【報告】公益社団法人こども環境学会 災害復興支援部会 研究会で「災害時に子どもたちが果たした役割の記録」について発表しました

セーブ・ザ・チルドレンは、2022年3月28日、こども環境学会に所属する災害復興支援部会の研究会で、報告書『災害時に子どもたちが果たした役割の記録~2018年西日本豪雨の経験から~』について発表を行いました。同報告書は、2018年西日本豪雨で被災した地域の小・中・高校生世代の子どもたちや、ボランティア活動に参加した他県の子どもたちの声を集めたものです。

こども環境学会の災害復興支援部会は、防災教育や災害伝承、災害時の遊び支援や事件・事故への対応などを、子どもにとってよりよい環境という視点から考えており、その土台となるのは、国連子どもの権利条約の中核である子どもの意見の尊重です。子どもの声に耳を傾けながら、子どもにとって身近な日常を通して、災害にアプローチしています。 

今回の研究会では、横浜市立大学の三輪律江教授 から「『まち保育』の観点から取り組む保育・教育施設の共助構築に向けた検討・実践」についての発表と、工学院大学の安部芳絵准教授(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン理事)から「『災害時に子どもたちが果たした役割の記録』―子どもが主体となる防災教育・災害伝承に向けて―」と題して発表がありました。

また、セーブ・ザ・チルドレンが安部准教授の協力のもと2020年3月に発行した『災害時に子どもたちが果たした役割の記録~2018年西日本豪雨の経験から~』について、記録集の制作を担当したセーブ・ザ・チルドレンのスタッフから紹介を行いました。

『災害時に子どもたちが果たした役割の記録~2018年西日本豪雨の経験から~』 2020年3月発行)

三輪教授の発表では、まちの中で乳幼児期の子どもが見守られながら育っていく「まち保育」のコンセプトや、神奈川県横浜市神奈川区の幼稚園・保育園での実践例について紹介がありました。
ハザードマップを使って幼稚園・保育園のお散歩ルートの災害リスクを考えることや、日頃のお散歩で防災資源(消火栓や災害時提供井戸など)を探すことなど、子どもたちが日常から取り組める防災活動について紹介がありました。

安部准教授からは、子どもの権利の視点から、子どもが主体となる防災教育・災害伝承に向けた子どもによる災害の記録のあり方について発表がありました。
災害などの緊急時にも子どもの意見は尊重されるべきであり、子どもたちは災害についても主体的に声をあげ行動することや、災害の経験を記録にし、他者に伝え防災に活かせることなどが示されました。

加えて、セーブ・ザ・チルドレンから、記録集の企画の経緯や概要、子どもたちの体験談を募集する際の留意点などを紹介しました。


最後に、参加者の大学教授や保育士、建築関係者、子ども支援関係者などで、質疑応答や意見交換を行いました。

「災害の復興期にはどのように子どもの意見を聴くのか」という質問には、セーブ・ザ・チルドレンが東日本大震災復興支援で子どもたちの意見を聴いて、子どもたちとともに町の復興に向けて活動をした事例を紹介しました。

セーブ・ザ・チルドレンは、災害を経験した子どもたちの声が今後の防災活動に活かされるよう、引き続き記録集の普及に努めます。

『災害時に子どもたちが果たした役割の記録~2018年西日本豪雨の経験から~』
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※冊子の発送リクエストも受け付けています。希望される際は下記までお知らせください。
メール: japan.hagukumi@savethechildren.org

(報告:国内事業部 佐々木有紀)

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