【アフガニスタン 事業完了】家族への現金給付を通した食料支援

セーブ・ザ・チルドレンは、アフガニスタンのファーリヤーブ州ベルチェラーグ地区 で、対象となる家族が、毎日の食事を賄うための現金を支援し、2023年11月末に9ヶ月間の事業を完了しました。

事業の背景や概要はこちら

対象地区で、最も食料の入手が困難な1,059世帯に対して、世帯全員の食料3ヶ月分を購入できるよう2回に分けて現金 (日本円換算で初回  約1万5,000円、2回目約3万1,000円)を給付し、その後、効果を確かめるため、購入した品や食事の変化を調査しました。今回、各世帯に給付された金額は、アフガニスタンで活動する国連機関やNGOなどが参加する食料安全保障・農業クラスター(Food Security and Agriculture Cluster)で合意した、1世帯あたりの月額給付額に基づいています。当初は3回の現金給付を実施する予定でしたが、対象地域が冬季に道路閉鎖のリスクを抱えており、さらに対象世帯が事前に越冬準備を進める必要があることを踏まえ、2回目、3回目の給付を2回目に一括して行いました。

初回の現金支援では、地域住民のうち19%の世帯のみが食料消費スコア(Food Consumption Score: FCS1 )で「許容範囲」レベルにありましたが、事業完了時点では25%に上昇しました。その結果、FCSで「乏しい」レベルにある世帯の割合は、初回の現金給付後は39%であったのに対して、事業完了時点では23%まで減少しました。このように、支援で提供された現金により、地域の人たちの食料事情が改善されたことが確認できました。
 



今回、事業を通じて支援を利用したワヒドさん(37歳)は、妻と5人の子どもたちとともに暮らしています。3年続く干ばつの結果、農業で生計を立てられなくなり、近隣の地域で働くことを余儀なくされていました。

 

ワヒドさん一家 

「夏から秋にかけては、近隣の村や都市で毎月15日間働き、1日当たり200~300AFN(アフガニスタンアフガニ、約400円~600円)を稼ぎます。この収入で、家族全員分の食料や必要なものを賄うことはできませんが、家にいて仕事がないよりはましです。

特に、冬に仕事を見つけるのは難しく、5ケ月間続く寒い冬の間、家族のために食べ物やその他の必需品を購入するのにいつも苦労しています。
これからやってくる冬への備えもなく、家族が必要なものも買うことができず、さまざまな問題が起きることが予想されます。

セーブ・ザ・チルドレンから2万3,060AFNを受け取り、約2ヶ月分の食料(小麦粉や米、油、砂糖、豆など)を購入しました。子どもたちは、当面の食べ物が手に入ったことを喜んでいました。

学校で勉強しているのは、子ども5人のうち2人だけですが、教育に必要な物品をそろえるのも大変です。セーブ・ザ・チルドレンから支援を受ける前、私たちの生活状況は厳しいものでした。支援後は大きな変化がありましたが、それでも冬が近づいてくることを思うと心配は尽きません。」

また、息子ワリードさん(12歳)は次のように話しました。
「毎日1時間歩いて学校に通っています。遠くても、私は学校が大好きです。長男として、父が遠くの村や都市で働いている間は、私が弟や妹の世話をしています。父が仕事から戻ったら払ってくれだろうと思い、時々、村の商店から食料を手に入れています。」

ワヒドさん一家は、この事業を通して、特に脆弱な家庭を調査したときに、該当する世帯だと分かりました。一家は2回に分けて合計2万3,060AFN(約46,000円)の現金が提供されました。2回目はまもなく訪れる厳しい冬への備えに活用してもらえるよう、冬が来る前の10月下旬から11月上旬にかけてに実施されました。



現金給付の様子

ファーリヤーブ州における食料支援へのニーズはいまだ大きく、状況は過酷ですが、この事業を通して、最も食料の入手が困難な家族に対して食料や栄養状況、生活を改善するための支援を実施することができました。

この事業は、皆さまからのご寄付およびジャパン・プラットフォームのご支援により実施しています。

(海外事業部 瀬戸口千佳)


1 過去7日間の(1)食事の多様性、(2)食事の頻度、(3)栄養バランスを測定するもの。7日間のうち8つの食品群(主食/穀物、豆、野菜、フルーツ、動物性タンパク、乳製品、砂糖、油)を何日間摂取したかを聞き取り、スコアを算出。

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