(公開日:2026.09.04)
【ネパール土石流】壊滅的な災害から1週間、惨状を目撃した子どもたちのこころのケアが不可欠
- ネパール
ネパール・カトマンズ、9月2日 ―大規模な土石流がラスワ郡とヌワコット郡を襲ってから1週間が経過しました。被災家族は今後の生活への不安が広がり、子どもたちのこころには大きな負担が現れ始めています。
今回の土石流は、山岳の氷河の崩壊によって発生した大量の水が渓谷を一気に流れ下り、集落をのみ込んだことで起きました。少なくとも1,000人が亡くなり、現在も3,900人以上の行方が分かっていません。激しい濁流によって、村そのものが地図から消えた場所もあります[1]。

行方不明になった家族や大切な人の名前を探す人たち
セーブ・ザ・チルドレンのスタッフがヌワコット郡で子どもたちから話を聞いたところ、多くの子どもたちが恐怖や不安を感じていることが分かりました。友だちが乗っていたスクールバスが流されるのを目撃した子ども、自宅が水没するのを見た子ども、大切な持ち物や思い出の品を失った子どももいます。
ニーラさん(11歳)*は、学校へ行く準備をしていたところ、突然押し寄せてきた土石流に襲われました。急斜面にあった村と自宅は濁流にのみ込まれ、家族は着の身着のままで避難することになりました。
自宅はすでに無くなり、多くの親戚や近所の人々も今なお行方不明です。
ニーラさんは次のように話します。
「家も、水牛も、すべて失いました。学校も無くなってしまいましたし、多くの友だちもまだ見つかっていません」
現在、ニーラさん一家はセーブ・ザ・チルドレンが活動する避難所で暮らしています。セーブ・ザ・チルドレンは、この避難所で懐中電灯や毛布、石けんなどの日用品を含む支援物資を届けています。
ニーラさんの土石流に対する恐怖は今も消えていません。
「今は誰とも話す気持ちになれません。また大きな土石流が押し寄せてくるのではないかと思うと、眠るのも怖いです」
一方で、気象当局は被災地で今後も雨が続くと警告しています[2]。さらなる降雨によって復旧作業が遅れるおそれがあり、避難所で暮らす人々の不安は募っています。
また、山間部へ向かう道路では大雨による影響が続いており、被害の大きな農村部や孤立した地域では支援物資の輸送にも時間がかかっています。
被災した保護者たちも厳しい状況に置かれています。生計手段を失い、家財道具も流されたことで生活再建のめどが立たず、経済的な負担が大きくなっています。そうした家庭の厳しい状況は、子どもたちのこころにも影響を及ぼしています。
ヌワコット郡の避難所で暮らす3人の子どもの父親、ビジェイさん(33歳)*は、家と経営していた店の両方が土石流で流されてしまいました。
「もう何も買うことができません」と、厳しい現状を語り、家族をどう支えていくか不安を感じています。
セーブ・ザ・チルドレン・ネパール事務所代表のタラ・チェトリは次のように話します。
「精神保健・心理社会的支援を必要とする人が増えています。災害から7日がたちましたが、子どもたちも大人たちも、起きた出来事の大きさを受け止めようとしているところです。そして、自分たちの将来がどうなるのか不安を抱えています。
多くの人が今も家族と離れ離れになっており、行方の分からない家族を懸命に探しています。また、今夜どこで眠るのか、家をどう再建するのか、今後どうやって生活していくのかを心配しています。
復興とは単に家やインフラなどを再建することだけではありません。子どもたちが経験したことを受け止め、こころの回復のための支援も欠かせません。子どもたちのこころの回復は、地域社会全体の回復につながります」

こどもひろばで遊ぶ子どもたち
セーブ・ザ・チルドレンは現在、ヌワコット郡で緊急支援活動を続けています。また、子どもたちが安心して過ごせる「こどもひろば」を2ヶ所開設し、首都カトマンズから約120km北にあるラスワ郡でも開設準備を進めています。
こどもひろばでは、子どもたちが遊んだりスポーツをしたりしながら、少しでも日常を取り戻せるよう支援しています。また、専門の精神保健・心理社会的支援カウンセラーを配置し、子どもたちの精神保健・心理社会的支援も行っています。
こどもひろばでは、子どもたちが遊んだりスポーツをしたりしながら、少しでも日常を取り戻せるよう支援しています。また、専門の精神保健・心理社会的支援カウンセラーを配置し、子どもたちの精神保健・心理社会的支援も行っています。
今回の土石流により、少なくとも6万5,000人が安全な水や衛生環境確保に向けた緊急支援を必要としており、子どもを含む約2万2,000人が保護支援を必要としています。
さらに、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると、川から1,000メートル以内にある80校が被害を受け、そのうち19校が損壊し、9校は全壊したと報告されています[3]。
また、セーブ・ザ・チルドレンは、迅速な支援を届けるためにヌワコット郡に現地事務所を開設しました。今後も被災した子どもたちとその家族に寄り添いながら、必要な支援を届けていきます。
セーブ・ザ・チルドレンは1976年からネパールで活動しており、子どもを守る取り組み、教育、保健・栄養、ジェンダー平等、気候変動適応・防災、子どもの貧困対策など幅広い分野で支援を続けています。
また、セーブ・ザ・チルドレンは、迅速な支援を届けるためにヌワコット郡に現地事務所を開設しました。今後も被災した子どもたちとその家族に寄り添いながら、必要な支援を届けていきます。
セーブ・ザ・チルドレンは1976年からネパールで活動しており、子どもを守る取り組み、教育、保健・栄養、ジェンダー平等、気候変動適応・防災、子どもの貧困対策など幅広い分野で支援を続けています。
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*プライバシー保護のため名前は変更されています
【脚注など】
[1]Nepal’s National Disaster Risk Reduction and Management Authority.
[2] https://www.dhm.gov.np/
[3] According to the latest figures from UNOCHA (1 September)










