候変動問題に関するユース活動家のドロシー・カゾンボ・ムワレさんは、次のように訴えます。
「何度も何度も会議を行っていますが、結果が出ていません。私たちの未来を守るために交渉の場に子どもたちも参加させてください。COP26に、子どもや若者たちが実際に参加することはできなかったため、私たちが意見を述べたり、私たちが求める決定がなされるように影響を与えることが難しいと感じました。」

COP26が開幕していた2週間の間に、世界で500万人以上の子どもが生まれました。新たに誕生した子どもたちが生きる世界は、祖父母の世代と比較して、およそ7倍の熱波、2.6倍の干ばつ、2.8倍の河川の氾濫、約3倍の農作物の不作、2倍の森林火災に直面すると予測されています[i]。こうした異常気象は、すでに不平等や差別などを受けている子どもたちや低所得国の子どもたちに、より深刻な影響を及ぼします。

セーブ・ザ・チルドレンとブリュッセル自由大学の共同報告書『気候危機の中に生まれて』では、今後、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることができれば、2020年に生まれた子どもたちがその生涯において直面する猛暑の割合を45%、干ばつを39%、農作物の不作を28%減らすことができると指摘しています。しかし、COP26を通して、世界で新たな誓約が結ばれたとしても、世界の温室効果ガスの排出量削減は、温暖化を1.5度に抑え維持するためには不十分だという分析結果も発表されています[ii]。

COP26は、気候変動による「損失と被害(Loss and Damage)」の不公平に対処することができませんでした。「損失と被害」とは、気候変動に適応しきれず、その結果もたらされる異常気象等による被害や土地の消失、地域社会の崩壊を指します。高所得国と、歴史的に排出水準の高い国は、急速に拡大する損失と被害に対処するために新たな追加資金を拠出し、また2023年までに新たな損失・被害対策基金をつくる必要があります。

加えて、その他の気候変動対策のための資金拠出の約束も不十分で、緩和策と適応策の資金のバランスが十分にとれていません。多くの国では、適応策にかかる人的・経済的コストが増大しており、これ以上資金が拠出されることを待つことはできません。

気候変動の対策を前進させるため、若者はすばらしいリーダーシップを発揮しています。しかし、彼らはCOP26の正式なプロセスに参加することはできず、大人たちは、子どもの権利条約で約束されている子どもの最善の利益のために行動することができませんでした。セーブ・ザ・チルドレンは、今回のCO26が、「最も包括的な(誰一人取り残されない)COPになる」と期待されていたにもかかわらず、史上最も排他的な(多くの人が取り残される)COPになってしまったと考えています。

COP26の開催期間、そして現在も、若者たちは彼らの未来がCOP26にかかっていると訴えてきました。若者や子どもたちは、国連に気候危機を緊急事態と宣言するよう求めることから、気候変動への取り組みが不十分な国において、気候変動訴訟を起こすこともできます。子どもたちや若者は自分たちの権利を理解しており、引き下がることはありません。子どもたちが求めているのは、声を上げるという形だけの機会ではなく、影響を与え、行動を起こすことができる機会です。




[i]Based on methodology used in Born into the Climate Crisis, and UN estimates that there are, on average,  140 million births per year
[ii] Glasgow’s one degree 2030 credibility gap: net zero’s lip service to climate action | Climate Action Tracker




































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