(公開日:2021.12.03)
【報告】東京栄養サミット公式サイドイベント「栄養の危機の現場から~紛争および脆弱な状況下の栄養不良の課題と対策」を実施しました
- アドボカシー
セーブ・ザ・チルドレンは、2021年11月26日に東京栄養サミット公式サイドイベント「栄養の危機の現場から~紛争および脆弱な状況下の栄養不良の課題と対策」を開催しました。サミットの優先分野の1つとなる「脆弱な状況下における栄養不良対策」について、飢餓や栄養不良に瀕する支援現場と政策に関わる国際機関やNGO、また飢餓の根絶に向けて活動するユースを迎え、「栄養の危機」に対する迅速で効果的な対応のための課題と解決策について議論を行いました。
動画の視聴はこちらから可能です。
イベントの冒頭、今井絵理子参議院議員(国際母子栄養改善議員連盟事務局長)より、東京栄養サミットに向けた国際母子栄養改善議員連盟の取り組みや、紛争や気候変動、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により栄養不良で苦しむ子どもたちに対する日本および国際社会の支援の重要性について述べられました。
次に「紛争・脆弱な状況下の栄養不良への取り組み」として、4人のスピーカーから発表がありました。まずUNICEF東京事務所副代表の根本巳欧氏より、4人に1人の子どもが人道危機下に暮らし、3人に2人が最小限の食事を摂れない世界の現状と、緊急栄養支援における支援団体間の取りまとめ役であるクラスターリードとしてのUNICEFの役割について説明されました。さらに、マルチセクターの支援、特に保健分野の支援との融合や、人道支援と開発支援の連携、また人道危機の状況において最も脆弱な子どもたちを重視する支援アプローチについて、さまざまな国における支援事例をあげながら紹介されました。
国連WFPエチオピア国事務所の支援事業責任者 浦香織里氏からは、WFP(世界食糧計画)が行う緊急時の中等度の急性栄養不良(Moderate Acute Malnutrition:MAM)の対応決定のためのツールが紹介され、エチオピアのティグライ州を紛争下の事例として、栄養状況の悪化要因や対応について報告がありました。また、命を救う緊急支援と慢性的な栄養不良の改善のための長期的な支援を同時並行で行い、相乗効果を出すことの重要性が強調されました。
次に、国境なき医師団の医療コーディネーターの松本明子氏より、多様なフィールドでの栄養治療の活動経験から、さまざまな国とコンテクストにおける栄養失調の事例が紹介されました。自然災害や紛争の影響で医療へのアクセスが不足したり、コレラやはしか、マラリアといった疾患と栄養失調の悪循環に陥る子どもたちがいること、また入院治療を要する重度の急性栄養失調の症状と対応のプロセスが、画像とともに紹介されました。
続いてセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部の梛野耕介からは、シリア、アフガニスタンでの母子栄養分野における人道支援について報告が行われ、保健栄養分野における課題とニーズに対し、実施されている保健・栄養モバイルチームによる活動、緊急下の子どもの栄養ケア活動、現地コミュニティやパートナー団体との連携活動について紹介され、さらに国際社会に対する提言が発表されました。
続くパネル・ディスカッションでは、栄養に関わるさまざまなセクターの役割と、求められるイノベーションや改善について各スピーカーの意見を聞きました。最初に、飢餓や食料の問題に取り組む高校生のユース・エンディング・ハンガー東京のマコ氏より、ユースの視点からの栄養不良対策として、活動に関わるようになったきっかけや、食と環境問題への取り組み、各セクターをつなぐ架け橋としてのユースの役割や、一人ひとりに求められる意識改革について発表がありました。
最後に、司会より各スピーカーに対し、栄養の人道危機への効果的な対応のために問題となっていることや、その解決策、政府や民間セクターに求められる行動、期待されるイノベーションについて質問が出されました。
スピーカーからは、セクターの枠を超えた連携、支援や資金拠出の迅速性や柔軟性、民間セクターによる人材育成や技術開発での貢献、食料生産の拠点づくり、栄養価の高い食料生産、医療アクセスの改善、セクター間の情報共有の改善、現金給付やバウチャー支援の有効性、現地文化を尊重した行動変容や能力強化、学びを深め行動するための機会や場づくり、対話の重要性など、課題解決に向けた様々な意見が挙げられました。質疑の後、各スピーカーより東京栄養サミットへの期待が述べられ、閉会しました。
東京栄養サミットは、飢餓や栄養の問題に光を当て、解決に必要な資金や政策、施策を動員するためのまたとない機会となります。各国政府、国際機関、NGO、企業など多様なセクターからの大胆で革新的なコミットメントが集まり、すべてのセクターがその役割と責任を再認識し、力を結集する機会となることが期待されています。
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イベントの冒頭、今井絵理子参議院議員(国際母子栄養改善議員連盟事務局長)より、東京栄養サミットに向けた国際母子栄養改善議員連盟の取り組みや、紛争や気候変動、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により栄養不良で苦しむ子どもたちに対する日本および国際社会の支援の重要性について述べられました。
次に「紛争・脆弱な状況下の栄養不良への取り組み」として、4人のスピーカーから発表がありました。まずUNICEF東京事務所副代表の根本巳欧氏より、4人に1人の子どもが人道危機下に暮らし、3人に2人が最小限の食事を摂れない世界の現状と、緊急栄養支援における支援団体間の取りまとめ役であるクラスターリードとしてのUNICEFの役割について説明されました。さらに、マルチセクターの支援、特に保健分野の支援との融合や、人道支援と開発支援の連携、また人道危機の状況において最も脆弱な子どもたちを重視する支援アプローチについて、さまざまな国における支援事例をあげながら紹介されました。
国連WFPエチオピア国事務所の支援事業責任者 浦香織里氏からは、WFP(世界食糧計画)が行う緊急時の中等度の急性栄養不良(Moderate Acute Malnutrition:MAM)の対応決定のためのツールが紹介され、エチオピアのティグライ州を紛争下の事例として、栄養状況の悪化要因や対応について報告がありました。また、命を救う緊急支援と慢性的な栄養不良の改善のための長期的な支援を同時並行で行い、相乗効果を出すことの重要性が強調されました。
次に、国境なき医師団の医療コーディネーターの松本明子氏より、多様なフィールドでの栄養治療の活動経験から、さまざまな国とコンテクストにおける栄養失調の事例が紹介されました。自然災害や紛争の影響で医療へのアクセスが不足したり、コレラやはしか、マラリアといった疾患と栄養失調の悪循環に陥る子どもたちがいること、また入院治療を要する重度の急性栄養失調の症状と対応のプロセスが、画像とともに紹介されました。
続いてセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部の梛野耕介からは、シリア、アフガニスタンでの母子栄養分野における人道支援について報告が行われ、保健栄養分野における課題とニーズに対し、実施されている保健・栄養モバイルチームによる活動、緊急下の子どもの栄養ケア活動、現地コミュニティやパートナー団体との連携活動について紹介され、さらに国際社会に対する提言が発表されました。
続くパネル・ディスカッションでは、栄養に関わるさまざまなセクターの役割と、求められるイノベーションや改善について各スピーカーの意見を聞きました。最初に、飢餓や食料の問題に取り組む高校生のユース・エンディング・ハンガー東京のマコ氏より、ユースの視点からの栄養不良対策として、活動に関わるようになったきっかけや、食と環境問題への取り組み、各セクターをつなぐ架け橋としてのユースの役割や、一人ひとりに求められる意識改革について発表がありました。
最後に、司会より各スピーカーに対し、栄養の人道危機への効果的な対応のために問題となっていることや、その解決策、政府や民間セクターに求められる行動、期待されるイノベーションについて質問が出されました。
スピーカーからは、セクターの枠を超えた連携、支援や資金拠出の迅速性や柔軟性、民間セクターによる人材育成や技術開発での貢献、食料生産の拠点づくり、栄養価の高い食料生産、医療アクセスの改善、セクター間の情報共有の改善、現金給付やバウチャー支援の有効性、現地文化を尊重した行動変容や能力強化、学びを深め行動するための機会や場づくり、対話の重要性など、課題解決に向けた様々な意見が挙げられました。質疑の後、各スピーカーより東京栄養サミットへの期待が述べられ、閉会しました。
東京栄養サミットは、飢餓や栄養の問題に光を当て、解決に必要な資金や政策、施策を動員するためのまたとない機会となります。各国政府、国際機関、NGO、企業など多様なセクターからの大胆で革新的なコミットメントが集まり、すべてのセクターがその役割と責任を再認識し、力を結集する機会となることが期待されています。