【活動報告】子どもを守る責任を果たすために
セーフガーディング研修終了

セーブ・ザ・チルドレンは、2021年5月から約1年半にわたり、全7回の研修と3回の勉強会を通して、国際協力や人道支援活動に関わるNGO16団体が、セーフガーディングの取り組みをともに学び、強化していくための「子どもと若者のセーフガーディング実践研修」を実施しました。


この連続研修は、学びと実践を繰り返していくという形式をとり、さまざまな団体の取り組みの事例や、推進するうえでの困難とそれに対する解決方法などを話し合うグループディスカッションの機会を積極的に取り入れました。これにより、自団体の取り組みに生かせる知見を得るだけでなく、他団体から刺激を受け、自団体でも進めなければ、という思いが強くなったというコメントも参加者から寄せられました。

最終回となった第7回研修では、これまで学んだこと、取り組んだことを振り返り、参加者が今後の取り組みについて意見交換を行いました。
また、最後に、「今後スタッフや仲間とセーフガーディングを学んでいく時に、伝えたいメッセージ」を全員で出し合いました。「セーフガーディングは全員の責任」、「形骸化させないための努力が必要」、「ガイドラインやルールでなく、プロセスを大事にしよう」、「セーフガーディングは自分たちの組織を守り、発展することでもある」といった声があり、セーフガーディングの取り組みに対する組織、また個人としてのコミットメントの強さを確認することができました。


グループワークで他団体と意見交換をすることが、各団体のさらなる取り組み強化につながりました

国際協力に取り組む団体同士が、こうした共通のメッセージを確認できたことは、今後、それぞれの組織で、またNGO全体で取り組みを推進するにあたり、大きな励みになったと思います。


子どもと若者のセーフガーディング・シンポジウム2022

「子どもと若者のセーフガーディング実践研修事業」の締めとして、2022年12月1日には公開シンポジウムを実施しました。シンポジウムでは、セーブ・ザ・チルドレンUK(英国)のセーフガーディングディレクターであるキャット・カーターが、人道支援の現場で支援者と受益者、コミュニティの間に発生し得る力関係や、そこに潜む虐待のリスク、そのリスクを抑えるための組織としての責任などについて、実際に現場で聞いた声も交えて説明しました。


特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会事務局長の小松豊明氏、国連難民高等弁務官事務所アジア・太平洋局上級保護官古川敦子氏をパネリストとして迎えたパネルディスカッションでは、海外事業と国内事業における違い、人道支援と開発支援での違いや、支援する側とされる側の受け止め方のギャップなどについて議論がされました。


シンポジウムでは、特に人道支援の現場ではセーフガーディングのリスクが高まることが強調されました


連続研修開始前と終了時に、16団体の取り組み状況のセルフアセスメントを実施したところ、例えば「セーフガーディング指針が子どもや若者を虐待・搾取や危険から守り得る適切な内容である」という取り組み項目については、開始前は8団体が「未着手」、4団体が「一部実施」でしたが、終了時には「未着手」の団体はゼロ、「一部実施」の団体も2団体となり、ほとんどの団体が確実に実施を進めていることが確認できました。

セーフガーディングは、指針や行動規範、通報システムなどを「つくったら終わり」ではありません。

私たちには、この取り組みを組織の中で文化として浸透させ、実施状況やシステムが機能しているかを定期的に振り返るなどして、改善を重ねていくことで、支援活動において常に子どもや若者の人権を最優先して関わっていくことを確約していく責任があります。

今後も、セーブ・ザ・チルドレンは、子どもと若者のセーフガーディングの組織内、またNGOセクターにおける強化に向けた働きかけを行っていきます。


本事業はJICAの「NGO等提案型プログラム」の一環として、NGOの組織運営や事業実施上の能力強化を行う目的のスキームを利用したものです。また、実施にあたっては、JANICの「子どもと若者のセーフガーディング・ワーキンググループ」が協力しています。
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