【ロヒンギャ難民支援 事業完了報告】水・衛生と居住環境改善事業

2021年9月1日から2022年5月1日まで、バングラデシュ・コックスバザール県のロヒンギャ難民キャンプにて、水・衛生環境と居住環境の改善事業を実施しました。8ヶ月間にわたり実施した支援事業について報告します。(事業の背景や活動の詳細は、事業開始時のスタッフブログをご覧ください。)


深井戸の修繕

この事業は、水・衛生支援とシェルター支援で構成されています。両分野の支援において、難民の人たちが自身の能力を活かして生活環境をつくり上げていけるように、支援を行いました。

<水・衛生支援>
事業対象地域において給水システムや深井戸、手洗い場、トイレ、水浴び場といった水・衛生施設の老朽化が課題となっていたため、これら施設の修繕・維持管理を行いました。また、難民の人たちが主体となり、水・衛生施設の管理ができるように能力強化を行いました。

加えて、地域の衛生環境改善のため、ロヒンギャ難民の中から衛生促進ボランティアを選出し、能力強化を実施しました。衛生促進ボランティアは子どもを含む地域に暮らす人たちを対象に、手洗いの方法やごみの管理方法など基本的な衛生習慣について、衛生啓発セッションを実施しました。そのほか、思春期の女子を対象とした月経衛生管理セッションも実施しました。


子どもへの衛生啓発セッションの実施
(安全な水の使用についてロールプレイをしている様子。
中央の男子が井戸役、左右の女子と男子が井戸から水を汲んでいるシーン)

水・衛生支援を受けたルマナさん(44歳、女性)は次のように話します。
「私たちは、セーブ・ザ・チルドレンの活動で修繕された給水ポイントから毎日十分な水を汲むことができるようになり、清潔なトイレと水浴び場も使えるようになりました。子どもたちは定期的に衛生啓発セッションに参加しています。生理のときに女性や女子が使用できる個室も設置されました。その結果、女性や女子、子どもをはじめキャンプに暮らす人たちが利用する施設の衛生環境が改善され、健康へのリスクを軽減することができています。」 


思春期の女子を対象とした月経衛生管理セッションの様子

<シェルター支援>
難民キャンプは丘陵地にあり、毎年モンスーンの季節には洪水や土砂災害などによる被害が多発し、犠牲者が出ています。

そのため、災害に強い住居(シェルター)を設置しました。さらに、難民キャンプ内の階段や手すり、歩道、排水溝、橋など居住環境の改善も行いました。

シェルター支援を受けたアハメッドさん(50歳、男性)は次のように話します。
「新しく広々としたシェルターで、家族みんなが喜んでいます。屋根から雨水が入ることもなく、安心して暮らせるようになりました。過去の苦しみを忘れられ、尊厳ある生活を手に入れることができました。私たちはセーブ・ザ・チルドレンにとても感謝しています。」

加えて、難民主体でシェルターの設置・修繕を行うことができるように、能力強化を行ったほか、シェルター設置・修繕における女性の能力強化にも積極的に取り組みました。


シェルターの設置・修繕に関する能力強化セッションに参加する女性

この事業を通して、多くのロヒンギャ難民の人たちに、安全な水や衛生的な水・衛生施設へのアクセス、安全な住居を届けることができました。

しかし、依然として、ロヒンギャ難民のミャンマーへの帰還の目途は立たず、安全な水や住居、栄養のある食事など、生きるために必要な基本的なサービスは限られています。ロヒンギャ難民が、継続した支援を必要としている一方で、新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ危機などの影響で、国際的な関心や支援は縮小傾向にあり、ロヒンギャ難民の人たちは、一層困難な状況に置かれています。

そのため、セーブ・ザ・チルドレンは、ロヒンギャ難民の命や生活を守るために不可欠な基本的な支援を引き続き行います。また、難民の人たちが中心となってキャンプ内の生活環境を改善していけるように、今後も難民キャンプで避難生活を送るロヒンギャの人たちに寄り添って支援を行っていきます。

本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部 田部井梢)
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