【バングラデシュ】子どもと青少年が地域を変える!子どもの保護のシステム強化事業を開始

日本では、児童虐待防止法が2000年11月に施行されたことから、毎年11月が児童虐待防止推進月間として位置づけられています。世界では毎年、子どもの2人に1人、10億人以上の子どもたちが暴力を受けています。セーブ・ザ・チルドレンは2030年までに、あらゆる場面での子どもへの暴力を終わらせるための取り組みを実施しています。


地域の青少年からなる「チェンジメーカー」が主導となって実施した子どもの保護についての啓発ラリーの様子

2024年1月より、バングラデシュ南東沿岸部に位置するコックスバザール県にて、「子どもの保護のシステム強化および青少年のレジリエンス強化事業」を開始しました。子どもの保護とは、暴力や虐待、搾取から子どもたちを守ったり、それらの被害を受けた子どもたちを支援する活動です。

セーブ・ザ・チルドレンでは、2021年からコックスバザール県を中心に子どもの保護のシステム強化事業を実施してきており、この事業はこれまでの取り組みの中で明らかになった学びをもとに、地域に根差した子どもの保護のシステムをさらに定着させていくことを目的としています。


地域の青少年からなる「チェンジメーカー」へのワークショップで、活動計画を練っている様子

今までの取り組みを通して、地域における子どもの権利や子どもの保護に関して人々がさらに理解を深め、行動に移す必要があることがわかりました。また、バングラデシュでは地域住民同士のつながりが強いので地域の子どもや青少年が中心となって啓発活動を行うと、地域住民は親しみを感じやすく、啓発活動の内容を受け入れやすいということもわかりました。

このことから、事業では今までの取り組みに加えて、子どもや青少年が子どもの権利や子どもの保護についての理解を深め、彼らが中心となって地域で活動を行っていけるよう支援していくことに重きを置いています。


「子どもの保護と自分たちの村」をテーマにエッセイを書く子どもたち

活動の中心となるのが、地域の16歳から24歳の青少年たち「チェンジメーカー」です。彼らは地域の子どもが直面する課題に取り組むことに高い関心と意欲があり、セーブ・ザ・チルドレンと一緒に地域の子どもが置かれた状態を改善していくために活動をしています。

事業では、地域の特性や子どもの保護の課題に合わせて、啓発活動のテーマや実施方法をチェンジメーカーたちが中心となって決めていきます。
ある小学校で実施された「子どもの保護と自分たちの村」というテーマのエッセイコンテストでは、地域全体が子どもの保護に取り組む責任があることを説いた4年生のエッセイが金賞を取りました。


絵画コンテストで金賞を受賞した絵画を描く少年の様子


他の小学校では、絵画コンテストを実施しました。絵画コンテストで金賞を受賞した絵画は、学校や毎日の生活を楽しむことができる子どもがいる一方で、学校に行けず暴力の脅威におびえながら、児童労働に従事している子どももいるという現実を鮮やかな色合いで表現していました。

普段子どもの保護について触れる機会の少ない子どもや地域住民も多いため、サッカーの親善試合をプログラムに組み込んだ啓発イベントも高校で開催しました。イベントには、たくさんの子どもと地域住民が選手や観客として集まりました。彼らと共に、自分たちの地域における子どもの保護の課題やさまざまな状況に置かれた子どもがいることを改めて考える機会となりました。また、ストレスを感じたときにも、暴力に頼らず、スポーツなどのポジティブな方法で発散していくことを訴えました。その場にいた全員が大いに楽しみ、大盛況のうちに試合は終わりました。


啓発イベントで実施された高校対抗サッカー親善試合

これらのチェンジメーカーたちの活動は今度さらに活性化していきます。今後は、活動を通じて明らかになった地域の子どもが直面する課題について、地域のリーダーたちへ伝えていく啓発活動も徐々に実施していく予定です。

セーブ・ザ・チルドレンは、地域の未来を切り開いていくチェンジメーカーたちの挑戦をそばで支えながら支援していきます。

本事業の活動は、皆様からのご寄付と、ソニーグループ株式会社が設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」のご支援により実施しています。


(海外事業部バングラデシュ駐在員 田部井梢)
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