(公開日:2022.10.14)
【気候変動問題】15ヶ国の5人に4人の子どもが、気候変動や経済的不平等を日常的に目の当たりにしていると回答
- アドボカシー
セーブ・ザ・チルドレンは、気候変動と経済的不平等について子どもたちがどのように考えているかに関し、日本を含む世界15ヶ国で子どもアンケートを実施しました。
4万2,000人以上の子どもたちと若者が参加したこの調査によると、15ヶ国の子どもの5人に4人(83%)が、気候変動または不平等、あるいはその両方が自分の周りの世界に影響を与えていることを見聞き、あるいは経験していると答えました。
気候変動への対策を訴える若者たち(コソボ)
また、調査対象となった子どもたちの大半(73%)は、これらの問題に対処するために、政府や企業、地域社会を担うなどの大人がより努力するべきだと答えました。これらの大人のうち、政府や企業は、今年後半にかけて開催される、G20インドネシアやCOP27(第27回気候変動枠組条約締約国会議)などの重要な会議に出席する予定の大人を指します。
今回のアンケート調査は、2022年5月から8月にかけて15ヶ国(注1)で実施され、4万2,000人以上の子どもたちと若者が参加しました。なお、私たちは、アンケート調査以外にも子どもたちに対するヒアリング調査を実施しており、合計41ヶ国、5万4,000人以上の子どもたちの声を聞きました。世界のあらゆる地域の子どもたちから、これまでと異なる気象・天候による災害の経験や、自分たちや人々の生活に及ぼしている影響や被害についての声が寄せられました。
クリシュナさん(17歳)は、インド・ビハール州パトナ市郊外のスラム地域で暮らしています。13歳から、子どもの権利を推進するため、地域の子ども・ユース活動のリーダーを務めています。2019年8月、壊滅的な洪水が起こり、多くの人々が家や持ち物を失いました。2日間、必要な物資が届きませんでした。
「洪水が発生した日、私たちは皆、水浸しになりました。夜中、みんなが寝ている間に突然、家が濁流にのまれました。1週間も、家中は水浸しで、学校も休みになりました。椅子を置いて水面から座面が出るようにし、そこで食事の支度をしました。また、椅子の上で寝ました。
私たちは、スラム地域に住んでいて、自宅はレンガとモルタル、屋根はトタンです。日差しが強く、扇風機のスイッチを入れても室内で熱風が循環してしまうので、とても暑いでが、冬はとても寒いです。」
子どもたちの中には、気候変動や不平等を経験したことで、それらに対する対策がとられていないことに怒りを感じたり、自分たちの将来に不安を抱いたりし、それがメンタルヘルスに影響をもたらすことを痛切に語る子もいました。多くの子どもたちが、現在の状況を変えることは必要なだけでなく、可能であることを強く訴えていました。
アフリカ地域や中東地域の子どもたちは、気候変動が飢餓の増加に関連していること、特に農業に影響を及ぼすことを指摘しました。
現在、世界的な飢餓が発生しており、特に大きな打撃を受けている国々の子どもたちは、飢餓による死や自殺、児童労働、児童婚などを見たり経験したりしています。そして、これらの地域みならず、日本を含むすべての地域の子どもたちが、食費や生活費が上昇している述べ、それを気候変動と結びつけて考える子どももいました。
多くの子どもたちが、以前と異なる天候や異常気象、災害の増加と、コレラ流行など高温や水へのアクセス不足からくる健康問題と関連があると考えています。子どもたちはまた、最も懸念していることとして公害や大気の質、廃棄物をあげています。
コロンビアで暮らすオリアナさん(15歳)
今回のアンケート調査は、2022年5月から8月にかけて15ヶ国(注1)で実施され、4万2,000人以上の子どもたちと若者が参加しました。なお、私たちは、アンケート調査以外にも子どもたちに対するヒアリング調査を実施しており、合計41ヶ国、5万4,000人以上の子どもたちの声を聞きました。世界のあらゆる地域の子どもたちから、これまでと異なる気象・天候による災害の経験や、自分たちや人々の生活に及ぼしている影響や被害についての声が寄せられました。
クリシュナさん(17歳)は、インド・ビハール州パトナ市郊外のスラム地域で暮らしています。13歳から、子どもの権利を推進するため、地域の子ども・ユース活動のリーダーを務めています。2019年8月、壊滅的な洪水が起こり、多くの人々が家や持ち物を失いました。2日間、必要な物資が届きませんでした。
「洪水が発生した日、私たちは皆、水浸しになりました。夜中、みんなが寝ている間に突然、家が濁流にのまれました。1週間も、家中は水浸しで、学校も休みになりました。椅子を置いて水面から座面が出るようにし、そこで食事の支度をしました。また、椅子の上で寝ました。
私たちは、スラム地域に住んでいて、自宅はレンガとモルタル、屋根はトタンです。日差しが強く、扇風機のスイッチを入れても室内で熱風が循環してしまうので、とても暑いでが、冬はとても寒いです。」
子どもたちの中には、気候変動や不平等を経験したことで、それらに対する対策がとられていないことに怒りを感じたり、自分たちの将来に不安を抱いたりし、それがメンタルヘルスに影響をもたらすことを痛切に語る子もいました。多くの子どもたちが、現在の状況を変えることは必要なだけでなく、可能であることを強く訴えていました。
アフリカ地域や中東地域の子どもたちは、気候変動が飢餓の増加に関連していること、特に農業に影響を及ぼすことを指摘しました。
現在、世界的な飢餓が発生しており、特に大きな打撃を受けている国々の子どもたちは、飢餓による死や自殺、児童労働、児童婚などを見たり経験したりしています。そして、これらの地域みならず、日本を含むすべての地域の子どもたちが、食費や生活費が上昇している述べ、それを気候変動と結びつけて考える子どももいました。
多くの子どもたちが、以前と異なる天候や異常気象、災害の増加と、コレラ流行など高温や水へのアクセス不足からくる健康問題と関連があると考えています。子どもたちはまた、最も懸念していることとして公害や大気の質、廃棄物をあげています。
コロンビアで暮らすオリアナさん(15歳)
オリアナさん(15歳)は、新生児のときに家族とともにベネズエラからコロンビアへ避難してきました。現在、ベネズエラとの国境に近いコロンビアのある都市の郊外に住んでいます。
「私が生後6ヶ月のとき、大雨が降り、雨水がゴミの上にたまって蚊が発生しました。当時、デング熱が流行っており、多くの子どもたちがデング熱で亡くなりました。私もデング熱にかかり、死にかけました。蚊に刺されてデング熱になり、母は医者から『もう治療はできないから、お別れを言いなさい』と言われたそうです。」
多くの子どもたちが、貧困、不平等と気候危機には関連があることを強調しています。「一皿のパスタのように絡まっている」とイギリスの14歳の少年は言い、インドの少年は「貧困は気候変動のきょうだいだ」と述べました。
子どもたちは、気候の影響からより大きなリスクを受ける層がいることを指摘し、低所得世帯の子ども、少女、障害のある子ども、故郷を追われた子どもなどが、より大きなリスクに晒されている層として最も多くあげられていました。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長のインゲル・アッシンは、次のように述べています。
「子どもたちは、気候危機と不平等の危機の矢面に立たされています。子どもたちの意見、子どもたちがとっている行動、そして変化が必要だとする子どもたちの要求は、非常に力強く、確固たるものです。子どもたちは、自分たちに影響を与えうる意思決定に参加する権利を有しています。参加する権利は、子どもの権利条約でも重視されています。セーブ・ザ・チルドレンが関わった子どもたちの多くは、自分たちが無視されていることに不満を持ち、政府や企業、コミュニティの大人たちが十分なことをしていないと感じています。」
子どもたちが希望を持てるようにする責任は、すべての大人にあります。最も豊かな国々の大統領や首相などは、子どもたちの希望を具体的な行動に変えうる力があります。自国の炭素排出量を削減し、気候危機と不平等の危機に最も苦しんでいる国々が緊急に必要とする資金を拠出することができます。気候危機や不平等を引き起こした原因をつくったわけでもない国々が最も苦しんでいます。
世界的に食料危機が発生しており、30億人が栄養のある食事をとることができず、8億1,100万人が毎晩空腹のままベッドに入るという状況です。不平等と気候危機は、この食料危機の根本的な要因です。不平等と気候危機に緊急に取り組まない限り、今後このような食料危機の頻度と規模が増大することが予想されます。」
今回セーブ・ザ・チルドレンが実施した子どもアンケート調査とヒアリング調査の結果は報告書にまとめられ、2022年10月26日に発表する予定です。この気候変動と不平等に関する画期的な報告書である『ジェネレーション・ホープ:気候危機と不平等の危機を終わらせる24億もの理由』は、貧困と気候リスクがどのように交差し、どのように世界中の子どもたちに影響を与えるのかについて報告するとともに、子どもたちの声を詳細に紹介します。
セーブ・ザ・チルドレンは、各国首脳に対し、子どもたちの声に耳を傾け、気候危機と不平等の危機、そしてそれが子どもたちに不釣り合いに与える影響に対処するために、国際人権基準上の義務に従って行動を強化するよう求めています。
私たちは特に、世界的な気候危機と不平等の危機から最も大きな打影響を受けた国々が、世界経済の混乱により債務返済の負担の増大に直面していることを懸念しています。債務返済が増えれば、気候災害や世界的な食料危機への対応などの子どもを保護するための資金や子どもにとって必要不可欠な社会保障などへの投資が妨げられてしまうからです。
2022年10月10日から16日、世界銀行・国際通貨基金の年次総会が開催され、世界の経済大国からG20財務大臣が集まります。
セーブ・ザ・チルドレンは、債務救済措置の改善に向けた議論への合意を求めるとともに、緊急に必要とされている人道、開発、気候資金の拠出目標を野心的に引き上げ、かつ実際にも資金拠出を行うよう要請しています。
(注1)調査は日本を含む15ヶ国(アルバニア、バングラデシュ、ブータン、カナダ、コロンビア、インドネシア、イタリア、日本、ケニア、レバノン、ネパール、パレスチナ占領地、フィリピン、韓国、イギリス)で実施。8歳から22歳の合計4万2,213人の子どもたちと若者から回答を得た。各国の調査は、人口を代表する母数を得ることを目的としておらず、調査対象人数もケニアの33人からインドネシアの2万128人とさまざまであった。そのため、この統計は科学的というよりも例示的なものであり、全参加者の平均値として算出されている。
「私が生後6ヶ月のとき、大雨が降り、雨水がゴミの上にたまって蚊が発生しました。当時、デング熱が流行っており、多くの子どもたちがデング熱で亡くなりました。私もデング熱にかかり、死にかけました。蚊に刺されてデング熱になり、母は医者から『もう治療はできないから、お別れを言いなさい』と言われたそうです。」
多くの子どもたちが、貧困、不平等と気候危機には関連があることを強調しています。「一皿のパスタのように絡まっている」とイギリスの14歳の少年は言い、インドの少年は「貧困は気候変動のきょうだいだ」と述べました。
子どもたちは、気候の影響からより大きなリスクを受ける層がいることを指摘し、低所得世帯の子ども、少女、障害のある子ども、故郷を追われた子どもなどが、より大きなリスクに晒されている層として最も多くあげられていました。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長のインゲル・アッシンは、次のように述べています。
「子どもたちは、気候危機と不平等の危機の矢面に立たされています。子どもたちの意見、子どもたちがとっている行動、そして変化が必要だとする子どもたちの要求は、非常に力強く、確固たるものです。子どもたちは、自分たちに影響を与えうる意思決定に参加する権利を有しています。参加する権利は、子どもの権利条約でも重視されています。セーブ・ザ・チルドレンが関わった子どもたちの多くは、自分たちが無視されていることに不満を持ち、政府や企業、コミュニティの大人たちが十分なことをしていないと感じています。」
子どもたちが希望を持てるようにする責任は、すべての大人にあります。最も豊かな国々の大統領や首相などは、子どもたちの希望を具体的な行動に変えうる力があります。自国の炭素排出量を削減し、気候危機と不平等の危機に最も苦しんでいる国々が緊急に必要とする資金を拠出することができます。気候危機や不平等を引き起こした原因をつくったわけでもない国々が最も苦しんでいます。
世界的に食料危機が発生しており、30億人が栄養のある食事をとることができず、8億1,100万人が毎晩空腹のままベッドに入るという状況です。不平等と気候危機は、この食料危機の根本的な要因です。不平等と気候危機に緊急に取り組まない限り、今後このような食料危機の頻度と規模が増大することが予想されます。」
今回セーブ・ザ・チルドレンが実施した子どもアンケート調査とヒアリング調査の結果は報告書にまとめられ、2022年10月26日に発表する予定です。この気候変動と不平等に関する画期的な報告書である『ジェネレーション・ホープ:気候危機と不平等の危機を終わらせる24億もの理由』は、貧困と気候リスクがどのように交差し、どのように世界中の子どもたちに影響を与えるのかについて報告するとともに、子どもたちの声を詳細に紹介します。
セーブ・ザ・チルドレンは、各国首脳に対し、子どもたちの声に耳を傾け、気候危機と不平等の危機、そしてそれが子どもたちに不釣り合いに与える影響に対処するために、国際人権基準上の義務に従って行動を強化するよう求めています。
私たちは特に、世界的な気候危機と不平等の危機から最も大きな打影響を受けた国々が、世界経済の混乱により債務返済の負担の増大に直面していることを懸念しています。債務返済が増えれば、気候災害や世界的な食料危機への対応などの子どもを保護するための資金や子どもにとって必要不可欠な社会保障などへの投資が妨げられてしまうからです。
2022年10月10日から16日、世界銀行・国際通貨基金の年次総会が開催され、世界の経済大国からG20財務大臣が集まります。
セーブ・ザ・チルドレンは、債務救済措置の改善に向けた議論への合意を求めるとともに、緊急に必要とされている人道、開発、気候資金の拠出目標を野心的に引き上げ、かつ実際にも資金拠出を行うよう要請しています。
(注1)調査は日本を含む15ヶ国(アルバニア、バングラデシュ、ブータン、カナダ、コロンビア、インドネシア、イタリア、日本、ケニア、レバノン、ネパール、パレスチナ占領地、フィリピン、韓国、イギリス)で実施。8歳から22歳の合計4万2,213人の子どもたちと若者から回答を得た。各国の調査は、人口を代表する母数を得ることを目的としておらず、調査対象人数もケニアの33人からインドネシアの2万128人とさまざまであった。そのため、この統計は科学的というよりも例示的なものであり、全参加者の平均値として算出されている。