(公開日:2023.01.16)
【シリア危機】トルコ・ハタイ県:脆弱な状態に置かれたシリア難民と、ホストコミュニティの子ども・青少年とその世帯を対象とした生計向上支援を開始
- シリア危機
トルコは世界で最も多くの難民を受け入れている国で、その難民の9割(378万人)はシリア難民です(?) 。
シリア危機が始まってからすでに11年以上が経ち、トルコをはじめ、シリアから避難した人たちの避難生活は長期化しています。
トルコ政府は、シリア難民に就労許可を出していますが、煩雑な申請手続きや、限られた雇用機会、言語の違いなど多くの障壁により、就労を望むシリア難民の75パーセントが職に就くことができない状況にあります(?)。
その一方、トルコの経済状況も、近年の新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ危機後に急速に進む物価高の影響で悪化の一途をたどり、女性の失業率は65パーセント以上(?)、青少年(15歳から24歳)の失業率も25パーセントを超えています。
こうした状況を受け、私たちは、シリア難民と、特に生活の厳しいトルコの青少年や子どもの養育者を対象に、生計向上支援事業を開始しました。この活動では、次にあげる6つの活動を軸に支援を行っていきます。
1) 小規模ビジネスの立ち上げを目指した起業研修
この研修では、脆弱な状態に置かれたシリア難民やトルコ人の子どもの養育者と青少年150人を対象に、ビジネスプランやマーケティングプラン、ビジネスアイデアの発見方法などの研修を実施します。また、研修参加者は研修で学んだ知識を活かし、自身の起業に向けたビジネスプランや資金計画を作成します。
2) 起業のための少額現金支援
1)の起業研修で参加者が策定したビジネスプランや資金計画の内容に基づき、起業アイデアが実現可能と見込まれた105人を選定し、起業資金として少額の現金支援を行います。この資金を活用し、参加者は研修で培ったスキルやアイデアを形にすることができます。
3) ICT(情報・コミュニケーション技術)研修
インターネットなどを活用しビジネスプランを策定した起業研修参加者60人を対象に、電子メールの送受信、ソーシャルメディアの活用、インターネット検索、タブレットや携帯電話の使用、デジタルマーケティングなど、業務で必要とされるICTスキルについて研修を行います。
4) トルコ雇用庁 (?)への登録促進
起業のための少額現金支援を受けることができなかった起業研修参加者45人を対象に、トルコ雇用庁への人材登録支援を行い、参加者の就労機会拡大を目指します。特にシリア難民にとって、トルコ雇用庁への人材登録は言語がトルコ語のみであることや一部の登録内容がトルコ特有の内容を含んでいることから難易度が高いため、この活動で参加者のトルコ雇用庁への人材登録をサポートします。
5) 生計向上のための能力強化研修
これまで起業研修を受け小規模ビジネスを実施している起業家20人を対象に、研修で得た知識をさらに深め、生計向上に繋げるための能力強化研修を行います。研修では、参加者が実施している小規模ビジネスに関する課題の明確化、ビジネスプランやマーケティングプランの見直し、資源の最適化などを行うため外部環境や内部環境(価格や品質など)の強みと弱みの分析を、個別にアドバイスをしながら実施します。
6) 女性の起業に関する啓発セッション
女性の失業率が高いトルコでは、身近に参考となるようなロールモデルが少なく起業の一歩を踏み出せない女性たちが多くいます。この活動では、ロールモデルとなる女性起業家を紹介し実践例を伝えることで、起業のイメージをつかんでもらうことを目指します。
また、各研修時には子どもへの暴力(子どもの保護)に関する啓発セッションを合わせて行うことで、児童労働や児童婚など子どもの保護に関する問題の予防や、子どもの権利の推進を目指します。
これらの活動を通して、脆弱な状況に置かれたシリア難民やトルコの青少年、子どもの養育者の生計向上を目指すとともに、人々の子どもの保護に関する知識向上を通して、対象世帯の子どもが置かれた状況の改善を目指します。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォーム、ユニクロからのご支援により実施しています。
(海外事業部 金子由佳)
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? UNHCR, Registered Syrian Refugees in Host Countries, May 2022.
? Save the Children, Multi-sectoral Needs Assessment for Antakya, Hatay, December 2021
? UN Women, UN Women's work in Turkey , 2019 P.7
?トルコで人材を必要としている企業やその他の機関に対して雇用サービスを提供する政府機関
子どもの保護に関する啓発セッションの様子
シリア危機が始まってからすでに11年以上が経ち、トルコをはじめ、シリアから避難した人たちの避難生活は長期化しています。
トルコ政府は、シリア難民に就労許可を出していますが、煩雑な申請手続きや、限られた雇用機会、言語の違いなど多くの障壁により、就労を望むシリア難民の75パーセントが職に就くことができない状況にあります(?)。
その一方、トルコの経済状況も、近年の新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ危機後に急速に進む物価高の影響で悪化の一途をたどり、女性の失業率は65パーセント以上(?)、青少年(15歳から24歳)の失業率も25パーセントを超えています。
こうした状況を受け、私たちは、シリア難民と、特に生活の厳しいトルコの青少年や子どもの養育者を対象に、生計向上支援事業を開始しました。この活動では、次にあげる6つの活動を軸に支援を行っていきます。
1) 小規模ビジネスの立ち上げを目指した起業研修
この研修では、脆弱な状態に置かれたシリア難民やトルコ人の子どもの養育者と青少年150人を対象に、ビジネスプランやマーケティングプラン、ビジネスアイデアの発見方法などの研修を実施します。また、研修参加者は研修で学んだ知識を活かし、自身の起業に向けたビジネスプランや資金計画を作成します。
2) 起業のための少額現金支援
1)の起業研修で参加者が策定したビジネスプランや資金計画の内容に基づき、起業アイデアが実現可能と見込まれた105人を選定し、起業資金として少額の現金支援を行います。この資金を活用し、参加者は研修で培ったスキルやアイデアを形にすることができます。
3) ICT(情報・コミュニケーション技術)研修
インターネットなどを活用しビジネスプランを策定した起業研修参加者60人を対象に、電子メールの送受信、ソーシャルメディアの活用、インターネット検索、タブレットや携帯電話の使用、デジタルマーケティングなど、業務で必要とされるICTスキルについて研修を行います。
4) トルコ雇用庁 (?)への登録促進
起業のための少額現金支援を受けることができなかった起業研修参加者45人を対象に、トルコ雇用庁への人材登録支援を行い、参加者の就労機会拡大を目指します。特にシリア難民にとって、トルコ雇用庁への人材登録は言語がトルコ語のみであることや一部の登録内容がトルコ特有の内容を含んでいることから難易度が高いため、この活動で参加者のトルコ雇用庁への人材登録をサポートします。
5) 生計向上のための能力強化研修
これまで起業研修を受け小規模ビジネスを実施している起業家20人を対象に、研修で得た知識をさらに深め、生計向上に繋げるための能力強化研修を行います。研修では、参加者が実施している小規模ビジネスに関する課題の明確化、ビジネスプランやマーケティングプランの見直し、資源の最適化などを行うため外部環境や内部環境(価格や品質など)の強みと弱みの分析を、個別にアドバイスをしながら実施します。
6) 女性の起業に関する啓発セッション
女性の失業率が高いトルコでは、身近に参考となるようなロールモデルが少なく起業の一歩を踏み出せない女性たちが多くいます。この活動では、ロールモデルとなる女性起業家を紹介し実践例を伝えることで、起業のイメージをつかんでもらうことを目指します。
また、各研修時には子どもへの暴力(子どもの保護)に関する啓発セッションを合わせて行うことで、児童労働や児童婚など子どもの保護に関する問題の予防や、子どもの権利の推進を目指します。
これらの活動を通して、脆弱な状況に置かれたシリア難民やトルコの青少年、子どもの養育者の生計向上を目指すとともに、人々の子どもの保護に関する知識向上を通して、対象世帯の子どもが置かれた状況の改善を目指します。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォーム、ユニクロからのご支援により実施しています。
(海外事業部 金子由佳)
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? UNHCR, Registered Syrian Refugees in Host Countries, May 2022.
? Save the Children, Multi-sectoral Needs Assessment for Antakya, Hatay, December 2021
? UN Women, UN Women's work in Turkey , 2019 P.7
?トルコで人材を必要としている企業やその他の機関に対して雇用サービスを提供する政府機関