【インタビュー1】「頼れるものには頼ってほしい」2023年春「ハロー!ベビーボックス」を利用したYさんの声

セーブ・ザ・チルドレンは、誕生時から「健康に、安心、安全な環境で育つ」子どもの権利を保障するため、また、低所得世帯の育児費用の負担軽減を目的として、新生児に必要な育児用品を詰め合わせた「ハロー!ベビーボックス」の提供を行っています。(現在2023年秋の応募受付中。締め切り10月25日。詳しくはこちらから。)


3回目の実施となる2023年春(応募期間3/16~5/24)では、全国340世帯と自治体、支援団体を通して合計750箱を提供しました。





今回、「ハロー!ベビーボックス」に申し込み後、無事出産された2人の方に現在の状況などについて話を聞きました。(2022年秋のインタビュー記事はこちらから)


1回目は東海地方に暮らすYさんのインタビューをご紹介します。


Yさんは、今回受け取った「ハロー!ベビーボックス」について、


「おしりふきが本当に助かりました。大きい箱で届いたというだけで、私も子どもたちも、宝箱を開けるみたい、何が届いたの?何が届いたの?開けてびっくり。おしりふきがいっぱい出てきて。はぁーって。


おむつも助かりました。気づいたらなくなる洗剤、ボディソープ。あとは自分の物を買う前に、子どもたちのお菓子だったり、食べるものだったりにあてちゃうので、アイマスクの箱、びっくりしました。


自分が頭痛持ちなので、目が疲れたからとか、一人のときはよく使っていました。でも、いまは金銭的な余裕もなくて。貼って寝ると、子どもにべりってはがされるので、子どもたちが寝てから、これ付ける時間にしよ、みたいな。」


と、感想を語ってくれました。


ボックスを子育てに役立ててくれているYさん。しかし、今回の妊娠にあたっては複雑な事情があり、妊娠中絶や特別児童養子縁組についても考えたと言います。


「産んで家族に迎えるのも、産んで終わりじゃないので。いまだに産んでからも、100%愛してもらえるような人のところに行ったほうが幸せなんじゃないかなと、思うことはすごくあります。」


出産にあたり葛藤や不安も大きかったと言いますが、Yさんの母親が大きな支えになってくれました。


「私の母自身が心臓が弱くて、心臓の主治医の先生が1人しか望めない、産む時でさえ、(母子の命が)もつかどうかわからないと言われて私を産んだそうです。


なので、今、末っ子の女の子の新生児育児を、母があらためてしてくれているような気がして。最近笑うようになったとか、発達がどんどん進んでいくことを一緒に喜んでくれるので、一番親孝行できているのかなと思います。都合がいいのかなと思うところもあるけど。」


また、Yさんは職場の理解にも恵まれていました。
「ありがたいことに、職場が軽い仕事で、できる時間やれればいいよと対応してくれて。もともとが短時間の範囲だったので、時間帯は変わらず、仕事内容を軽作業にまわしてもらった感じですね。」


妊娠、出産を通して経済的な不安は大きかったと言いますが、職場の配慮によって、大きく収入が減るようなことはなく、大変ありがたかったということでした。





※使用している写真はYさんから提供を受けたもの




国は今年度から妊娠中からの伴走型相談支援の強化を進めていますが、保健師との面談について、Yさんもいろいろと相談できたということでした。


ただし、Yさんの悩み事である経済的な不安については、すでにYさんが自治体の生活福祉資金貸付制度を利用しており、返済が完了していないため、これ以上利用できる制度がないということで、保健師側からは提案できるものが何もないと言われたということです。


「ハロー!ベビーボックス」の他の利用者からも、「保健師は妊婦や赤ちゃんのことについてはいろいろと相談でき、具体的なアドバイスをくれるけれど、経済的なことについては話しにくい。話してもあまり情報を知らない。」といった意見もあがっていました。


体調のこと、赤ちゃんのこと、生活やお金のことなど、さまざまな悩みに対応できるよう、窓口の一本化など縦割り行政の改善が求められます。


また、2023年度から開始された国の新制度である出産育児応援交付金(妊娠時、出産後に5万円ずつ、計10万円を給付)について、Yさんは借金の返済にあてたということでした。


「妊娠時の5万円は返済に。自治体からの貸付金の返済と、結婚していた時期に元夫が私名義で消費者金融の借金をしたことがあって。私の名義なので、返していかないといけなくて。」


出産後に給付される5万円については、
「カーリースにあてます。いまチャイルドシートを載せるのに、大型車に乗っていて。契約内容は変えられないので、4万5,000円。それも待ってもらって待ってもらって、2ヶ月に1回、ひと月分を払う感じでやってます。」


給付金はとても助かる反面、生活自体が苦しく赤ちゃんに使える余裕はなく申し訳ない気持ちがあると言います。


「児童手当も、ほぼそういうふうに使ってて、今までほんとに申し訳ない。子どもたちが間接的に使っているものではあるけど、本来の用途ではないことでなくなっていっているから、申し訳ないしかない。」


しかし、そもそも経済的な不安をかかえながら子育てせざるを得ない社会状況を変えていく必要があります。


実際、「ハロー!ベビーボックス」の利用後アンケートでも、出産育児応援交付金を生活費に回す割合は半数以上と、生活費の補填に使われていることが多いことが明らかになっています。


「ハロー!ベビーボックス」の利用者のほとんどは、経済的に厳しい状況での出産、育児に不安を持っています。


Yさんは、安心して子育てするために「経済面の支援は欲しいです。医療費も無料だし、自分の収入によって保育料も無料なので、助けられてはいるのですが。食費など物理的に必要な物には、現金が必要。気軽に貸し付けが受けられるとか、そういうのがあるといい。」と訴えます。


最後に、現在さまざまな悩みを抱えている妊婦の方、また今後「ハロー!ベビーボックス」を利用したいと考えている妊婦の方へのメッセージを、Yさんからいただきました。


「頼れるところには遠慮せず頼って欲しいです。自分がこうやって助けられて、そこだけで少し余裕が出るので、気持ちに余裕が出れば、自分も大事にできるし、生まれてきた赤ちゃんのことも考えてあげられる。上の子がいたら、上の子に気持ちを向けてあげる余裕がそこで生まれるので、頼れるものには頼ってほしいです。」


現在Yさんは、実家で自身の母親と子どもたちといっしょに暮していますが、今後は市営住宅に移り自立に向けて動いているということです。


また、職場復帰に向けて、赤ちゃんが上の子どもたちと同じ保育園に入れるよう希望しているとのことでした。


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1人でも多くの赤ちゃんが、安心、安全な環境で生まれ育つよう、セーブ・ザ・チルドレンでは経済的に困難な世帯の育児費用の負担軽減を目的として、新生児に必要な育児用品を詰め合わせた「ハロー!ベビーボックス」事業を実施しています。


妊娠中で経済的不安を抱えている方、また周りにそうした妊婦のお知り合いがいる方は、現在応募受付中の「ハロー!ベビーボックス」をご確認ください。応募条件に該当する方はお申し込みいただけます。(締め切りは2023年10月25日。発送は11月中旬。申し込み多数の場合は審査あり)


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