「人道団体のための気候・環境アクションに関する勉強会」報告会

2024年7月1日に、日本赤十字社本社ビルで「人道団体のための気候・環境アクションに関する勉強会」が開催され、セーブ・ザ・チルドレンの海外事業部アジア地域チームから豊田光明が登壇しました。 


当日発表する豊田(左上)

この会では、他にも外務省や環境省、赤十字国際委員会(ICRC)、日本赤十字社、WWFジャパンからも発表があり、33人の支援関係者が参加しました。

発表では主に、世界で激甚化・急増する自然災害が気候変動に関連していること、また気候変動が紛争国や低所得国など、特に脆弱な社会に暮らす人々により大きな影響を与えていること、被害が増える中で、支援には限りがあること、そのためにも、被害を減らすための適応策(特に防災や、先見的行動:いわゆるAnticipatory Action)が必要不可欠であり、それを強化するための、関係団体のネットワーク作りも重要であることが確認されました。

また、勉強会の主軸として、2021年に赤十字国際委員会(ICRC)と国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が採択し、現在も世界各国の人道支援団体が賛同・署名している「人道団体のための気候・環境憲章」1 についても説明がありました。悪化を続ける気候変動問題に対処するため、各国で活躍する人道団体も一丸となり問題に取り組む必要性が認識されました。

こうした中、豊田の発表では、子どもの権利から見る気候変動問題について触れ、例えば2020年生まれの子どもが1960年生まれの人と比べて、生涯で経験する異常事態が何倍にも増えていること(図1)、そのような状況の中で、子どもの声を政策に届けることの重要性や取り組みが求められていること、そして、セーブ・ザ・チルドレンがインドネシアでWWFジャパンと開始した「BASAMO」プロジェクト(ムラユ語で「一緒に」と言う意味)について紹介しました。

BSAMOプロジェクトでは、森林破壊が進む地域で、生計向上や教育、子どもの保護を統合した介入モデルを構築し、生物多様性の保全、子どもの権利の推進、そして、持続可能な開発の実現を包括的に目指しています。

図1:子どもが生まれてから経験する異常気象の世代間格差について 







そして、発表のまとめとして、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部が2024年4月に課題の見直しと、気候変動対策における中期戦略(図2)を定めたことを紹介し、「人道団体のための気候・環境憲章」をより深く理解し、これを実践に移す努力を継続していく必要性、また、他団体・機関と協力し、気候変動や環境危機の影響を軽減するための行動をともに推進していくことも確認しました。


図2:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部気候変動の課題と中期戦略 

セーブ・ザ・チルドレンは、今回の勉強会を通じて得られたネットワークを生かしながら、引き続き、気候変動対策から見る子どもの権利向上についても取り組みを行っていきます。


報告者:金子由佳


1 国際赤十字が「人道団体のための気候・環境憲章」を採択 - 赤十字国際委員会 赤十字国際委員会 (icrc.org)
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