【モンゴル砂嵐災害対応支援】 大規模砂嵐災害で被災した子どもたちとその家族への支援終了のご報告

モンゴルでは2021年3月中旬に、西部、中部および東部地域の広範囲にわたって、風速20m~40m/秒の強風を伴う大規模な砂嵐が発生し、4,287世帯(およそ1万5,433人)が被災し、子ども2人を含む10人が犠牲になりました。また、多数の人たちが家屋の損壊や家畜を失うなど、甚大な被害をもたらしました。


配布したゲルおよび遊牧民世帯(2021年8月、ドンドゴビ県)

この砂嵐災害により被災した子どもたちと遊牧民世帯を対象に、ゲル¹および衛生キット²の配布、現金給付や子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid: PFA)に関する情報提供などの緊急支援を行いました。2021年7月5日から10月4日まで、セーブ・ザ・チルドレンがモンゴルのドンドゴビ県、ウブルハンガイ県、ゴビ・アルタイ県で実施した事業を報告します。

ゲルおよび衛生キットの配布支援では、砂嵐によりゲルが損壊した遊牧民69世帯(ドンドゴビ県:41世帯、ウブルハンガイ県:12世帯、ゴビ・アルタイ県:16世帯)に対して、ゲルを配布し、被災した遊牧民世帯が安全な住居を確保できるよう支援を行いました。


配布したゲルを設置している様子(2021年8月、ゴビ・アルタイ県)

また、遊牧民300世帯(ドンドゴビ県:160世帯、ウブルハンガイ県:70世帯、ゴビ・アルタイ県:70世帯)へ衛生キットを配布し、被災した遊牧民世帯の衛生状況の改善や砂嵐による家畜の死骸などからの伝染病のり患予防につながりました。


配布した衛生キット(2021年8月、ゴビ・アルタイ県)


配布した衛生キットおよび遊牧民世帯(2021年8月、ドンドゴビ県)

現金給付の支援では、砂嵐により甚大な被害をうけ脆弱な状態に置かれた遊牧民310世帯(ドンドゴビ県:170世帯、ウブルハンガイ県:70世帯、ゴビ・アルタイ県:70世帯)に対して、1世帯当たり100米ドル相当(約1万1千円)の現地通貨(モンゴル・トゥグルグ)を提供しました。給付後に実施したモニタリングにおいて、各遊牧民世帯は、米や小麦粉、食用油などの食料品や、衣類などの日用品、子どもの学用品などを購入したことが分かり、対象世帯の生計向上に活用されたことが確認されています。


給付金により購入した物品(食料品、日用品など)を見せる様子(2021年9月、ゴビ・アルタイ県)


給付金により購入した物品(衣類、靴、日用品、飲料品など)を見せる様子(2021年9月、ゴビ・アルタイ県)

さらに、砂嵐の影響により心理的負担やストレスを抱えた子どもたちやその養育者などの遊牧民2,500世帯に対して、心理的応急処置(PFA)のパンフレット(自然災害やその他重大な事象により引き起こされる初期の心理的負担を軽減するための情報や、砂嵐災害により心理的負担を抱える子どもたちへの親・養育者の関わり方などの情報が含まれる)を配布し、今後も発生しうる砂嵐災害への対策を促進しました。


遊牧民世帯へ配布したPFAパンフレット(2021年8月、ドンドゴビ県)


PFAパンフレットを配布している様子(2021年8月、ドンドゴビ県)

支援を受けた遊牧民世帯からのコメントを紹介します。

「私は今回の砂嵐により家(ゲル)が損壊し、また牛20頭を含めて多くの家畜を失ってしまいましたが、配布されたゲルにより、今住む家があることがとてもうれしいです。」
「私には6歳と2歳の子どもがいますが、子どもたちにとっても実用的かつ質の高い衛生キットを受け取ることができ、とても感謝しています。」
「今回の給付金により子どもたちへ学用品や衣類、靴などを購入することができました。ありがとうございました。」

今回の事業は新型コロナウイルス感染症がまん延するなかでの実施となりましたが、現地の感染状況を日々注視しつつ、モンゴル保健省が発行するガイダンスに沿って活動を行い、個人防護具の着用や消毒の徹底、十分な物理的距離をとって活動するなど、感染症対策を行いながら活動を実施しました。

本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部: 秋元光一)

¹モンゴルの伝統的な移動式住居
²石けん、手指消毒液、ハンドタオル、歯ブラシ、歯磨き粉、生理用品、粉洗剤、消毒剤、重曹など








PAGE TOP

〒101-0047 東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4F