【スタッフの視点】8月19日世界人道デーを機に考える
「人道支援の現場でいま求められていること」


右から2人目

紛争、気候変動、食料危機など世界ではさまざまな人道危機が深刻化しており、人道支援を必要とする人は3.9億人[1] にのぼっている。また、支援活動に必要な資金も年々増加しており、2016年の約190億ドルから2023年には約550億ドルとおよそ3倍になっている[2]。

効率的で効果的な支援を実施していくために、日本政府そして日本のNGOとして何が必要なのか。

2016年の世界人道サミットで各国政府、国際機関、NGOなどが、人道支援の効果的かつ効率的なあり方について取りまとめたが(グランドバーゲン)、人道危機が加速度的に深刻化している現状を鑑み、ドナー(日本政府)そして支援機関(日本のNGO)双方が、改めて支援のあるべき姿に立ち返り、毎年の報告結果を支援に反映していく必要がある。

特に、優先事項の一つである「質の高い資金拠出」「支援の現地化/参加」[3] に対しては、日本の支援における課題も多くあがっており、さらなる推進が求められている。

具体的には、NGOがODA資金で実施する人道支援の多くは、単年度資金が基となっており、中長期的な事業形成、申請・報告の効率化が難しいほか、事象や国など資金の使途が指定されていることも多い。

そのため日本政府には、複数年の資金拠出の増加、活動をより柔軟に行うため使途が指定された資金割合の減少、事業運営、モニタリング・評価関連の業務にリソースをより充当するため申請・報告内容の簡素化を推進することが望まれ、それが引いては「質の高い資金拠出」につながる。

NGOは、現地NGOと連携した支援の拡充、危機の影響を受けている人たちの声を支援に取り入れることのみならず、活動の実施主体として人道支援への参画を必須化していくことが「支援の現地化/参加」においてできることではないだろうか。

日本政府、NGO双方が、これまで述べたような提案を取り入れ国際的な人道支援の潮流に沿いながら、日本としての効果的な人道支援のあり方を継続して検討・議論していくこと、実現に向けて連携を強化しながらそれぞれの役割を果たしていくことが強く求められている。

(海外事業部 福原真澄)


[1]Global Humanitarian Overview 2023
[2]Financial Tracking services, https://fts.unocha.org/
[3]https://interagencystandingcommittee.org/grand-bargain-official-website/grand-bargain-annual-independent-report-2023-0
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