【実施報告】「困難を抱える子ども・若者への恒久的な施策拡充を」子どもの貧困対策法成立10年記念院内集会:16団体主催

セーブ・ザ・チルドレンを含む、子ども・若者の貧困対策に取り組む16団体は、2023年6月19日、子どもの貧困対策法成立10周年に合わせ、参議院議員会館で集会を開催しました。 


超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟」と共催した集会には、国会議員35人を含む120人が会場で参加し、オンラインは231人が参加、関心の高さが伺えました。 


集会には、子どもの貧困対策推進議員連盟会長を務める田村憲久議員や永岡桂子文部科学大臣、渡辺由美子こども家庭庁長官も参加し、子どもの貧困対策法成立の経緯や取り組みの進展、今後の展望について発言がありました。 


その後、主催団体に、つながる子ども・若者から、ひとり親家庭で育ったことや、社会的養護下で暮らしていた経験などから、子どもたち一人ひとりの現状に寄り添いながら子どもの貧困対策を進めるよう求める訴えがありました。 


次に、子どもの貧困対策法が成立して10年であることを記念し、若者や子ども食堂に取り組む団体が手作りしたケーキをお披露目しました。 


これまでの10年の進展を振り返りつつ、いまだ深刻である子どもや若者の現状を一刻も早く改善するという決意を込めて、若者と国会議員が一緒にケーキへ入刀しました。  


続いて、子ども・若者の現状について各団体が報告。セーブ・ザ・チルドレンからは、国内事業部子どもの貧困問題解決事業チームの鳥塚早葵が、子どもの権利に根差した子どもの貧困対策の必要性を訴えました。そして、セーブ・ザ・チルドレンの「子ども給付金~新入学サポート2023~」でつながった子どもや保護者、支援者の声を紹介し、障害・疾病のある子どもや保護者、ヤングケアラー、在留資格が不安定な家族など、より取り残されがちな子どもたちへの支援が求められていることを強調しました。 

(セーブ・ザ・チルドレンの発表資料はこちら) 



最後に、主催16団体が子どもの貧困対策法成立10周年を受けてまとめた共同提言を公表し、困難を抱える子ども・若者への恒久的な施策拡充や、子どもの貧困対策のより一層の充実、子どもの貧困対策法の改正を求めました。(共同提言の全文はこちら


 【共同提言の4つの柱】 

1.困難を抱える子ども・若者への恒久的な支援を拡充し、子ども・若者の貧困対策を最優先にした子ども予算倍増を 

2.こども基本法、こども家庭庁体制のもとで子どもの貧困対策のさらなる拡充を 

3.子どもの貧困対策法の改正により、真に子どもの貧困対策を改善する実効性の高い政策改善サイクルの実現を 

4.コロナ禍・物価高騰などによる緊急支援・対策の継続を 



子どもの貧困対策法が成立して10年。2019年の法改正では、子どもの権利条約が理念に据えられ、子どもの意見を尊重しながら対策を推進していくことが明記されました。また、2023年4月には、こども基本法が施行され、こども家庭庁も発足しました。


子どもの貧困対策は年を追うごとに前進している面もあります。しかし、対策が実現して子どもに届くスピードよりも、子どもの貧困状況が速く深刻化し、長期化していることが懸念されます。


新型コロナウイルス感染症の拡大や物価高騰が、子どもたちにも深刻な影響を及ぼしていますが、2023年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」や、その中で今後3年間の優先度の高い政策をまとめた「こども・子育て支援加速化プラン」でも、児童手当の所得制限撤廃や支給対象の高校卒業までの延長、支給額の見直しなどの言及はありつつも、子どもの貧困対策に関する記述は限定的でした。


政府の議論では少子化対策、子育て支援のみが重点的に検討されており、私たちは、社会の中で特に取り残されている子どもたちが置き去りにされてしまうことを危惧しています。


2023年7月4日、国は、最新の子どもの相対的貧困率が11.5%と公表しました。この数字は、所得で見ると、前回2018年調査(約14.0%)と比較して子どもの貧困が改善されたように思われます。



一方、セーブ・ザ・チルドレンが実施した2023年の「夏休み 子どもの食 応援ボックス」の申し込み時の調査結果 では、十分な量の食料を買うお金がないと回答した世帯が7割を超えるなど、 経済的に困難な状況にある子ども・子育て世帯が直面している困窮はきわめて深刻であることがわかっています。


セーブ・ザ・チルドレンは、今後も関係団体と連携しながら、子どもの「生きる権利」、「育つ権利」をはじめとする、子ども時代に享受すべきすべての権利を守るために、子どもたちの声に基づいて子どもの貧困対策の推進が図られるよう取り組みます。



特に、政府全体のこども施策の基本的な方針などを定めるこども大綱が2023年秋に策定が予定されているため、同大綱に貧困対策の拡充が明記されるよう、働きかけを進めていきます。 


(政府の「子ども予算倍増」に対するセーブ・ザ・チルドレンの見解をまとめたポジションペーパーはこちら



当日の国会議員や他団体からの発言の詳細は、主催団体のひとつであるしんぐるまざあず・ふぉーらむのウェブサイト で、詳しく報告されていますので、ぜひご覧ください。




<主催団体一覧(五十音順、法人格略)>

あすのば、アフターケア事業全国ネットワーク・えんじゅ、キッズドア、自殺対策支援センター・ライフリンク、自立生活サポートセンター・もやい、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、シングルマザーサポート団体全国協議会、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、全国こども食堂支援センター・むすびえ、全国子どもの貧困・教育支援団体協議会、全国食支援活動協力会、D×P、豊島子どもWAKUWAKUネットワーク、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク、日本若者協議会、ひとり親支援協会



セーブ・ザ・チルドレンは、子どもの貧困問題解決に向けさまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は随時こちらのページ で更新しています。ぜひご覧ください。



(報告:国内事業部 鳥塚早葵)





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