【活動報告】宮城県で子どもの貧困対策に関する市町村研修会を開催

セーブ・ザ・チルドレンと宮城県の共催で、子どもの貧困対策に関する市町村研修会を20211115日に開催しました。今回は2019年8月に続く2回目の開催となります。当日は、県内17の市町村から24人の子どもの貧困対策担当や教育関係者など自治体職員が参加し、自治体による子どもの貧困対策ついての事例発表や活動報告が行われたほか、グループワークを通じて子どもの貧困対策推進に向けての課題や解決のための取り組みについて話し合いました。


はじめに、2020年度に計画を策定し、子どもの貧困対策に取り組んでいる石巻市から事例報告がありました。


石巻市では計画策定に先立ち、子どもや家庭の実態を把握するため、生活実態調査に加え学校ヒアリング調査を実施しました。その結果を生かして教育・学習支援や困難を抱える子育て世帯への生活支援の充実、保護者への就労支援や相談支援の拡充といった子どもの貧困対策をまとめたと紹介しました。


石巻市では、調査結果から、特に困窮層ほど支援の利用につながっていないという実態があったことから、相談支援や関係分野間での地域連携体制の強化を重点施策として取り組んでいます。


同時に子どもの居場所づくりにも注力しており、2019年度から実施している子ども食堂や移動型プレーパークなどの居場所づくり関連の事業について、2021年度から開催条件を緩和することで、今後より多くの子どもが参加できるよう制度を拡充していきたいという発言がありました。


石巻市に続いて、宮城県社会福祉協議会より、子どもの貧困対策として子ども食堂や古本、文房具品の無料譲渡会、食イベント交流会といった地域での実施事業について事例紹介がありました。

 

セーブ・ザ・チルドレンからは、子どもの貧困に関する統計情報や、自治体の子どもの貧困対策に関する取り組み事例を紹介しました。


また
2021年に実施した「子ども給付金新入学・高校生活サポート」と「まなぶ権利×おかねヒアリング」の調査結果や、これらの結果をもとにした教育の無償化についての提言などを報告し、子どもの権利の観点から世帯の経済状況に左右されずにすべての子どもに教育の機会を保障する必要性があると発表しました。

 

研修会の後半はグループワークを行い、事例発表を受けて取り組んでみたいと思ったこと、また子どもの貧困対策を進めるにあたって日頃感じている困りごとや課題、それらの実現や問題解決のためのアクションについて、複数の自治体職員同士で話し合いました。



グループワークは、事前に宮城県保健福祉部子育て社会推進課とセーブ・ザ・チルドレンが協議し、当日はセーブ・ザ・チルドレンがファシリテーターを務めました。


意見交換後は、現在抱えている課題について、「子どもの貧困対策をすすめるにあたって、まずは現状把握ということでアンケート調査を実施したが、果たしてどれだけ正確に実態を把握できているのか不安なところも大きい。アンケート調査をどのように有効なものにしていけるのか」といった実態調査についての問題点や、行政部署内の連携の難しさ、福祉と教育との連携の必要性などが共有され、自治体間で同様の課題を抱えていることがわかりました。


参加者からは「子どもの貧困についての実態把握の重要性がわかった」、「他の自治体の取り組みについて初めて知ることが多かった」、「各市町の話が参考になった、悩みを共有できてよかった」といった感想が寄せられ、研修後のアンケートでも約9割の参加者が「参考になった」と回答しました。


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年ぶりに開催された市町村向け研修会でしたが、子どもの貧困対策を進めるにあたって、各自治体の現状や共通の課題について認識する機会となりました。


子どもの貧困対策の推進にあたっては、各自治体が地域の実情にあった対策を講じることが重要ですが、広域な視点での課題解決も同様に必要です。そのためには自治体間の問題意識や知見・実践の共有、連携の促進は欠かせません。

セーブ・ザ・チルドレンは、今後も自治体における子どもの貧困対策の推進に向けて、都道府県や市町村の取り組みをサポートしていきます。

 

(国内事業部 北見美代)

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