【ウクライナ危機】750万人の子どもたちが危険に-戦闘激化

一夜にして戦闘が激化したことにより、ウクライナに暮らすすべての子どもたち、少なくとも18歳未満の750万人の子どもたちは、身体的被害や深刻な精神的苦痛、避難を余儀なくされるという重大な危険に晒されています。


ウクライナ東部ドネツクにある破壊された住居(2020年11月4日撮影)

首都キエフや東部ハリコフなどの主要都市では爆発音が響き渡り、子どもたちやその家族は地下室や防空壕に避難しています。親たちは恐怖におびえる子どもたちを落ち着かせようとしていると報告があります。また、数千人が、主に自動車で首都を脱出しています。首都の気温は氷点下まで下がっており、避難した子どもたちは昼も夜も長い間、厳しい環境下に置かれる可能性があります。

ウクライナ東部では、40万人以上の子どもたちが、銃や地雷、爆発物による負傷や死亡、自宅からの避難など、兵士や砲撃による直接的な影響を受ける危険の高い地域で暮らしています。そして、このうち少なくとも10万人の子どもたちとその家族は、2月21日以降に故郷から移動し、現在は友人や親戚、受け入れ先の家で、身を寄せ合い避難生活を送っています。

セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちの命と健やかな成長(well-being)に対するリスクを軽減するため、すべての紛争当事者に対し敵対行為の即時停止に合意することを今すぐに求めます。戦闘が続いている間、すべての関係者は、市民と民間施設、特に学校や病院を攻撃から守るなど、国際人道法に基づく義務を順守しなければなりません。加えて、人口密集地での爆発性兵器の使用は、市民、特に子どもたちに深刻な被害を及ぼすリスクがあり、何としても、そうした事態が起こることを避けなければなりません。

セーブ・ザ・チルドレン東欧地域ディレクター イリーナ・サゴヤンは次の通り訴えます。
「子どもたちは、大人が起こした紛争の矢面に立たされており、こうした事態は、あってはならないことです。

私たちが、いま最も懸念しているのは、子どもたちの心身の健康です。紛争下では、死や負傷、性暴力、さまざまな暴力に遭うリスクなど、あらゆることが起り得ます。子どもたちは爆発音を耳にし、着の身着のままで逃げることを強いられ、おびえています。子どもたちのメンタルヘルスへの影響と長期的に負う深刻な精神的苦痛の可能性は、過小評価されるべきではありません。

また、人々の避難とそれに伴う人道支援ニーズの急増も深刻な問題です。家からの避難を余儀なくされた家族は、住居や食料、安全な水など、生活に必要不可欠な支援を必要としています。加えて、現在は冬の終わりで、気温は常に氷点下を下回っています。この紛争地域に住む多くの子どもたちは、すでに十分な食べ物も、暖を取るための服も持っていません。こうした子どもたちの多くが、避難した先にあるのは安心・安全な住居ではなく、凍てつく雨や風、雪に晒される環境かもしれません。そうした深刻な事態が起こることを非常に懸念しています。」

セーブ・ザ・チルドレンは、2014年からウクライナで活動を行い、子どもたちやその家族への緊急支援として教育や精神保健・心理社会的支援(こころのケア)、越冬支援の実施、衛生用品キットの提供をしてきました。また、食料や家賃、薬の購入といった生活に最低限必要な支出をサポートしたり、新しい収入源を得られるように、現金の支援も行ってきました。
PAGE TOP

〒101-0047 東京都千代田区内神田2-8-4 山田ビル4F