十分ではない生活保護費:子どもの食応援ボックスを受け取った保護者の声

セーブ・ザ・チルドレンは、2020年より、子どもたちの食の状況改善を目的に経済的に困難な状況にある家庭を対象に、食料品などを提供する支援を行ってきました。今回、「2023年冬休み 子どもの食 応援ボックス」を利用した世帯の保護者に、子どもの食応援ボックスに申し込んだ経緯や、現在の状況などについて話を聞きました。


※お名前は仮名、写真はイメージ。 
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「去年のはじめくらいから肉類が買えなくなって」(関東地方在住・アコさん※)


アコさんは、生活保護を利用しながら、小学生の子どもと2人で暮らしています。


「3年くらい前は、生活保護費の中でなんとかやっていけたんですが、今は食の応援ボックスやフードパントリーを利用しないとやっていけません。肉類はなかなか買えず、月の1週間はおじやにして、片栗粉でかさましして生活しています。」


物価が高騰する中で、育ち盛りの子どもを育てるため十分な量と栄養のある食事を準備するために食費も家計にとって大きな負担ですが、生活保護費は上がらず、児童手当と児童扶養手当分を抜くと、保護費は月10万円ほどです。


アコさんの子どもは学校には通わず、タブレット端末で家で勉強をするホームスクーリングを選択しています。学校での人間関係などが理由でホームスクーリングを選択していますが、学校に行かないことで助かる部分もあると言います。



「学校に通っていたときは、月に3,000円、多いときには7,000円から8,000円の野外活動費や副教材費がかかっていました。


それから、服も今なら数着買えば、ほとんど家にいるから足りてしまいますが、学校に行っていたら、服もある程度買ってあげないとならないし、靴もすり減って何足も必要になったり。


上履きとかもあるじゃないですか。そういうのを全部合わせると、毎月2万円くらい赤字でした。


生活保護費で教育費に充てられるものもあるのですが、通信費も学用品費も一緒で月額3,000円ほどです。タブレット端末の通信費も含めると生活保護費は全く足りていないと言わざるをえません。」


限られた保護費をやりくりしながら暮らしているアコさんですが、生活状況は厳しいままです。


「ガス代、水道代を抑えるために冬はお風呂を1週間に1回から2回のシャワーだけにしています。それでも光熱費だけで数万円かかり、残りで通信費から食費から雑費まですべてを賄わなければいけません。」


厳しい生活状況の中でも、子どもが安心して家で学べる環境を整えるために、学校や区役所などとコミュニケーションをとり、教材やタブレットを利用できるように働きかけてきたというアコさん。経験を生かしてSNSでひとり親のための情報共有を行ったり、ホームスクーリングを選択している親子の集まりで自身の経験を話したりしていると言います。


そんなアコさんに政府や社会に伝えたいことを伺いました。


「当事者の現実を無視していろいろなことを決めないでください、って伝えたいです。
きちんとそこの現実、リアルってものを見て考えてほしいなと。それだけは常々言いたい。
現実には声も出せずにもがいている人たちがたくさんいて、そうした人たちのことをきちんと見て、それから考えてほしいと思っています。」


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セーブ・ザ・チルドレンではこうしたインタビューやアンケート結果から把握できたことをもとに、政府や自治体による子どもの貧困対策が加速するよう、経済的支援の充実などを引き続き訴えていきます。 
 
セーブ・ザ・チルドレンは、「子どもの食 応援ボックス」以外にも、子どもの貧困問題解決に向け、さまざまな取り組みを行っています。活動の最新情報は、随時こちらのページでお伝えしています。ぜひご覧ください。 
 
(報告:国内事業部 鳥塚) 
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