【イエメン タイズ県】地域と学校への水・衛生支援と子どもの保護システム強化支援を開始しました

イエメンでは、6年以上にわたり紛争が続いており、国民の3分の2にあたる2,070万人が緊急・人道支援を必要としています[1] 。そして、そのうち半分の1,130万人は子どもです[2] 。


地域の給水システム修繕の様子

イエメンでは10秒に1人、子どもが、感染症などの予防可能な病気で亡くなっています。感染症の流行を防ぐためには、適切な手洗いなどが重要ですが、紛争の影響で安全な水やトイレなどを含む水・衛生施設の利用が難しい状況が続いています。そのため、イエメン全土で国民のおよそ半分にあたる1,540万人が水・衛生支援を必要としています[3] 。

また、紛争が始まって以来、9,200人以上の子どもたちが死傷しています[4] 。紛争による経済の悪化により世帯収入が減ったため、子どもたちは児童労働や児童婚などを強いられることも多いです。

紛争が激しい地域から、国内の他の地域に逃れてきた国内避難民と呼ばれる人の中には、大人に付き添われていない子どもや主たる養育者と離ればなれになった子どもが30%います。

そのような子どもたちは、緊急下で守ってくれる人がいないため暴力に晒されるリスクが高くなっており[5] 、子どもたちを守る(子どもの保護)支援も必要です。

こうした状況を受け、2021年10月1日より、セーブ・ザ・チルドレンは、イエメン南西部に位置するタイズ県で、地域と学校での水・衛生支援と、地域の子どもの保護のシステム強化のための事業を開始しました。

この事業では、地域の給水システムを修繕し、子どもを含む地域の人たちが安全な水を利用できるように支援します。また、修繕後に地域で給水システムを適切に維持していけるように、地域の人たちによる管理のための委員会設立を支援し、研修も行います。同時に地域の人たちからボランティアを募り、ボランティア主体で地域の人たちが正しい手洗いなどの衛生習慣を身に着けることができるように啓発活動を行います。

地域での活動に加えて、学校でも水・衛生支援を行います。学校の水飲み場や手洗い場、トイレなどの水・衛生施設の整備、子どもたちや教員、保護者に対する感染症予防に関する啓発活動、石けんなどを含む衛生用品の提供などを行う予定です。

セーブ・ザ・チルドレンは、子どもや地域の人たちの声を事業に活かすことを大切にしています。地域や学校での水・衛生施設の修繕などのときには、子どもや地域の人たちとの対話を行い、対話で得られた意見を反映しています。


学校で子どもの権利や子どもの保護に関する研修を行っている様子 

さらに、子どもたちを守る(子どもの保護)支援では、スクールソーシャルワーカーに対して研修を行うことで、支援を必要としている子どもを特定し、必要な支援につなげられるようにします。

また、子どもたち自身や保護者、地域の人たちが、子どもたちを暴力などから守る活動(子どもの保護)の重要性について理解できるように、研修や啓発活動も行います。

事業では、子どもの参加する権利を尊重し、子ども自身が自由に意見を表しながら、周りの子どもたちとともに学んでいけるように、今後、子ども主体の活動の支援も行います。具体的には、子ども自身が子どもの保護に関する問題を理解し対処できるように、子ども会を形成し、子ども会主体で学校の生徒を対象にワークショップを開催するなどの活動を予定しています。

このような活動を通して、子どもや地域の人たちが安全な水の利用や衛生的な習慣を身につけ、子どもが暴力などから守られた安心・安全な環境で過ごしていけるよう支援していきます。

本事業は皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部 田部井梢)

[1] OCHA, “Humanitarian Response Plan Yemen 2021”, p.7
[2] UNICEF, “Humanitarian Action for Children”, p.1
[3] OCHA, “Humanitarian Needs Overview 2021”, February 2021, p.58
[4] OCHA, “Humanitarian Needs Overview Yemen 2021”, p.79
[5] OCHA, “Humanitarian Needs Overview Yemen 2021”, p.80
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