【カンボジア】小学校で子どもたちが安心して過ごせる毎日をめざして(2)――3年間の取り組みからの声

セーブ・ザ・チルドレンは、カンボジア・コンポンチャム州カンメア郡の43校で、「子どもに対する暴力をなくし、安心して学べる学校づくり」活動を3年間にわたり支援してきました。 
(これまでの活動の様子はこちら:1年次2年次3年次


3年間、学校での取り組みを進めてきた関係者の声を紹介します。

 
センホイさんと二モルさん


まずは、生徒会メンバーの声です。社交的な性格の二モルさん(10歳)は、セーブ・ザ・チルドレンがカンボジアの学校で展開した「I Support My Friends」プログラムの研修に、生徒会メンバーとして参加しました。このプログラムは、子どものための心理的応急処置(PFA)を活用し、子どもたちが仲間を支えるスキルを学ぶ取り組みです。クメール語に翻訳された研修マニュアルを使って、二モルさんを始めとする子どもたちは気になる友だちに気づき(Look=見る)、話を聞き(Listen=聞く)、適切な支援につなげる(Link=つなぐ)方法を学びました。
 

研修マニュアルの子ども用ワークブックより:
クメール語で左から「見る、聞く、つなぐ」

二モルさんは、「見る、聞く、つなぐ」の基本原則を使って、困ったり悩んだりしている友人の話を聞き、適切なサポートにつなげることを学びました。休み時間に、クラスメイトのセンホイさんが校舎の裏に一人で座り、悲しんでいる様子を見た二モルさんは、センホイさんに話しかけました。 

ニモルさん 「彼女の表情から不安を感じとったので、私は彼女に話しかけ、不安や悩みについて尋ねました。私は彼女の悩みをただ聞くようにしました。」

センホイさん 「私は悲しいことがあったと二モルに打ち明けました。彼女は私の話に真剣に耳を傾けてくれました。私の手を握ってくれたおかげで、安心して悩みを打ち明けられると感じました。(転校してきて)授業が始まったばかりの頃は、誰も話しかけてくれませんでした。孤独で孤立を感じていた時、ニモルの優しさが学校生活に大きな変化をもたらしてくれました。彼女のおかげで、安心を感じられるようになりました。」


次は、カンメア郡教育局職員による、首都プノンペンで実施された事業成果報告会での発言を紹介します。
「学校の環境が大きく改善しました。これは、私たちが力を合わせて取り組んできた結果です。子どもたちが安心して通える環境が整い、学校だけでなく地域の皆さんも一緒に取り組んだことで、確かな変化が生まれました。(中略)
これからも、生徒会、学校運営委員会、そして教員には、子どもたちの学びの質を高めるために力を貸してもらいたいと思っています。私たち大人は、子どもたちの良き仲間になれます。教員と生徒の関係性が深まり、子どもたちの健康や日々の様子にも気づきやすくなりました。子どもたちは困ったことをすぐに教員に伝えられ、教員は保護者に早く連絡、相談できるようになりました。この事業を支援してくださった寄付者の皆さまには、この取り組みが大きな成果を生んでいることをお伝えしたいです。」
 

カンメア郡教育局職員からいただいた支援に対するお礼状-事業成果報告会にて-


続いて、セーブ・ザ・チルドレン カンボジア事務所の事業スタッフ(カンボジア人)の声です。
「私は3年間、各校の子ども保護担当教員を支援してきました。基礎的な理解やスキルを養うための対面研修やオンラインセッションの実施、緊急の相談に対するSNSアプリを通したリアルタイムの助言提供、よりサポートが必要な教員へは1対1のメンタリングに加え、学校に赴いて活動実施をサポートするなど、担当教員が自信を持って子どもと活動を進められる体制づくりに注力しました。

学校では、生徒たちは暴力に関する知識を身につけ、困ったときに大人へ相談する力が育ちました。特に、生徒会が積極的なリーダーシップを発揮し、朝会や教室でのミニ授業、学校行事などを通じて『暴力を許さない学校』を自分たちの手で促進していることは大きな変化です。

子どもの保護担当教員も子どものための心理的応急処置の『見る・聞く・つなぐ』を実践し、日常的に子どもの変化に気づけるようになりました。1つのケースを紹介します。ある男の子は、里親から差別的な扱いを受けて多くの家事を強いられ、学校で軽食を購入するための十分なお金も与えられていませんでした。校長は男の子の疲れた様子を見逃さず、丁寧に話を聴き、地域行政と連携して家庭への指導を行いました。男の子は安心して学校生活を送れるようになり、校長や教員が引き続き様子を見守っています。

私は、この事業が生み出した多層的なコミットメントを誇りに思います。学校では校長自らが率先し、暴力防止を日々の学校運営に組み込んでいます。さらに郡知事の後押しで、事業地域のすべてのコミューン(郡の下にある行政単位)が子ども保護のための予算を確保しました。子どもを守ることが、地域当局・保護者・学校関係者それぞれが協力して果たす『共通の責任』として根づいてきています。」
 

子どもたちが楽しみながら研修に参加できるよう工夫する事業担当者(左奥の女性)


最後に、この事業を3年間現地で見守ってきた、セーブ・ザ・チルドレン 日本人職員の声です。
「長い棒を持ち、威圧的な態度や脅すような言葉で子どもたちを叱る先生たち。けんかをすると手が出てしまったり、友だちを仲間外れにしたりしてしまう子どもたち。そんな状況を変えようと、2022年から3年間、カンボジアの教育省、コンポンチャム州教育局、カンメア郡教育局、そして43の小学校の教員や子どもたちとともに、暴力の撤廃に取り組んできました。

特に意識していたのは以下の4点です。
・子どものことを一番よく知っている子どもたちの声を活動に取り入れること
・活動を主導するのは学校や子どもたちであること
・教育省のガイダンスや既存の取り組みを活かしながら、セーブ・ザ・チルドレンの経験・知見を補完すること
・暴力撤廃の取り組みが継続するよう、人への働きかけに限らず、制度を強化すること

活動をする中で、『子どもたちに怒鳴ってしまう前に、一呼吸してどのように叱るべきか考えるようになった』『子どもたちが先生とよく話すようになった』『学校で暴力的な光景を見ることが減った』といった教員の声や、『学校で安心して悩みを相談できるようになった』『友達が寄り添ってくれた』といった子どもたちの声を聞く機会が増え、学校での変化を教員や子どもたちが実感できていることを嬉しく思いました。子どもたち一人ひとりが学校という居場所で辛い想いをせず、自身のポテンシャルを最大限に発揮しながら学べるように。カンメア郡の学校での活動がカンボジアの他地域にも広がるように、カンボジア事務所と共に引き続き教育省と連携していきたいと思います。」
 

事業成果報告会にて、生徒代表の子どもたち、行政関係者と
セーブ・ザ・チルドレン職員


本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力」によるご支援と、株式会社ファーストリテイリング(ユニクロのPEACE FOR ALLプロジェクト)からのご寄付、そして個人・法人の多くの皆さまからのご寄付により実施いたしました。今後も、皆さまからの温かいご支援を力に、子どもたちが毎日安心して過ごせるコミュニティづくりに取り組んでまいります。


※プライバシー保護のため名前は変更されています。

海外事業部 カンボジア事業担当


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