「燃料代、食費が上がって心配」-食の応援ボックスを受け取った保護者Eさんの声

セーブ・ザ・チルドレンは、2020年より、子どもたちの食の状況改善を目的に経済的に困難な状況にある家庭を対象に、食料品などを提供する「子どもの食 応援ボックス」を行ってきました。


2020年と2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響をより大きく受けたと考えられる地域を中心に提供してきましたが、2022年夏からは、対象を全国に広げ「夏休み 子どもの食 応援ボックス」を実施し、計3,200世帯にボックスを提供しました。


今回、「夏休み 子どもの食 応援ボックス」を利用した世帯の保護者に、申し込んだ経緯や、現在の状況などについて話を聞きました。

家計を圧迫している毎日の食費


今後、経済的な負担が心配なことについて質問すると「やはり食費ですよね」とEさん。


「何か料理をつくってもすぐなくなる。もう少し、次の日の昼ぐらいまでもってほしいのに、すぐ食べてなくなってしまう。昔よりも買い物1回にかかるお金が増えました。前までは2,000円ぐらいですんでいたのが、3,000円は超えてしまう。かごいっぱい買うと『5,000円です』と言われたりして。


全然、こんな少ししか買っていないのに5,000円、というようなーお菓子も、いつもお菓子売り場に行っては、一番安くてたくさん入っているのを買っているんです。子どもにも『せんべいばかり、うちの家はせんべいしかない』と言われてます。


子どもが『おでんが食べたい』と言うので、おでんの具セットがスーパーに売っていますが、練り物がいろいろ入っている。それがすごく小さくなり、数も減ってしまって。だから、何だか今までよりも、おでんの具で物価高を感じました。」


最近の物価高騰が、Eさん家族の家計を圧迫している状況が伝わります。育ち盛りの子どもがいる家庭ではなおさら、食費への負担が重くのしかかっています。

寒さの厳しい冬にかさむ燃料費

食費以外の困りごとについて聞くと、「冬の時期の光熱費が上がってしまい心配」と話すEさん。


「家は賃貸ですが、古くゆがんでいて外窓が閉まらず、隙間風が入り込みます。石油ストーブを使っていますがとても寒いです。家賃が安いから、仕方ないです。」


北海道では、従業員に燃料費手当を支給している会社もあるそうですが、Eさんが勤めている会社からそうした支給はありません。


「家ではボイラーを灯油で動かしてお風呂を沸かします。灯油代も結構高く、何かとかかります。一昨年(2020年)は、1缶1,000円強で買えたのが、今は1,800円ぐらいです。節約のため配達は頼まず、灯油をポリタンクで買いに行って、それで入れています。ポリタンクが2つしかないため、頻繁に行かなければいけないので、夜は暖房を消し、水道が凍結しないように水抜きをしながら、灯油も節約しています。」


寒さが厳しい北海道の冬を乗り切るために欠かせない灯油などの燃料。価格が高騰しているため、Eさん一家に、経済的な負担が増加していることがうかがえます。

学校と家の送り迎えで仕事を早退していた日々


同居している上の子どもは注意欠如・多動症(ADHD)と自閉症の傾向があり、高校は寮のある特別支援学校に通っていたそうです。家から電車で1時間半ぐらいかかる学校の寮に入り、週末金曜日の夕方に帰ってきて、日曜日の夕方に、寮に帰る生活を送っていました。
「送り迎えが大変でした。冬なんか結構、少しでも熱が出たら寮だから他の子どもにうつさないように学校から呼び出しがあり、迎えに行っていました。子どもを迎えに行くため何回も、仕事を早退して行くこともありました。」
そうした送り迎えが重なることで仕事が制限されてしまうこともあったと言います。


「子どもは高校卒業後、最初は就労継続支援施設B型※   に行っていましたが、本人に思うところがあって退職し  、今は私の勤めている福祉施設で掃除の仕事をしています。私が休みの日などは行きたがらず、なかなか独り立ちできません」とEさん。子どもの将来への不安も感じているようです。
※就労継続支援施設B型・・働くために必要な技能や知識を身につけることが目的の就労施設で雇用契約を結ばずに軽く短時間の作業が可能


日頃、節約しながら、病気のときは貯金を取り崩す生活


家計のやりくりをしているEさんは、あらゆる面で節約を心がけているそうです。
「経済的に子どもにかかるお金で出せなかったということはありません。でも普段から、あまり使わないように節約を意識していて、あまり外食に行ったりしないとか、服とかもリサイクルを買いに行ったりするとか、普段から何か我慢して生活しているような感じです。」


そんななかで去年、Eさんは体調を崩しました。
「会社を半年休んだので、傷病手当はありましたが、収入はかなり落ち込みました。途中で入院したので医療費が余計にかかりました。子どもの父親は近くに住んでいます。入院していたときは、子どもたちは父親の家へ行き、そこから学校に通っていました。養育費はもらっていないけれど、何かあったときには助けてくれます」と、当時のことを話してくれました。


日頃、無駄遣いしないようにして貯金し、病気で働けないときは貯金を取り崩しながら暮らしてきたEさん家族。「制服を買うといった、子どもの高校への進学費用については、児童手当をすべて貯めていて、そのなかから使う予定です」という言葉から、子どもの将来の選択肢を狭めないようにと願う気持ちが伝わってきました。


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今回お話を聞いたEさんは、食費や燃料の物価高騰のなかでも子どもたちのために何とか生活をやりくりしようとしていました。しかしながら、物価高によって全国的にも家計負担が増加する今、個人や家庭の努力だけで解決するには限界があります。


セーブ・ザ・チルドレンは、今後もこうした状況や声を国や社会に届け、すべての子どもが経済状況などの環境に左右されないよう、すこやかな成長や発達に必要な支援や制度改善につなげていきたいと考えています。


※「食の応援ボックス」を受け取った保護者Dさんのインタビューはこちら    
※新入学サポート2022を利用した保護者Aさんのインタビューはこちら 、BさんとCさんのインタビューはこちら
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