(公開日:2023.01.20)
【南スーダン】国内避難民の子どもをあらゆる暴力から守るための支援を開始
- 南スーダン
洪水の被害にあった南スーダン東部アコボ地区の様子(2022年6月)
2019年の洪水災害により家と土地が被害に遭い、母親と4人のきょうだいと国内避難民キャンプで暮らす13歳の少女(2021年8月)
こうした状況を受けてセーブ・ザ・チルドレンは、2022年10月より子どもの保護に関する支援を実施しています。
対象地は、南スーダンのなかでも、2番目に避難民の人数が多い中央エクアトリア州に位置するマンガラ国内避難民キャンプです。このキャンプでは、約1万1,000人が避難生活を送っており、このうち約6割が子どもです⁴。
子どもの保護に関するニーズの大きさを表した地図と支援対象地の場所
(出典:OCHA, Humanitarian NeedsOverview: South Sudan, February 2022, p.64)
この支援では、SGBVを含む子どもの保護の課題の予防と対応の強化を目的に、以下の活動を行います。
地域住民自身が子どもを暴力などから守り、また子どもの保護に関する課題を予防できるようにするため、地域に暮らす人たちから選ばれたメンバーによる「子どもの保護ネットワーク」を立ち上げます。このネットワークメンバーに対して、子どもの保護の問題や、それらの問題の解決方法についての基礎知識、そして啓発活動の手法などについての研修を行います。
2)サービスマッピングを通した多機関連携の確立
緊急・人道支援においては、他の支援機関との連携が重要です。それぞれの支援機関の強みをいかしながら活動をするため、支援が必要な子どもが特定された際、より適切なサポートを提供するために他機関につなぐ(付託する)こともあります。その際に参照するのが、支援機関およびその主要サービスをマッピングし、付託の流れを明記した資料です。この資料の作成を他の支援機関とともに行うことで、多機関連携のメカニズムを確立します。
3)保護が必要なケースの特定と問題解決へ向けた支援(ケースマネジメント)
子どもの保護ネットワークメンバーの協力を得ながら、虐待やネグレクト、搾取やそのほかの暴力の被害に遭っている子どもを特定します。そして、個別の支援計画を策定し、それにそって支援を実施することで、その子どもが直面している問題を解決します。SGBVの被害を受けた子どもに対しては、専門の研修を受けたスタッフが対応にあたったり、必要に応じて医療・司法に関する支援を提供したりするなど、特別な配慮の下でサポートをします。また、養育者と離ればなれになってしまった子どもについては、家族の追跡を行って再会の手助けをします。
2022年12月まで、活動の開始に向け、関係機関との調整などの準備を進めてきました。この地域に暮らす子どもたちが、少しでも安心・安全に暮らせる環境をつくるため、現地関係者と協力しながら活動を実施します。
南スーダン政府機関関係者との協議の様子
(海外事業部 水野将伸)
¹ OCHA, Mangalla IDP camp SiteProfile, December 2021, p.1
² OCHA, Humanitarian NeedsOverview: South Sudan, February 2022, p.85
³ OCHA, Humanitarian NeedsOverview: South Sudan, February 2022, p.86
⁴ OCHA, South Sudan:Flooding Situation Report No. 1, October 2022, p.1