(公開日:2022.02.28)
【アフガニスタン 食料支援】紛争や自然災害、新型コロナウイルス感染症の影響で食料入手が困難な世帯へ緊急食料支援を開始
- アフガニスタン
アフガニスタンは、長きにわたる紛争や頻発する干ばつなどの自然災害、また新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、深刻な食料不足に見舞われてきました。2021年8月の政変後、状況はさらに悪化しており、2022年3月までに国民の半数以上にあたる2,200万人以上が、危機的な食料不足に直面するといわれています¹。
上腕部の太さを計測した結果、重度の栄養不良と判断された18ヶ月の女子
栄養面においても、アフガニスタンにある34州のうち26州は、急性栄養不良の緊急レベルに該当しており²、国内全土で起こっている食料危機への対応は優先事項として認識されています³。また、2022年には470万人が急性栄養不良になると予測されており、その数は2021年に比べて21%増加しています。そのうちの100万人以上が子どもで、80万人以上が妊産婦や授乳中の母親だと言われています⁴。
栄養不良の原因となるのは、食料不足に加えて、治安の悪化により移住を強いられることや遠隔地に住んでいることで医療施設へのアクセスが難しいこと、安全な水や衛生施設が利用できないこと、予防接種率が低いことやそれに伴う感染症などの病気へのり患、妊産婦の栄養不足など、複合的な要因があげられます⁵。
特に、飲み水や手洗い用の水、衛生的なトイレへのアクセスの悪さは、子どもたちや地域の人たちの健康を脅かす大きな問題のひとつです⁶。今後、新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大も予想される中、地域の人たちが正しい衛生習慣を身に着けることは、健康を守るために重要になります。
このような状況に対応するため、セーブ・ザ・チルドレンは2022年2月1日からアフガニスタン北部のバルフ州で、緊急食料支援と衛生・栄養に関する啓発活動を組み合わせた事業を開始しました。
この事業では、紛争や干ばつなどの自然災害、および新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減り、食料の入手が困難になった人たちを対象とし、世帯全員が必要とする食料を購入することができるように現金を提供します。地域住民や行政と連携し、地域の中で最も脆弱な状態にある600世帯を特定し、一定額を3ヶ月間にわたって支援します。
また、地域の人たちの衛生習慣や栄養に関する知識を向上させるため、啓発活動も行います。衛生習慣に関しては、地域のボランティアと協力し、地域の人たちへの啓発や、衛生用品キットの配布を行います。また、市場や学校、モスクなど人が集まる場所に、衛生習慣や新型コロナウイルス感染症予防に関するポスターなどを掲示したり、ラジオを通じて衛生習慣に関するメッセージを届けるなど、幅広く正しい情報を伝えていきます。
栄養に関しては、衛生に関する活動と同様に地域のボランティアと協力して、世帯訪問や地域の人たちとの対話の中で、子どもの栄養ケアに関する知識を共有します。この活動は、栄養を摂取する必要性が高い妊産婦や5歳未満の子どもを持つ養育者だけでなく、世帯主であり女性や子どもの栄養に関わり意思決定者である男性も対象とします。これにより、女性や子どもが十分な栄養を摂取できるようにします。
また、栄養不良の子どもを持つ養育者に対する調理実習の活動も行います。この活動では、地域のボランティアから養育者に対して、月齢に応じた子どもの栄養について、安全で栄養のある食事の準備・保存方法などについて指導し、その後実際に子ども用の補完食の調理を一緒に行います。調理実習で作った補完食を、栄養不良の子どもたちに与えることで、子どもたちの栄養状態の改善も目指します。
過去最悪の人道危機にあると言われている現在のアフガニスタンですが、事業を通して一人でも多くの子どもたちやその家族の栄養と衛生状態が改善できるよう、支援していきます。
本事業は、皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 清水奈々子)
¹Afghanistan: Acute Food Insecurity Situation September - October 2021 and Projection for November 2021 - March 2022 | IPC Global Platform (ipcinfo.org)
²Afghanistan Nutrition Cluster, 2020 Annual Report, February 2021 p.5
³OCHA, Afghanistan Humanitarian Response Plan 2022, January 2022. p.24
⁴OCHA, Afghanistan: Humanitarian Needs Overview (2022), January 2022 p.37
⁵Afghanistan Nutrition Cluster, 2020 Annual Report, February 2021 p.5
⁶OCHA, Afghanistan: Humanitarian Needs Overview (2022), January 2022 p.38
栄養面においても、アフガニスタンにある34州のうち26州は、急性栄養不良の緊急レベルに該当しており²、国内全土で起こっている食料危機への対応は優先事項として認識されています³。また、2022年には470万人が急性栄養不良になると予測されており、その数は2021年に比べて21%増加しています。そのうちの100万人以上が子どもで、80万人以上が妊産婦や授乳中の母親だと言われています⁴。
栄養不良の原因となるのは、食料不足に加えて、治安の悪化により移住を強いられることや遠隔地に住んでいることで医療施設へのアクセスが難しいこと、安全な水や衛生施設が利用できないこと、予防接種率が低いことやそれに伴う感染症などの病気へのり患、妊産婦の栄養不足など、複合的な要因があげられます⁵。
特に、飲み水や手洗い用の水、衛生的なトイレへのアクセスの悪さは、子どもたちや地域の人たちの健康を脅かす大きな問題のひとつです⁶。今後、新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大も予想される中、地域の人たちが正しい衛生習慣を身に着けることは、健康を守るために重要になります。
このような状況に対応するため、セーブ・ザ・チルドレンは2022年2月1日からアフガニスタン北部のバルフ州で、緊急食料支援と衛生・栄養に関する啓発活動を組み合わせた事業を開始しました。
この事業では、紛争や干ばつなどの自然災害、および新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減り、食料の入手が困難になった人たちを対象とし、世帯全員が必要とする食料を購入することができるように現金を提供します。地域住民や行政と連携し、地域の中で最も脆弱な状態にある600世帯を特定し、一定額を3ヶ月間にわたって支援します。
また、地域の人たちの衛生習慣や栄養に関する知識を向上させるため、啓発活動も行います。衛生習慣に関しては、地域のボランティアと協力し、地域の人たちへの啓発や、衛生用品キットの配布を行います。また、市場や学校、モスクなど人が集まる場所に、衛生習慣や新型コロナウイルス感染症予防に関するポスターなどを掲示したり、ラジオを通じて衛生習慣に関するメッセージを届けるなど、幅広く正しい情報を伝えていきます。
栄養に関しては、衛生に関する活動と同様に地域のボランティアと協力して、世帯訪問や地域の人たちとの対話の中で、子どもの栄養ケアに関する知識を共有します。この活動は、栄養を摂取する必要性が高い妊産婦や5歳未満の子どもを持つ養育者だけでなく、世帯主であり女性や子どもの栄養に関わり意思決定者である男性も対象とします。これにより、女性や子どもが十分な栄養を摂取できるようにします。
また、栄養不良の子どもを持つ養育者に対する調理実習の活動も行います。この活動では、地域のボランティアから養育者に対して、月齢に応じた子どもの栄養について、安全で栄養のある食事の準備・保存方法などについて指導し、その後実際に子ども用の補完食の調理を一緒に行います。調理実習で作った補完食を、栄養不良の子どもたちに与えることで、子どもたちの栄養状態の改善も目指します。
過去最悪の人道危機にあると言われている現在のアフガニスタンですが、事業を通して一人でも多くの子どもたちやその家族の栄養と衛生状態が改善できるよう、支援していきます。
本事業は、皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 清水奈々子)
¹Afghanistan: Acute Food Insecurity Situation September - October 2021 and Projection for November 2021 - March 2022 | IPC Global Platform (ipcinfo.org)
²Afghanistan Nutrition Cluster, 2020 Annual Report, February 2021 p.5
³OCHA, Afghanistan Humanitarian Response Plan 2022, January 2022. p.24
⁴OCHA, Afghanistan: Humanitarian Needs Overview (2022), January 2022 p.37
⁵Afghanistan Nutrition Cluster, 2020 Annual Report, February 2021 p.5
⁶OCHA, Afghanistan: Humanitarian Needs Overview (2022), January 2022 p.38